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第1回 2013年6月24日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2013-01
広帯域エコー信号における独立性に着目したスペックル抑制法 【 PDF
夏目 龍之介, 山口 匡
千葉大学 大学院工学研究科メディカルシステムコース
抄録

近年,超音波診断装置において,エコー画像に含まれるスペックルノイズを除去し,病変組織の量や分布の様子を詳細に捉えるための様々な手法が研究されている.本研究では,肝エコー信号に含まれるスペックルノイズと生体組織構造を反映したエコー信号との独立性を指標とし,独立成分分析(Independent Component Analysis;ICA)によるスペックル抑制法を提案する.組織構造とは独立した信号成分であるスペックルノイズを除去するため,広帯域プローブを用いて同一の肝臓を異なる周波数で観察することで観測信号を仮想的に増やし,ICA を適用した.肝硬変の臨床データによるICA 分離結果では,“正数値のみのデータ”と“正負両方の値をもつデータ”の二つの出力が得られ,前者および後者の正部にスペックルノイズが,後者の負部には線維構造が抽出されることを確認した.この結果より,独立性を指標とした新たなスペックル抑制法の可能性が示された.

広帯域エコー信号,独立成分分析,スペックルリダクション,肝線維症
AI-2013-02
フーリエ変換を用いた補間近似を要さない高速エコーデータ生成法 -フーリエ変換を用いたエコーデータ生成法 (その3)- 【 PDF
炭 親良, 山崎 直人
上智大学大学院 理工学研究科情報領域
抄録

高速フーリエ変換を用いた補間近似を要さない高速エコーデータの生成方法に関する当研究において、これまで、補間近似を要さずに高精度に任意直交座標系においてエコーデータを高速に生成できる方法を実現し、他のフーリエ変換を用いたBusseの方法やJian-yuの方法との比較を行いながら、その様な勝る特徴の有効性を報告してきた。今回は、それらの特徴を備えつつ、Busseの高速逆フーリエ変換法を参考にして、さらに計算速度を向上させた方法を報告する。実行可能性と精度をステリングした平面波に関するシミュレーションを通じて確認した。以前の方法と同様に、本法を用いたステアリング角度の異なる平面波の重ね合わせや、適切なアポダイゼーション等により、少ない送信回数により、他のビームでセクタやラディアル、ファン状等の様々な走査を行った場合のエコーデータフレームを高速に生成できる。

高速エコーデータ生成法,フーリエ変換,平面波,ステアリング,様々な走査
AI-2013-03
水晶振動子のマイクロバブル標的指向性評価システムへの応用 〜 最適な評価指標の検討 〜 【 PDF
下谷 遼資1, 村本 貴茂2, 吉田 憲司2, 渡辺 好章2
1同志社大学 理工学研究科, 2同志社大学 生命医科学研究科
抄録

標的指向性マイクロバブルは,標的部位に特異的に付着するため,分子イメージングにおける造影剤や超音波ドラッグデリバリーシステムにおける薬物運搬体への応用が期待されている.標的指向性マイクロバブルの実用化のため,水晶振動子微量天秤(Quartz Crystal Microbalance: QCM)を用いたマイクロバブルの特異的付着能力の評価方法を提案する.QCMの金電極上にBiotin化自己組織化単分子膜を用いてStreptavidin膜を形成することで標的部位を模擬し,作製したBiotin修飾マイクロバブルを特異的に付着させた.QCMのコンダクタンスが半値となるときの周波数f1,f2(f12)と定義し,バブルの特異的付着に伴うf1,f2の変化を測定した.Biotin非修飾マイクロバブルおよびバブルを含まない溶液を用いた結果との比較から,f1の変化にマイクロバブルの影響が,f2の変化にバブルの膜物質(リン脂質)の特異的な付着の影響がそれぞれ現れる可能性を示した.

QCM,共振特性,Streptavidin-Biotin結合,標的指向性,マイクロバブル
AI-2013-04
コラーゲン架橋が骨の音波物性に与える影響 【 PDF
坪田 遼1, 松川 真美1, 斎藤 充2, 丸毛 啓史2
1同志社大学 超音波エレクトロニクス研究室, 2東京慈恵会医科大学 整形外科
抄録

糖尿病や無形成骨症では,骨密度や骨構造に変化がみられないにも関わらず,骨が脆弱化し,骨折頻度が高くなることが報告されている.この原因の一つとして骨の体積比の約50%を占めるコラーゲンの分子間架橋の異常が指摘されている.そこで本研究では,ウシ大腿骨皮質骨を用いて分子間架橋の異常の形成を人工的に促進させ,骨中の縦波音速に及ぼす影響について調べた.顕微Brillouinを用いて骨マトリクスを測定したところ,培養後の縦波音速(4.57-4.69×103 m/s)が培養前(4.83-4.97×103 m/s)に比べて有意に低くなった.

骨,音速,顕微Brillouin散乱法
AI-2013-05
尿動態計測用空中超音波ドプラシステムの校正のためのウォータージェットファ ントム 【 PDF
松本 成史, 竹内 康人, 柿崎 秀宏
旭川医科大学 医学部腎泌尿器外科学講座
抄録

著者らはかねてより排尿時の尿動態計測用の空中超音波ドプラシステムを開発しているが、どの医療機器もそうであるように、実患者による臨床テストに先立ちシステムの開発および校正、また計測の正当性の評価に「ファントム」を必要とするのは本件開発も例外ではない。本研究においてはそのような主旨でヒトの放尿を模擬するためのウオータージェットファントムを開発し、試作試用したのでその要点を報告する。ヒトの放尿はただ管路の断端をノズルとしてしかるべき流速流量の水を層流として放出しただけでは正しく模擬出来ず、特に男子の場合、外部尿道口の直前にある舟状窩の前後における流路の形状変化に由来する層流から乱流への「ひねり」の場面を正しく再現して初めて正しく模擬できる。装置は中型の小便小僧立像にまとめられ、開発中の尿動態計測用ウエアラブル空中超音波ドプラシステム(1)-(4)とともに2012年度大学見本市 (Innovation Japan 2012) にて公開実演 (5)、好評を博した。

排尿動態,ファントム,層流,乱流,ドプラ
AI-2013-06
超音波伝搬の可視化による計測条件の最適化 【 PDF
田中 雄介, 大平 克己
ジャパンプローブ株式会社 研究開発センター
抄録

本研究ではシミュレータにより超音波伝搬を可視化し、超音波の伝搬経路確認と計測法の最適化について検討した。空中超音波として鋼材のV透過法とガイド波による鋼板の探傷、医用超音波として回折による水中の針先端検出についてシミュレーションを行い、それぞれの超音波伝搬を可視化した。鋼材のV透過法は探触子間の距離と受信信号の振幅をシミュレーションで確かめ、最適な探触子間距離を求めた。ガイド波による鋼板の探傷はガイド波が発生する板厚と周波数、超音波の入射角度をシミュレーションで確かめ理論と比較した。水中の針先端からの受信波形についてシミュレーションと実験を比較した。針先端検出の医療応用例として、穿刺用探触子について述べた。

超音波,可視化,シミュレーション,空中超音波,ガイド波
AI-2013-07
誘電力を利用した液体表面物性の非接触測定 【 PDF
下河 有司, 酒井 啓司
東京大学 生産技術研究所
抄録

現在,液体の表面張力を測定するために広く利用されている手法の多くは接触測定である.しかし,接触測定には固体に付着した僅かな汚れによる液体表面の汚染など様々な問題が存在する.我々は,電場を利用して液体表面を変形させることで表面張力を測定する新しい非接触測定法を開発した.

電場ピックアップ法,非接触,誘電力,表面張力測定,粘度測定

第2回 2013年8月2日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2013-08
適応ダイナミックフィルタによるドプラ信号の改質とその空中超音波ウロダイナミクス計測への応用 【 PDF / 動画: No.1
松本 成史, 竹内 康人, 柿崎 秀宏
旭川医科大学 医学部腎泌尿器外科学講座
抄録

著者らは排尿時の尿動態計測用に空中超音波ドプラシステムを開発している(1)-(6)。これにおいて放尿の結果空中を飛行する尿の液滴群から得られたドプラ反射波信号から代用尿流曲線を得る方法として手法上は最も簡素であり得るゼロクロスレート法が利用できないか実験的に検討した。この手法においては信号のS/N 悪かったりスペクトラムの広がりが大きかったりすると計測が不安定となる。特に信号に不要な抵域成分が含まれると計測値は大きく過小評価に傾く。本研究においては空中超音波ドプラ尿流信号の周波数スペクトラムが思いのほか広帯域である事のゼロクロスレート法流速計測への実害を避けるため、この抵域成分を適応的に除去する事を試み、一定の成果を得た。この適応的抵域除去作業にはカットオフ特性を電気的に可変とした抵域カットフィルタを用い、その出口において予定された信号レベルを越える場合にはそのカットオフ周波数を高めて不要成分を抵域側から順に除去するという操作を行う。結果としてその出力のゼロクロス法流速曲線はその蓋然性が改良される事が伺われた。以下本研究においてはこの適応的抵域除去のためのフィードバック機構を具備した可変フィルタを適応ダイナミックフィルタと呼ぶ事にする。

空中超音波,ドプラ,ゼロクロスレート,適応フィルタ,尿流計測
AI-2013-09
ログステップマルチキャリア波を用いた超音波ドップラー速度推定法におけるノイズ耐性の改善 【 PDF
前田 泰成1, 杉本 雅則2, 橋爪 宏達3
1総合研究大学院大学 複合科学研究科情報学専攻, 2北海道大学 大学院情報科学研究科, 3国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系
抄録

著者らは以前,ログステップマルチキャリア波を用いた超音波ドップラーイメージング法と速度検出方法について報告した.この方法の中で,低SNR条件下における速度推定精度の悪化が解決すべき課題として残されていた.今回,同波の持つ特徴であるドップラーシフト時の到来時刻の系統偏移を利用して,低SNR条件下においても高い速度推定精度を保つアルゴリズムが得られたので報告する.シミュレーションにより,SNRが-10dB以下の悪条件下においても, アルゴリズムの有効性が確認された.

空間超音波,ドップラー効果,マルチキャリア波,ノイズ耐性,速度推定
AI-2013-10
ビームフォーミング後のビーム加工に基づくエコーイメージングおよび組織変位/弾性計測イメージング 【 PDF
炭 親良, 山崎 直人, 平林 勇人
上智大学大学院 理工学研究科情報領域
抄録

我々は、最近、ビーム生成後のビーム形状の加工や適切な力源の生成のために、周波数領域におけるスペクトルの加工(スペクトル除去、重み付け、重ね合せ、引き算、超解像 etc)を通じ、一つのエコーデータを同時に多目的に応用することを報告している。本稿では、まず、スペクトルの零詰めによる広帯域化処理を通じた複数ビームのコヒーレント加算を行い、瞬時周波数および帯域幅を調整して、変位ベクトルの計測を行うことを報告する。寒天ファントムの実験結果として、変位計測には、複数ビームを独立に使用するOver-determinedシステム(最小自乗法または計測結果の平均を計算)の方が精度が良かったが、エコー画像を高分解能化するには有効であった。エコー信号の処理・加工方法を目的に応じて適切に選択すると良い結果であった。また、凹型開口のシミュレーショントランスデューサを用いて、加熱治療や放射圧生成のための強力超音波の送波時のエコー信号を用いた同時のエコーイメージングと変位計測のために、効果的な処理が可能であることを確認した。スペクトルのFilteringによる点拡がり関数の整形により、画質と横方向変位の計測精度が向上した。現在、強力超音波の生成に必ずしも凹型開口のトランスデューサが使用されるとは限らないが、他型のトランスデューサが使用される場合においても有効であろう。顕微鏡においても凹型の開口が使用されることがあり、同様な加工が有効であると考えられる。

ビームの加工,エコーイメージング,変位ベクトル計測,横方向変位,HIFU治療,同時応用
AI-2013-11
スペックルによる位相変動を考慮した生体擬似ファントムの横波変位量計測 【 PDF
佐々木 日史, 平田 慎之介, 蜂屋 弘之
東京工業大学 大学院理工学研究科機械制御システム専攻
抄録

びまん性肝病変では横波速度に関連する病変部の剛性率が正常部より大きくなることが知られている。そこで肝臓に横波を加えることにより剛性率の違いを計測し,病変を評価する手法が検討されている。しかし横波を発生させるのに音響放射圧を用いる手法では人体に与える影響が懸念されており,測定精度向上が望まれている。本報告では,生体擬似ファントムに音響放射圧により横波を発生させたときの変位量を超音波パルスの位相差により計測した実験結果と,横波による変位を与えた散乱点からのエコー信号のシミュレーションデータを用いた変位量評価結果を比較検討し,横波変位量計測における誤差検討を行った。その結果,エコー信号の瞬時周波数が深度方向に対して大きく変動するというスペックルパターン特有の性質が計測誤差要因の一つであることを明らかにした。また,瞬時周波数の変動量に応じた補正を行うことで計測誤差を軽減する手法を提案し,高精度計測の可能性を示した。

医用超音波,横波変位量,硬さ計測,スペックルパターン,位相差計測
AI-2013-12
超音波照射による骨の誘発電位 【 PDF
常田 裕子1, 沖野 正裕1, 水野 勝紀2, 柳谷 隆彦3, 高柳 真司1, 松川 真美1
1同志社大学 波動エレクトロニクス研究センター, 2東京大学 生産技術研究所, 3名古屋工業大学 大学院工学研究科
抄録

超音波骨折治療のメカニズム解明のための第一歩として,超音波照射時の骨の誘発電位について検討した.圧電材料として骨を用いた超音波トランスデューサを作製し,超音波照射によるトランスデューサの応答について実験的に検討した.このトランスデューサにMHz 域の超音波を照射すると起電力が発生し,その感度は従来のPVDFトランスデューサの約1000分の1であった.また,この起電力は骨中のハイドロキシアパタイト(HAp)の配向量に依存せず観測された.骨トランスデューサを水に浸漬すると時間経過とともに観測波形が変化し,起電力も変化した.これは吸水による変化と考えられる.従って,超音波照射による骨の誘発電位はHApではなくコラーゲンによる可能性が高いと考えられる.

超音波,皮質骨,トランスデューサ,圧電現象
AI-2013-13
脈波の反射波成分を用いた動脈硬化診断法の研究〜心拍数が波形形状に与える影響〜 【 PDF
駒形 有香1, 齋藤 雅史2, 松川 真美1, 浅田 隆昭2, 渡辺 好章1
1同志社大学 波動エレクトロニクス研究センター, 2株式会社村田製作所
抄録

脈波とは皮膚表面の変位である入射波と反射波から構成され,血管内の圧力を反映する.このうち,反射波は入射波より長い距離を伝播するため,血管の硬さに応じて減衰する.そこで我々は,頸動脈で実測した脈波と血流速度波形を用いて,脈波から反射波を分離する手法を提案してきた.これまでの結果では,反射波振幅値は年齢と中程度の相関を示し,本手法の有用性が確認されている(R2=0.65).そこで本報告では,心拍数が脈波の波形形状と反射波に及ぼす影響を検証した.その結果,心拍数の影響は小さいことがわかった.

脈波,動脈硬化,血流速度,心拍数
AI-2013-14
超音波診断装置における周波数領域干渉計法の応用研究と解剖学的手法による評価手段の開発 【 PDF
瀧 公介1, 瀧 宏文2, 山川 誠3, 椎名 毅4, 佐藤 亨2, 工藤 基1
1滋賀医科大学 解剖学神経形態学部門, 2京都大学 大学院情報学研究科, 3京都大学 先端医工学ユニット, 4京都大学 大学院医学研究科
抄録

医用超音波装置の空間分解能向上は早期の血管病変発見など様々な疾患の早期診断に有効であると考えられる.大気レーダーや光学カテーテルの分野では周波数領域干渉計法と適用型信号処理を組み合わせて用いた高分解能イメージング法が実用化されているが、私たちは同様の方法を医用超音波診断装置に応用してきた.その研究過程において適当な評価手段を必要としたので、豚大腿動脈を材料とする一連の評価手段を考案した。すなわち、未固定血管標本を用いた動作確認、固定血管標本のゼラチン包埋ファントムを用いた計測精度評価などである。またより高精度の評価のために包埋後の外膜再剥離法を考案し、その効果を組織学的に確認した。このような生体材料の扱いは解剖学がミクロとマクロの双方で有するノウハウを応用した物であり医工学研究における貢献可能性を示している.

高分解能イメージング,周波数領域干渉計法,Capon法,生体材料,解剖学
AI-2013-15
細胞の膜張力がソノポレーションにおける膜修復に与える影響 【 PDF
田中 裕人, 工藤 信樹
北海道大学 大学院情報科学研究科
抄録

これまで我々は,細胞に気泡が付着した条件では,生体作用をほとんど生じないパルス超音波でも一時的な膜損傷を生じ,ソノポレーション効果が得られることを報告してきた.検討の過程において,カバーガラス上に培養した接着細胞を対象としたソノポレーションでは,浮遊細胞もしくは生体内細胞の場合よりも細胞死の頻度が高い傾向が見られた.我々は,硬い足場層に培養した細胞には比較的大きな膜張力が働いており,これがソノポレーションで生じた膜損傷を修復する能力を低下させる原因になっていると推測した.そこで本研究では,浸透圧と細胞形状の2つの条件を変化させて膜張力の制御を試み,ソノポレーションにおける膜修復の張力依存性について検討した.実験の結果,等張液および高張液中での膜修復率は,それぞれ55±8%,75±14%(平均±標準偏差)であり,高張液中では収縮した細胞の修復率が向上した.比較的膜張力が低いと考えられる球形細胞の修復可能な損傷レベルは膜張力の高い紡錘形細胞に比べて5倍高いことが示された.

ソノポレーション,超音波,微小気泡,細胞膜張力,膜修復
AI-2013-16
脳に対する超音波遺伝子デリバリーに関する基礎的検討 【 PDF
鈴木 亮1, 小俣 大樹1, 小田 雄介1, 宇留賀 仁史1, 澤口 能一1, 關 むつみ1, 直井 智幸1, 根岸 洋一2, 丸山 一雄1
1帝京大学薬学部 薬物送達学研究室, 2東京薬科大学薬学部 薬物送達学教室
抄録

これまでに、超音波造影ガス封入リポソーム (バブルリポソーム) と超音波の併用により、種々の細胞や組織に遺伝子導入ができることを明らかとしてきた。そこで本研究では、バブルリポソームと超音波による脳への遺伝子導入の可能性について検討した。バブルリポソームとルシフェラーゼ発現プラスミド DNA をマウス尾静脈より投与し、経頭蓋的に超音波を照射した。その結果、プラスミド DNA 単独投与群と比較し、バブルリポソームと超音波を照射した群において、脳での高いルシフェラーゼ活性が認められた。このことから、バブルリポソームと超音波照射の併用は脳への遺伝子導入のための有用なシステムとなることが示唆された。

バブルリポソーム,遺伝子導入,脳,非ウイルスベクター
AI-2013-17
強力集束超音波治療における部分画像相関を用いた加熱凝固モニタリング手法とThermal Doseの関係に関する解析 【 PDF
高木 亮1, 佐々木 翔也1, 松浦 景子1, 吉澤 晋2, 梅村 晋一郎1
1東北大学 大学院医工学研究科, 2東北大学 大学院工学研究科
抄録

低侵襲ながん治療法の一つである強力集束超音波(HIFU : High-Intensity Focused Ultrasound)治療において、治療後の加熱凝固領域のリアルタイムモニタリング手法の確立は、重要な課題の一つである。先行研究において、部分相関画像を利用した加熱凝固領域モニタリング手法を検討した。本研究では、HIFU照射中の焦点周辺の温度を測定し、温熱治療の評価指標の一つである43℃等価加温時間(thermal dose)を使い、本手法がHIFU照射中の不可逆変化のみを抽出できるかを検討した。その結果、複素相関関数を用いた本手法は熱膨張などの可逆変化の影響を受けた状態でも加熱凝固生成などの不可逆的な変化を検出するのに有効であることが示唆された。

強力集束超音波,RF信号,正規化相互相関,ブロックマッチング,43℃等価加温時間
AI-2013-18
超音波造影剤投与下のウサギ心臓における音響放射力インパルス(ARFI : Acoustic Radiation Force Impulse)の心電図波形に与える影響についての検討 【 PDF
石黒 保直1, 新田 尚隆3, 笹沼 英紀1, 安田 是和1, 秋山 いわき4, 谷口 信行2
1自治医科大学 消化器・一般外科, 2自治医科大学 臨床検査医学, 3産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 4同志社大学 生命医科学部
抄録

音響放射インパルス(ARFI : Acoustic Radiation Force Impulse)により種々の臓器の組織硬度を測定することができる。しかし超音波造影剤との併用も含め心臓への影響は明らかではない。今回、我々は全身麻酔下のウサギ心臓にARFIを照射し心電図波形における変化を検討した。超音波造影剤(ソナゾイドTM : perfluorobutane)投与下にARFI照射を行うと、照射に伴い期外収縮波形が観察された。致死性不整脈の発生は認められなかったが、波形発生頻度は造影剤の投与法・量に依存する傾向もあり、ARFIと超音波造影剤の併用を心臓領域へ応用するには充分に安全性を確認する必要がある。

音響放射インパルス,心臓,造影超音波検査,心電図,不整脈
AI-2013-19
放射線誘発細胞死における低強度超音波照射の影響 【 PDF
近藤 隆1, Mikhail A Buldakov 2, Loreto B Feril Jr3, 立花 克郎3
1富山大学 大学院医学薬学研究部, 2トムスクがん研究所, 3福岡大学 医学部
抄録

超音波は診断のみでなく、機械的作用や熱的作用を利用してがん治療にも用いられている。超音波単独による治療法としては、温熱(ハイパーサーミア)治療および集束超音波によるHIFU治療で超音波を集中させることによる高温を利用し前立腺がんや乳がんの治療に用いられている。超音波と薬剤併用療法は多くの研究成果が発表されており、遺伝子製剤や微小気泡製剤等の利用を含めて、今後の発展と臨床利用が期待されている。放射線は単独で、癌治療における重要な位置をしめているが、温熱との併用等は研究されてきたものの、超音波との併用例は少ない。そこで、本研究では放射線照射後に、低強度の超音波を照射し、放射線による細胞死に与える影響について検討した。その結果、U937およびMolt-4細胞を使用したところ、細胞死に関して、両細胞とも併用による細胞死の相乗的増強効果が認められたがアポトーシスについては、増強効果はなかった。放射線細胞死の超音波照射による増強効果は細胞膜の損傷が関係するネクローシスの増加によることを示唆する。

放射線,薬剤,キャビテーション,機械的作用

第3回 2013年10月18日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2013-20
動的バイノーラル合成による音場の可聴化 【 PDF
大谷 真1, 倉林 宏明2
1信州大学 工学部情報工学科, 2信州大学 大学院理工学系研究科情報工学専攻
抄録

可聴化技術は,想定される空間内の音場を予測するシミュレーション技術と,その予測結果をスピーカやヘッドホンを用いて適切に呈示する聴覚ディスプレイ技術により成り立つ.音場予測手法として,縮小模型による測定や数値シミュレーションなどが研究されてきた.聴覚ディスプレイの手法として,多数のスピーカを用いて音場を制御するスピーカアレイ方式と両耳の音圧信号を制御するバイノーラル方式が研究されている.本稿では,可聴化に必要なこれら2つの技術について概観する.さらに,ヘッドトラッキングを利用した動的バイノーラル合成や動的トランスオーラルシステムによるスピーカ再生等の著者らが行っている聴覚ディスプレイ技術における近年の研究成果について報告するとともに,バイノーラル合成による波面合成方式の模擬などを含めた聴覚ディスプレイ及び可聴化研究の動向について紹介する.

可聴化,数値シミュレーション,バイノーラル合成,スピーカアレイ
AI-2013-21
レーザによる測定音場の逆解析における定式化と精度の関係 【 PDF
矢田部 浩平1, 及川 靖広2
1早稲田大学 基幹理工学研究科表現工学専攻, 2早稲田大学 基幹理工学部表現工学科
抄録

音場の測定には一般的にマイクロホンが用いられるが,我々はレーザドプラ振動計(LDV)を用いて非接触に音場の可視化および測定を行っている.測定点は離散的であり,物理量の滑らかな空間分布を得るには補間などの後処理が必要だが,一般的に用いられる多項式補間では必ずしも物理的に意味のある値を得られない.そこで,これまでに音場の特徴に基づいた補間手法を提案し,離散的な観測から連続的な音場を得ることが可能であることを示した.本稿では,これまでのように音圧と粒子速度を同一の正則化パラメタで扱うのではなく,適切な正則化が行えるよう音圧のみで記述した新たな定式化を提案する.さらに,L-curveの曲率による正則化パラメタ決定法を導入し,雑音を付加したシミュレーションにより精度を検証した.

音場の可視化,音場推定,補間法,正則化,L-curve
AI-2013-22
ずり弾性率再構成における平均垂直応力分布を無視することによる影響 −動的変形の場合 【 PDF
炭 親良, 平林 勇人
上智大学大学院 理工学研究科情報領域
抄録

歪計測に基づく組織ずり弾性率再構成において、最近、平均垂直応力の分布が無視されることがある。それは、そもそも、非圧縮性の組織を対象とした場合にその平均垂直応力は理論的に不定となり、また、実際の応用においては計測が困難であることに起因する。これに対し、我々は、以前に、平均垂直応力をずり弾性率と共に再構成することを可能にした。ポアソン比の再構成も可能である。平均垂直応力分布を無視すれば、再構成対象(変数)の数が減ることにより計算速度が向上するが、ずり弾性率の再構成の精度は低下する。以前に、我々は、シミュレーションを通じて、計測対象が静的に変形している場合についてその影響を確認した。本稿では、計測対象が、動的に変形している場合(1Hz、10Hzの加振)に関し、同シミュレーションファントムにて評価した。結果は、静的な変形時とほぼ同等であった。平均垂直応力分布を無視した場合、周囲に比べて高いずり弾性率は真値よりも高く、低いずり弾性率は低く再構成され、理論通りの結果となった[例えば、10mm直径の球状のつめもののずり弾性率が周囲に比べて小さいとき(0.50 vs 1.00 ×105N/m2)において、再構成値の平均値0.19 ×105N/m2]。不安定でもあった。また、つめものの周辺においては再構成エラーを生じ、ポアソン比が大きいときに、より顕著であった。また、平均垂直応力分布を無視すると、再構成がずり弾性率の参照領域の位置にsensitiveとなることが確認された。平均垂直応力を共に再構成する場合でも、実時間の再構成を実現できる。イメージングにおいては、再構成エラーを生じるものの、ダイナミックレンジが大きくなることとなり、ずり弾性率の高低さが大きくなることは歓迎されるものであるが、再構成の精度の点において、平均垂直応力は共に再構成されるべきである。

ずり弾性率再構成,平均垂直応力分布の無視,精度
AI-2013-23
超音波骨密度計LD-100による生体橈骨遠位端の画像化 【 PDF
眞野 功1, 堀井 薫2, 松川 真美3, 大谷 隆彦3
1同志社大学 研究開発推進機構, 2応用電機株式会社, 3同志社大学 理工学部
抄録

超音波骨密度計LD-100の透過波を用いた減衰マップと音速マップ、エコー波を用いたBモード骨断面画像の技術を応用し、生体手首部の広い範囲の骨画像を取得した。減衰マップは皮質骨と海綿骨の骨量、音速マップは皮質骨の骨量に依存した。エコー画像では皮質骨の表側面に加え裏側面も識別できた。これらの画像は骨構造を視覚的に認識できることと、X線を使用せずに非侵襲に測定できることから、骨折治療や小児の骨成長、骨粗鬆症治療の薬効などを短周期で確認する際に利用できる可能性がある。

減衰マップ,音速マップ,エコー画像,橈骨,皮質骨
AI-2013-24
マイクロバブルの非線形振動を用いた血流速度計測法の検討 【 PDF
渡邉 公章, 大西 将馬, 渡辺 好章, 秋山 いわき
同志社大学 生命医科学部
抄録

本研究は異なる周波数を有する2つの超音波ビームを用いる血流ベクトル計測法の基礎的な実験に関する.本手法は音波の交差領域に存在する造影剤が,非線形振動により発生する和音のドプラ周波数が2つのビームに対する角度に依存することを利用して流速ベクトルを推定するものである.内径4 mmの流路内を流れるマイクロバブル群を用いた実験の結果,超音波エコーのサンプルボリュームにおける和音のドプラ周波数から推定された流速は,流速ベクトルと超音波ビームの角度が35°から60°の範囲で流速と一致した.

超音波ドプラ法,二周波数,マイクロバブル,和音,流速測定

第4回 2013年12月6日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2013-25
生体組織の熱的特性に着目した超音波組織性状診断 —ファントムの温度変化測定— 【 PDF
森田 晟央, 伊藤 瑳恵, 秋山 いわき, 渡辺 好章
同志社大学 超音波エレクトロニクス・生体計測研究室
抄録

生体組織の熱的特性のひとつである単位体積当たりの熱容量(比熱×密度)Cvに着目して,生体内部におけるCvの分布をイメージングする新しい超音波画像診断手法の確立を目指している.この方法は低周波の超音波によって生体内部を加温し,そのときの温度上昇分布を高周波の超音波によって測定するものである.本研究では生体組織模擬ファントムより得られた超音波エコー信号に相関法,クロススペクトル法,自己相関法を用いて音速変化によるエコーの時間シフト量を算出した.その結果より求めた温度変化の測定精度について検討したので報告する.

超音波エコーシフト,温度変化測定,相関法,クロスルペクトル法,自己相関法
AI-2013-26
医療穿刺用超音波アレイ探触子の特性評価 【 PDF / 動画: No.1 No.2 No.3 No.4 No.5
田中 雄介1, 大平 克己1, 小倉 幸夫1, 田中 克彦2, 塩見 尚礼3, 来見 良誠3, 谷 徹3
1ジャパンプローブ株式会社 研究開発センター, 2立命館大学 総合科学技術研究機構, 3滋賀医科大学 外科学講座
抄録

穿刺用リニアアレイ探触子を試作し、針先端と前方物体を画像化して同時に観測しながら穿刺した。前方検出用のリニアアレイと針検出用のリング型探触子を有する13分割型リニアアレイ探触子を用いて針先端を検出した。まず水中で針先端検出を行い、針の挿入距離と受信信号強度の関係をシミュレーションと実験で確認した。擬似血管ファントムとブタで穿刺実験を行い、穿刺の様子を画像化した。128分割型穿刺用リニアアレイ探触子によりイヌの穿刺実験を行い、大腿動脈、大腿静脈を画像化した。大腿筋肉に穿刺し、針先端を画像化できた。ヒト肘正中皮静脈を観測し、画像化することができた。

超音波,アレイ探触子,穿刺,画像化,針先端検出
AI-2013-27
RF信号の乗算や冪乗の効果または演算による高周波化および広帯域化 【 PDF
炭 親良
上智大学 理工学部情報理工学科
抄録

超音波エコー法に基づいて、ヒト組織の高分解能エコーイメージングや高精度な組織変位計測イメージング、高分解能HIFU治療等の技法の開発を行っている。本稿では、エコー信号に対して乗算や冪乗等の非線形演算を施すことにより、高周波化と高帯域化、高コントラスト化を行うことが提案されている。高調波信号が、通常の検波処理に比べて少ない計算量にて、ベースバンド帯域やその高調波信号の任意方向の検波信号と同時に得られることが確認されている。寒天ファントム実験とシミュレーション(凹型HIFUアプリケータ)を通じて、本法の有効性が確認されている。

非線形演算,乗算,冪乗,高周波化,広帯域化,高コントラスト化,検波,エコーイメージング,変位(ベクトル)計測イメージング,HIFU治療
AI-2013-28
微小気泡位置制御システムの開発と高速度撮影によるソノポレーション機序の検討 【 PDF
内田 和輝, 工藤 信樹
北海道大学 大学院情報科学研究科
抄録

我々は細胞に微小気泡を付着させた条件でパルス超音波を照射し,一時的に膜損傷が生じた部位から薬剤導入を行うソノポレーションについて検討している.導入効率の向上にはその機序の解明が必要だが,超音波照射下における気泡の高速なふるまいと細胞に生じる膜損傷を対応づけて調べた検討は少なく,膜損傷の発生機序には不明な点が多い.そこで本研究では,光ピンセット技術を微小気泡位置制御に応用し,さらに高速度カメラと組み合わせることで高速な気泡のふるまいと細胞の相互作用を顕微観察できるシステムを開発した.光ピンセットについては気泡捕捉用のドーナツビームをLGビームからベッセルビームに変更することで捕捉力を従来の2.4倍に向上し,細胞核上からの薬剤導入を実現した.また気泡を細胞近傍の適切な位置に配置することにより,細胞膜の形状変化や断裂の発生を高い確率で高速度観察することに成功した.我々が開発した観察システムはソノポレーション機序と最適条件の解明に有用と考えられ,ソノポレーション研究を加速するものと考えられる.

ソノポレーション,細胞,微小気泡,光ピンセット,高速度観察
AI-2013-29
コード間干渉の影響を受けない同時送波手法を用いた高速音響イメージング 【 PDF
林 壮宏, 平田 慎之介, 蜂屋 弘之
東京工業大学 理工学研究科
抄録

空中における音響センシングは周辺物体の位置,形状,材質,運動などのさまざまな情報を取得できる方法であると考えられている.しかし,現在その利用法は対象物体までの距離計測程度に限られており,高度な計測システムの開発が望まれている.われわれはSN比の高い音響画像を得るために疑似ランダム系列の一つであるM系列を用いた映像手法の検討を進めている.この中で,複数のコード化信号を同時に送波する方法は,高速で空間分解能の高い画像取得が可能であるが,コード間干渉による画像劣化が問題となる.われわれは,コード間干渉雑音の影響を受けない高速音響映像の実現するために,異なるM系列間の相互相関値について検討を行い,相互相関値のピーク値が従来のコードのペアよりも大きいが,絶対値最小の部分が長く連続するコードのペアを用いた手法を提案し,検討している.本稿ではこのコードを用いて音響映像化実験を行い,従来のコードの組み合わせに比べ,コード間干渉ノイズによる影響を受けない音響映像を得ることができ,一回の送波のみで,高速に高分解能で高品位な画像を生成することができることを示した.また低相関値の部分をさらに伸ばす手法について,実験によりその有効性を検討した.

音響センシング,M系列信号,プリファードペア,音響画像,PN符号,コード間干渉
AI-2013-30
周波数領域干渉計法を用いた肝臓の高分解能超音波イメージングに関する基礎検討 −豚肝臓への適用− 【 PDF
瀧 宏文1, 阪本 卓也1, 瀧 公介2, 山川 誠3, 椎名 毅4, 工藤 基2, 佐藤 亨1
1京都大学 大学院情報学研究科通信情報システム専攻, 2滋賀医科大学 解剖学講座, 3京都大学 先端医工学研究ユニット, 4京都大学 大学院医学研究科
抄録

我々は周波数領域干渉計法に基づく高分解能超音波イメージング法の術中エコー法への適用可能性を検討するため、医用超音波診断装置で取得した豚肝臓のRFデータに提案法を適用した。提案法により肝静脈壁を明瞭に描出することができたことから、提案法により術中エコー法に用いる超音波画像の高分解能化が実現可能であることが示唆された。

医用超音波,適応型ビームフォーミング,周波数領域干渉計法
AI-2013-31
光超音波技術を用いた生体イメージング 【 PDF
浅尾 恭史1,2, 戸井 雅和2, 椎名 毅2
1キヤノン株式会社 総合R&D本部, 2京都大学 大学院医学研究科
抄録

京都大学とキヤノン株式会社が協働で推進している研究プロジェクト(略称:CKプロジェクト)において、プロジェクトのテーマの一つとして取り組んでいる光超音波イメージングに関する研究活動を紹介する。高解像イメージングを狙いとした光超音波技術に関し、超高分解能を実現可能な光音響顕微鏡技術、高速・高分解能を実現する可能性のある新規なファブリペロー撮像システムを概説する。さらに、乳癌診断への適用を狙いとした光超音波マンモグラフィ試作機による臨床研究を行った結果、臨床的に有用である可能性が示唆された結果を報告する。

CKプロジェクト,光音響顕微鏡,ファブリペロー,光超音波マンモグラフィ
AI-2013-32
フェムト秒光パルスを用いた2光子励起光音響顕微鏡 【 PDF
山岡 禎久1,2, 原田 義規2, 西埜 繁3, 前原 正司3, 浜野 修次郎3, 高松 哲郎2
1京都府立医科大学 医学研究法システム学, 2京都府立医科大学 細胞分子機能病理学, 3寺崎電気産業株式会社 システム事業産業部
抄録

生体深部における分子吸収に基づいた高コントラスト像を撮影する方法として光音響イメージングに近年注目が集まっている。我々は光音響イメージングの深さ分解能向上を目指し、2光子励起を組み合わせた光音響顕微鏡を開発してきた。本発表では、2光子励起光音響波発生の高効率化のためにフェムト秒光パルスを用いた光音響顕微鏡を紹介する。フェムト秒光パルスはピークパワーが非常に高いため、対物レンズで集光すると簡単に光子密度の高い状態を作ることができる。そのため、2光子吸収の発生確率が向上し、2光子励起光音響顕微鏡の性能を向上できる。

光音響顕微鏡,2光子励起,フェムト秒光パルス,高空間分解観察,深部イメージング

第5回 2014年2月21日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2013-33
中広帯域探触子の近距離均一送信音場域に関して 【 PDF
岡 賢治1, 宇田川 義夫2
1株式会社 検査技術研究所 本社, 2有限会社 アイ・エス・エル 本社
抄録

中広帯域探触子をスパイク励振させ、近距離での送信音場を測定した。媒質は減衰が少ない水液体で行った。その結果、振動子を底辺とする錐体の領域では音圧はほぼ均一であった。

近距離音場,圧電振動子,ピストン運動
AI-2013-34
近距離音場内での市販探触子受信波形とハイドロホン受信の音圧波形について 【 PDF
小堀 修身1, 宇田川 義夫2, 吉川 晃3
1電子科学研究所, 2アイ・エス・エル, 3大阪産業大学 工学部 機械工学科
抄録

近距離音場内で通常の探触子による音圧波形測定とハイドロホンによる音圧波形観測結果が異なることを示す。ハイドロホンと同じ音圧波形を得るには送信より十分高い周波で且つ誘電率の高い振動子を用いた探触子で測定すると類似した音圧波形がえられることを示す。また、観測機器の入力インピーダンスに大きく依存する事を示す。

音圧波形,入力インピーダンス,周波数,探触子
AI-2013-35
レシーバ回路の非線型性について 【 PDF
宇田川 義夫
(有)アイ・エス・エル 本社
抄録

探傷器等のアンプは線形性に関して規格があって、それに即して設計されるが、規格は設計条件の一部でしかない。メーカ側の線形に関する設計思想の概要を述べる。

非線形超音波,線形,圧電振動子,音圧
AI-2013-36
有限開口圧電振動子からの放射音場の時空間過渡特性解析 【 PDF
山田 晃1, 宇田川 義夫2
1東京農工大学 生物システム応用科学府, 2アイ・エス・エル
抄録

有限開口圧電振動子をステップ電圧駆動した際に、媒質中に放射される音波の時空間過渡特性をFDTD法により数値解析した。その結果、本来の縦波平面波に端部からの円筒波面形状のBED波が重畳する原因により、送出直後の単極性方形波パルスが距離とともに先の尖った両極性インパルスに形状を変えながら伝搬する様子が明らかにされた。

時空間放射音場解析,有限開口圧電振動子,FDTD音場解析
AI-2013-37
フーリエ変換を用いた補間近似を要さない高速エコーデータ生成法 —フーリエ変換を用いたエコーデータ生成法(その4)− 【 PDF
炭 親良, 山崎 直人
上智大学大学院 理工学研究科理工学専攻情報領域
抄録

我々は、デジタルフーリエ変換を通じた高速なエコーデータの生成法を開発している。偏向平面波送波における場合や、古典的な開口面合成におけるモノスタティック型等を報告しており、いずれも、通常ではフーリエ空間において必要とされる補間近似処理を要さない方法にせしめた。本稿では、これらを拡張し、まず、モノスタティック型における偏向ダイナミックフォーカシングを報告し、さらに、マルチスタティック型を報告する。このマルチスタティック型では、送信位置に対して複数個存在する受信位置の同一位置にて受信したエコー信号から成るエコーデータフレームを受信素子の数だけ生成し、周波数空間において、各々のエコーデータフレームに上記のモノスタティック型の開口面合成処理を施し、それらの処理結果を重ね合わせたものを逆フーリエ変換することを提案する。受信開口のチャンネル数と等しい回数の開口面合成処理でエコーデータを生成でき、いわゆるlow resolutionのエコーデータフレームを生成して重ね合わせてhigh resolution画像を生成する従来のDelay-and-Summation(DAS)法よりも格段に高速な方法である。また、これらのビームフォーミングを基礎として、送信固定フォーカス時におけるダイナミックフォーカス受信等を行うことも可能にした。その他、コンベックスやセクタスキャン、IVUSへの応用のために、極座標系において送受信したエコーデータに関してもJacobi演算を通じた処理を行い、補間近似処理なしに表示系のCartesian座標系において直接的にエコーデータを生成できることを提案する。マイグレーション処理においても同様に補間近似処理を施さずに処理できることを過去に報告しているが、本稿では、その結果も示す。以上において開発したデジタルフーリエ変換を用いたビームフォーミング処理を基礎として、任意直交座標系における任意ビームフォーミング処理を補間近似なしに処理できる様になった。主として、シミュレーションを通じて、実行可能性を確認した結果を報告する。

エコー信号の生成,デジタル高速フーリエ変換,ダイナミックフォーカシング,平面波送波,デカルト座標系,極座標,補間近似無し,高速ビームフォーミング,開口面合成,モノスタティック,マルチスタティック
AI-2013-38
AM変調されたFMチャープ送信信号による生体高調波画像のFDA補償 【 PDF
平岡 拓也1, 田川 憲男1, 大久保 寛1, 秋山 いわき2
1首都大学東京 システムデザイン研究科情報通信システム専攻, 2同志社大学 生命医科学部医情報学科
抄録

医用超音波画像の高精細化のためには,高帯域な信号を画像化に用いることが効果的である.そのために近年,第二高調波を利用しる画像化の研究が進められ,一部実用化されている.ここでの高調波とは,生体のような非線形な媒質を超音波が伝搬したときに発生する高周波超音波であり,元の波の二倍の周波数に対応するものが第二高調波である.したがって,第二高調波は元の波の2倍の帯域を有し,高精細画像化に有効である.一方で,生体では周波数依存減衰によるエコー信号すなわち画像の劣化が生じる.特に,第二高調波を利用する際には無視することができない問題である.そこで本研究では,FMチャープ送信による画像化において,周波数依存減衰による歪みを受けた後に理想的な二次高調波エコー信号が得られるよう、送信信号に適切なAM変調を施す方法を提案する

生体高調波画像,周波数依存減衰,FMチャープ信号,第二高調波
AI-2013-39
特性曲線法による音響シミュレーションにおけるPML吸収境界の比較評価 【 PDF
安達 純平1, 大久保 寛1, 石塚 崇2
1首都大学東京 システムデザイン学部 情報通信システム研究科, 2清水建設株式会社 技術研究所 高度空間技術センター 音環境グループ
抄録

本研究では直行格子を用いた特性曲線法(MOC)による音響数値解析におけるPMLの適用について検討している. 特性曲線法による音響数値解析を実装するにあたって,計算機のメモリは有限であるので, 開空間を数値的に解くためには計算領域の外側に吸収境界条件(ABC)を設定する必要がある. 本研究では誤差の原因となる計算領域の外側の境界で発生する反射を効率よく抑制するため吸収境界条件としてPML(Perfectly Matched Layer)を用いる.2次元の音場シミュレーションに対して,種々の特性曲線法のスキームを用いて実装・比較した.いずれの手法でも,PMLによる効果で外部境界からの反射成分を数10dBの減衰できることがわかった.また,結果として,移流計算の手法の補間関数の次数が大きいほど,おおむね吸収特性が向上する傾向があることがわかった.

AI-2013-40
地形効果を考慮した津波発生時における極超低周波音波の時間領域数値シミュレーション 【 PDF
川島 健1, 大久保 寛1, 大嶋 拓也2, 竹内 伸直3
1首都大学東京 システムデザイン研究科, 2新潟大学 工学部建設学科建築学コース, 3東北大学 理学研究科
抄録

本研究では,津波発生時における極超低周波音波の伝搬シミュレーションの初期的な検討を行った.数値地形情報を組み入れた時間領域の差分法を用いて,実際の日本列島をモデル化,その伝搬の様相を可視化し,海面及び地表面付近において,どのように音場が変化するかと検討する.また,細倉観測地点(宮城県栗原市細倉鉱山) において東北地方太平洋沖地震時の津波によって誘起された極超低周波音波の観測事例と比較することで計算モデルの妥当性を考察する.

AI-2013-41
超音波洗浄槽設計のための3次元有限要素解析 【 PDF
下川原 壮人1, 安藤 英一2, 戸井 武司2
1中大大学大学院 理工学研究科, 2中大大学 精密機械工学科
抄録

産業用に用いられている超音波洗浄槽は大部分が直方体形状である.本報告は,超音波洗浄槽を設計・製作する上で有用な情報を得ることを目的とし,弾性体振動と音響の連成を考慮した3次元有限要素解析を直方体形の超音波洗浄槽に適用したものである.はじめに放射面形状が丸形のボルト締めランジュバン型振動子を2個用いた洗浄槽について,輻射板を兼ねた槽壁の振動変位分布と槽内液中の音圧分布を求めた.その結果より,安定した定在波音場を得るために放射面形状が四角形および六角形のボルト締めランジュバン型振動子を用いた洗浄槽を設計・製作し,槽内液中の音圧分布の解析結果とアルミ箔テスト結果,汚れの剥離テスト結果と比較検討した.

超音波洗浄槽,3次元有限要素解析,圧電-流体連成解析
AI-2013-42
レーザ誘起創発的応力波の伝搬に関する実験的検討 −レーザターゲット周辺の動的観察− 【 PDF
佐藤 駿介1, 岡本 良太2, 會澤 康治1, 得永 嘉昭3
1金沢工業大学 大学院工学研究科電気電子工学専攻, 2金沢工業大学 工学部電気電子工学科, 3金沢工業大学 光電相互変換デバイスシステム研究開発センター
抄録

細胞への遺伝子導入に用いるレーザ誘起創発的応力波(LIESW)は,微小な空間において,ごく短い時間(〜5μs)で伝搬する.そのため,パルスレーザを照射した直後のレーザターゲット周辺の現象を肉眼で観察することは困難である.LIESWの発生はレーザターゲットの膨張を伴うことから,導入対象にLIESW作用以外の物理現象が作用している可能性は否定できない.本稿では,高速度カメラを用いてパルスレーザ照射時のレーザターゲット周辺を撮影し,その映像を解析することで導入対象に影響を与える現象を議論する.

Nd:YAGレーザ,レーザ誘起創発的応力波,遺伝子導入,閉じ込め構造,高速度カメラ
AI-2013-43
FSAP方式による任意の曲率を有する材料のリアルタイム内部イメージング 【 PDF
堀口 貴志, 徳増 純男, 中畑 和之
愛媛大学 大学院理工学研究科生産環境工学専攻
抄録

可撓性を有するフレキシブルアレイ探触子は,設置面が凹凸や曲率を有する場合でも,任意に曲げることで被検体に合わせて接触させることができる.ここでは,フレキシブルアレイ探触子を全波形サンプリング処理(FSAP)方式による映像化手法に適用し,不規則面を有する金属中の欠陥の映像化を試みる.FSAP方式では,超音波の送・受信にアレイ探触子の素子を1つずつ利用し,すべての素子の送受信の組み合わせを収録する.この収録した波形から集束ビームを合成し,各画素に集束ビームを送信することで映像化を行う.これまでGPUによる汎目的計算技術によって,FSAP方式は高速に欠陥像を再構成できることを示している.ここでは,リレー回路を改良した高速マルチプレクサと組み合わせることで,波形収録から欠陥再構成までを行うFSAP方式の映像化システムのプロトタイプを開発した.本システムを用いれば,24×24素子の組み合わせを利用した場合,約3秒で映像化が可能である.

超音波映像化,フレキシブルアレイ探触子,FSAP方式,高速処理マルチプレクサ,GPU計算
AI-2013-44
SHアレイ探触子を用いた鋼板の残存肉厚測定方法 【 PDF
木村 友則1, 小池 光裕2, 和高 修三2, 高橋 実3, 村越 潤3
1三菱電機(株) 情報技術総合研究所, 2菱電湘南エレクトロニクス(株), 3(独)土木研究所 構造物メンテナンス研究センター
抄録

コンクリートで埋められた鋼板の腐食部は、目視による検査は困難であるため、超音波による検査が期待される。腐食の有無の検出だけでなく、残存肉厚を定量的に求める技術が望まれている。本報告では、SHアレイ探触子を用いて鋼板内にSH板波を伝搬させ、カットオフによって反射された信号から残存肉厚を定量的に求める方法について示す。また、この方法を実現するためのSHアレイ探触子を試作検討した。保護板表面に溝を掘って応力集中点を設ける構成とすると、感度自体が向上し素子感度バラツキが低減できることを示す。

超音波探傷,腐食,残存肉厚測定,SH波,アレイ
AI-2013-45
ラインフォーカス開口合成法を用いた鋳片深内部探傷 【 PDF
松井 穣, 飯塚 幸理
JFEスチール(株) 計測制御研究部
抄録

連続鋳造プロセスにおいて、鋳造スラブの深さ方向中央部分に欠陥(割れ)が発生することがある。鋳造スラブは極肉厚(例えば200mm程度)で、かつ、組織粒が粗いため、その肉厚中心部分を超音波で探傷することが難しい。このような検査対象を探傷するには、低周波で大開口プローブを用いた探傷が必要となり、局部水浸法を適用した際に水浸部分が不安定になりやすいという問題があり、これを解決するためにラインフォーカス型探触子と開口合成法を組み合わせたラインフォーカス開口合成法を提案し、実スラブでの検出能確認実験をおこなった。結果、深さ中心に存在する約6mmの疵まで検出できることを確認した。

超音波,探傷,局部水浸,ラインフォーカス,開口合成
AI-2013-46
同軸型熱音響冷却システムに関する基礎検討 −スタックの設置位置がヒートポンプ効果に及ぼす影響− 【 PDF
竹内 豪紀1, 坂本 眞一2, 井戸木 晃一1, 渡辺 好章3
1同志社大学 理工学研究科電気電子工学専攻, 2滋賀県立大学 工学部電子システム工学科, 3同志社大学 生命医科学部医情報学科
抄録

熱音響冷却システムの実用化には小型化が必要である.矢崎らは進行波位相でエネルギー変換するループ管型熱音響システムを開発した.進行波位相は定在波位相に比べエネルギー変換効率が高い.しかしながら,ループ管は大型であることが問題であるため,進行波位相かつ小型化が容易である同軸管がpoeseらによって研究されている.同軸管の先行研究は,仕事流から熱流へのエネルギー変換に関する報告のみである.本報告では,同軸管により進行波位相で熱流と仕事流の相互エネルギー変換を行った.その結果,管内を伝搬する音波の定在波比はループ管が2.55,同軸管が2.73であったため,同軸管においても進行波位相でエネルギー変換が行われることが示唆される.

熱音響現象,同軸管,進行波位相,ヒートポンプ
AI-2013-47
熱音響システムにおける共鳴モード決定要因 -仕事流の向きに関する検討- 【 PDF
井上 学1, 坂本 眞一2, 多賀 一瑳1, 渡辺 好章1
1同志社大学 生命医科学研究科, 2滋賀県立大学 工学部
抄録

ループ管方式熱音響システムにPhase Adjuster (PA)を挿入することによりエネルギー変換効率を向上させることが可能である.しかしながら,現在までこの効率向上要因については充分に説明されていない.更なる効率向上のため,この要因の理解が必要である.本文では,まずPA 設置による共鳴モード制御とエネルギー変換効率向上効果について述べる.次に,PA による共鳴モード制御原理に関する実験について述べる.本実験については,ラウドスピーカにより音波を強制駆動し,PA の設置位置が形成される音場に与える影響を確認,検討を行った.結果,PA の設置位置により音響エネルギー流方向が決定することが確認された.自励発振によるエネルギー流方向とPA の設置位置により決定する音響エネルギー流方向が一致するように共鳴モードが決定すると考える.

ループ管方式熱音響システム,共鳴モード,Phase Adjuster
AI-2013-48
超音波による水素とヘリウムの比熱比測定 【 PDF
平松 智寛1, 加藤 喜峰1, 葛 晰遥1, 藤田 秀朗2, 古君 修1
1九州大学 工学部, 2オリイメック株式会社 技術本部 超音波機器課
抄録

超音波を利用して、気体の比熱比を測定することに成功した。気体の温度が変化した場合や気体が混合した場合に、音速の変化が起こることを利用して比熱比を求めることが可能である。音速は比熱比、温度、気体分子量から各気体の固有値として理論的に計算でき、温度と気体分子量の変化量に応じて音速も変化するため、これらの変化量を計測することにより、比熱比を求めることができる。さらに、超音波を用いた測定装置は小型で構造が簡単で安価であり、多種の気体の比熱比の計測を期待することができる。

超音波,音速,比熱比,気体,水素,ヘリウム,窒素
AI-2013-49
T(0,1)モードガイド波の非軸対称減肉での反射挙動 【 PDF
西野 秀郎1, 古川 敬2
1徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部, 2発電設備技術検査協会 溶接非破壊検査技術センター
抄録

管軸方向に伝搬する基本モードガイド波であるT(0,1)モードガイド波の非軸対称な減肉における伝搬挙動をシミュレーションと理論的考察および実験による検証で示す。T(0,1)モードガイド波は非軸対称減肉において周方向に伝搬する円周SH 板波を発生させること,また円周SH 板波は条件により共鳴が発生し大きな振幅が観測されることを示す。

非破壊検査,配管検査,ガイド波,減肉
AI-2013-50
エルボ部を伝搬するガイド波の時間遅延 【 PDF
西川 良祐, 西野 秀郎
徳島大学 大学院先端技術科学教育部
抄録

本研究の目的はT(0,1) mode ガイド波を用いた欠陥の管軸方向位置推定精度の向上である。本報告では,T(0,1) mode ガイド波を用いた配管の欠陥位置推定において,直管で行った実験結果とエルボ管(ショートとロング,50Aと100A) で行った実験結果をそれぞれ 30, 40, 50 kHz の場合で示す。直管およびエルボ管での位置推定精度を示す。エルボ管で欠陥位置の推定を行うとエルボ越え部において実際より後方に推定されることを示す。このことはガイド波がエルボ部を伝搬する際に見かけ上速度が遅くなっている事を示している。この時間遅延を補正すれば,精度の高い位置評定が可能であることを示す。

T(0,1)mode ガイド波,エルボ管,Time of flight,時間遅延
AI-2013-51
SLDVと空中放射音波を用いたコンクリート表層部の欠陥映像化に関する研究 — 時間・時間周波数ゲート法によるS/N比の改善 — 【 PDF
赤松 亮1, 杉本 恒美1, 歌川 紀之2, 片倉 景義3
1桐蔭横浜大学 大学院工学研究科, 2佐藤工業(株) 技術研究所, 3明篤技研
抄録

現在、コンクリート構造物の内部欠陥の検査法として打音検査が主流であるが、人の手の届かないような場所の検査は困難であるという課題がある。そこで本研究ではスキャニング振動計(SLDV)と空中放射音波を用いた入出力ともに非接触で行う検査法の提案および実用可能性の検討を行っている。今回、加振音波によりレーザヘッドが振動し、検出感度に悪影響を及ぼす課題について、時間および時間周波数ゲート法によるノイズ除去を提案する。コンクリート供試体を用いた実験結果より、従来法より15 dB のS/N 比が改善された。

スキャニング振動計,空中放射音波,コンクリート,非破壊検査,剥離
AI-2013-52
音響放射圧を用いた葉および茎の振動計測による植物健康状態の評価に関する検討 【 PDF
杉本 恒美1, 中川 裕1, 佐野 元昭1, 白川 貴志1, 山岸 香1, 杉原 敏昭1, 大幅 元吉2, 澁澤 栄2
1桐蔭横浜大学 大学院工学研究科, 2東京農工大学 農学府
抄録

将来の水問題を考える上で、農業用水の節約は重要であり、その一つの有効な手段として、最適灌水制御がある。しかしそれを実現するためには、いまその植物がどのくらいの水を必要としているのか(植物給水ニーズ)を非侵襲かつ実時間で把握する必要がある。そこで我々は、植物健康状態のモニタリングの手法の一つとして、植物の形状からではなく、葉や茎を振動させたときに生じる共振周波数の変化から植物の植物健康状態の評価が行なえるかどうかについて検討している。パラメトリックスピーカの発生する音響放射圧を用いた実験結果から、植物の水ストレス状態が共振周波数の変化からも推測できることが明らかになった。

振動計測,レーザ変位計,パラメトリックスピーカ,植物健康状態