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第1回 2012年6月21日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2012-01
可撓性アレイプローブを用いた不規則面からの内部きずの超音波映像化 【 PDF
中畑 和之, 徳増 純男,
愛媛大学 大学院理工学研究科生産環境工学専攻
抄録

超音波探傷の対象は剛な材料が多く,その表面が凹凸を有する場合には,それに合わせてプローブの接触面の形状を調整する必要がある.本研究は,可撓性を有する超音波アレイプローブを用いて,不規則な表面形状を有する金属中の欠陥の映像化を行うことを目的とする.映像化手法として,ここでは全波形サンプリング処理(FSAP) 方式を用いた.FSAP方式では,アレイプローブを構成する1つの素子から超音波を送信し,別の素子で欠陥エコーを受信する.この送受信をすべての素子の組み合わせで実行し,全波形パターンをPCメモリの記憶しておき,必要な波形を用いて欠陥像を再構成する方法である.金属の表面形状を考慮しつつ,映像化領域の画素毎に集束ビームを送信できるため,高精度な欠陥像が得られる.ここでは,凹凸を有する被検体中の横穴およびスリットの映像化実験を行い,人工欠陥の位置および形状が良好に推定できることを示す.

超音波探傷,可撓性アレイプローブ,全波形サンプリング処理(FSAP) 方式,アコースティックイメージング,弾性材料
AI-2012-02
顕微Brillouin散乱法を用いたウシ海綿骨骨梁中の評価  −骨梁長さと音速の関係− 【 PDF
坪田 遼, 福井 健二, 菅 大輔, 松川 真美
同志社大学 超音波エレクトロニクス研究室
抄録

ウシ海綿骨骨梁を対象に,骨マトリクス中の縦波音速や骨梁構造を顕微Brillouin散乱法及びX-ray micro CTを用いて測定し,特に縦波音速と骨梁の配向方向,骨梁形状との関係を調べた.CTによる3次元再構成画像から、今回測定した試料では,ほぼ板状の骨梁が前後方向と骨軸方向がなす面に沿って並んでおり,それを内外方向に配向する棒状骨梁が支える構造と考えられた。板状骨梁中の縦波音速は約4.79×103 m/sと低くなった。一方、板状骨梁を連結する内外方向では、短い棒状骨梁が観測され、これらの骨梁中では縦波音速が約4.90×103 m/sと高くなった。このことから,骨梁形状や骨梁配向方向の違いが骨マトリクスの縦波音速に影響をあたえる可能性が示唆された.

骨,Brillouin 散乱,骨梁
AI-2012-03
ナノ秒高強度パルスレーザ光を使う創発的応力波の研究Ⅱ 【 PDF
吉田 翔一1, 牧野 友哉2, 得永 嘉昭1, 會澤 康治1
1金沢工業大学 大学院工学研究科電気電子工学専攻, 2金沢工業大学 工学部情報通信工学科
抄録

レーザ誘起応力波(LISW)を用いた細胞内への薬剤導入や遺伝子導入が行われているが,LISW発生は非線形効果を含む複雑な現象であるために理論的かつ実験的な検討が十分とは言えない.我々は,この現象の理解を通して創発的応力波素子の開発を目指している. 現在のLISW素子はポリエチレンテレフタレートと黒色ゴム(NR)の接着構造を使っているが,LISW素子を構成する材料の一つである黒色NRターゲットにナノ秒高強度パルスレーザを照射した際に発生するLISWの評価はLISWの発生メカニズムの解明につながると考えている.本報告では黒色NRで発生するLISWの評価とレーザ照射部で起こっている現象について報告する.

Nd:YAGレーザ,黒色NRターゲット,インパルス結合
AI-2012-04
Modeling of Ultrasonic Echo from Posterior Arterial Wall for Accurate in-vivo Detection of Intima-Media Complex Boundaries 【 PDF
Nabilah Ibrahim1, Hideyuki Hasegawa1,2, Hiroshi Kanai1,2
1Tohoku University Graduate School of Engineering, 2Tohoku University Graduate School of Biomedical Engineering
抄録

In line with the fact that the intima-media thickness (IMT) of the carotid arterial wall is the most frequently used indicator to diagnose atherosclerosis by ultrasound, it is essential to accurately estimate the thickness of the intima-media complex (IMC) boundaries, i.e., the lumen-intima boundary (LIB) and media-adventitia boundary (MAB). In this study, an improved adaptive model of an ultrasonic echo was developed to realize better fitting of the model to the reference RF echo, which was calculated from a transmitted ultrasonic wave measured with a hydrophone. Using the normalized mean squared error (MSE) method, the improved adaptive model (multiply the sinusoidal wave with the envelope of the reference RF echo) was fitted with the RF signal measured in vivo , and the positions of the model which give the minimum difference between the measured and model signals, are determined as the boundaries of the carotid arterial wall.

atherosclerosis,intima-media thickness (IMT),complex template matching,mean squared error (MSE)
AI-2012-05
高精度化されたFDTD法による音空間レンダリング 【 PDF
土屋 隆生1, 石井 琢人1, 大久保 寛2
1同志社大学 理工学部, 2首都大学東京 システムデザイン学部
抄録

本報告では,波動方程式を直接差分化したWE-FDTD 法の高精度化について検討を行っている。セル内の参照点を増やすことで,陽的でコンパクトに高精度化が行える。理論的な検討を行った結果,参照点の重みの違いによりCFL 数の上限値とカットオフ周波数が変化することが分かった。これらをもとに一定の音質を確保する場合の離散化条件を求めたところ,CFL 数を上限値に設定した場合がグリッド間隔を一番大きく取れることが示された。また,これまでに提案された各種手法で一定の音質を確保したレンダリングについて必要計算機資源を算出したところ,IWB 法がメモリ量および計算時間とも最も少なくなり,メモリ量は標準のWE-FDTD 法の約30%,計算時間は約40%で済むことが示された。

音波伝搬解析,波動方程式,FDTD法,WE-FDTD法,CFL数,GPU

第2回 2012年8月3日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2012-06
ラム波動場の線形従属性の破綻を用いた鋼板検査 【 PDF
寺本 顕武, 宮成 天馬
佐賀大学 大学院工学系研究科先端融合工学専攻
抄録

近年, 自動車用鋼板が要求する品質は, 「より薄く」「より美しく」「より強く」「より安価に」ばかりでなく, その使用用途に応じて多種多様かつ厳しいものとなっている. そこで, 鋳造, 鍛造, 圧延過程において, オンライン検査が行われている. 表面の欠陥については, 画像検査, 鋼中の欠陥については超音波による非破壊検査が主流である. ところが, 表面直下, すなわち表層中の欠陥については, 超音波による非破壊検査でもdead zoneのために検出が困難である. そこで, 本研究では, A0 モードラム波を用いて表層中の欠損の検出法を提案している. ラム波は, 薄板内を導波路として進行するため, 小さなエネルギー減衰で伝搬する特長がある. ところが, ラム波は音速が周波数と板の厚さによって変化する分散性の波であり, 波面の進行とともに, 入力パルスの形状が崩れ, 亀裂や剥離, 腐食箇所からの散乱波を検出することが困難になるという問題点がある. そこで, 本研究では,直交する動的せん断歪みの間の線形性の破綻に着目し, 「動的せん断ひずみの共分散行列」の行列式による欠損の撮像法を実現している. 本手法を用いることにより, 欠損近傍の音響近接場を撮像することができ, 欠損領域のシルエットを映像化することが可能となる.  本報告では, 提案手法の撮像原理を明らかにするとともに, 数値実験および音響実験を通して, 手法の有効性を評価している.

AI-2012-07
超音波による血液性状計測の精度評価 【 PDF
新田 尚隆
(独)産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門
抄録

血液粘度は、血栓や赤血球凝集など血液の異常を検出するための指標として有用と見込まれるが、全血は非ニュートン流体であり、粘度はずり速度の大きさにも依存するため、粘度のみで血液性状の変化を把握することは困難である。血液性状の変化を一意的に評価するため、本研究では、血液におけるずり速度-粘度関係(SV曲線)の推定に基づき、血液性状の特徴化パラメータを導入した。新鮮なウシ血液を用いた実験を行い、粘度計及び提案手法を用いて得られた各特徴化パラメータを比較して、精度評価を行った。

血液性状,ずり速度,粘度,特徴化パラメータ,精度
AI-2012-08
Range Point Migration法を用いた高精度超音波胎児体表イメージング −送信時のビーム指向性を用いた虚像抑圧− 【 PDF
谷村 真弥, 瀧 宏文, 阪本 卓也, 佐藤 亨
京都大学 大学院情報学研究科通信情報システム専攻
抄録

Range Point Migration(RPM)法は比較的均一な媒質中に存在する明瞭な境界を高精度に画像化することができるが、複数目標存在時に虚像が出現する。我々はRPM法の虚像を抑圧するため、送信時にビームを形成し信号到来方向の誤推定を抑圧する手法を提案する。本研究では超音波凹面素子アレイを用いた実験によりマイグレーション法、従来のRPM法、送信ビーム指向性を用いたRPM法の特性を比較した。提案する送信ビーム指向性を用いたRPM法の形状推定誤差はマイグレーション法の約1/4であり、従来のRPM法で出現する虚像の抑圧に成功した。この結果は提案法により胎児体表の高精度イメージングが実現可能であることを示唆している。

医用超音波イメージング,Range Point Migration法,胎児
AI-2012-09
Acoustic Imaging in Air over Wide Frequency Range 【 PDF
Xinhua Guo, 水野 洋輔, 中村 健太郎
東京工業大学 精密工学研究所
抄録

In this paper, acoustic imaging on object surfaces is carried out over wide frequency range with a fine frequency step. Visualization of three different objects surfaces are demonstrated with the frequency-swept illumination from 1 kHz to 20 kHz with a 30-Hz step. Images are produced at each frequency for one object using acoustic holography. In contrast to optical multi-spectrum imaging, frequency dependence gives rich information about surface shape and material of the object in multi-spectrum acoustical imaging. Characteristics of the surfaces such as the depth of holes and difference in materials are successfully visualized.

Wide frequency range,Multi-spectral acoustic imaging (MSAI),Acoustic holography
AI-2012-10
Bモード画像の同時生起行列に基づく肝病変定量診断手法の精度検討 【 PDF
田中 由紀1, 平田 慎之介1, 山口 匡2, 蜂屋 弘之1
1東京工業大学 機械制御システム専攻, 2千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
抄録

超音波画像を用いた臨床診断は医師の読影技術に依存する部分が多く,定量診断手法の開発が強く望まれている。われわれは,肝炎線維化の定量評価を目的としたエコー信号の解析手法の検討を行っている。本報告では,肝病変散乱体モデルによる超音波シミュレーション画像を用い,同時生起行列とテクスチャ特徴量を算出することで,病変の進行度と画像の特徴についての定量的な関係を検討した。画素間の関係を示す同時生起行列は,画素間距離により特徴的な変化をし,画素間距離が病変構造の大きさより大きくなると一定のパターンに収束することがわかった。また,テクスチャ特徴量であるコントラストは,この変化を定量化するよい指標で,肝炎の初期発見に有用であり,構造の違いも見分ける可能性があることが示された。

同時生起行列,テクスチャ解析,びまん性肝病変,肝病変散乱体モデル,定量診断
AI-2012-11
ログステップマルチキャリア波による超音波イメージング技法の速度検出性能 【 PDF
前田 泰成1, 杉本 雅則2, 橋爪 宏達3
1総合研究大学院大学 複合科学研究科, 2東京大学 大学院工学系研究科, 3国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系
抄録

空間超音波を使用し速度を含めた空間画像を構成する新アルゴリズムについて報告する。本手法は、送信波にログステップマルチキャリア波と呼ばれる波形を使用し、精密なドップラー効果検出を行うところに特色がある。シミュレーションによって、提案手法は従来の医療超音波診断に用いられてきたカラードップラー法と比較して約20倍の速度検出精度を持ち、またより広い範囲の速度を検出できることが確認された。実験により実機においても速度画像化性能を検証した。

空間超音波,ドップラー速度,マルチキャリア波,カラードップラー
AI-2012-12
超音波照射と電気刺激による期外収縮発生に関する培養心筋細胞を用いた検討 【 PDF
水内 美里, 工藤 信樹
北海道大学 大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻
抄録

我々は超音波照射による期外収縮発生の機序解明を目的として培養心筋細胞を用いた検討を行っている.本研究では,培養心筋の拍動を一定に制御しながら期外収縮の発生の時間閾値を求めるために新たな実験システムを開発し,拍動を統一することにより時間閾値のばらつきが有意に低減することを確認した.また,開発した実験システムを用いて,超音波照射のみ,気泡存在下で超音波照射,電気刺激の3種類の刺激により期外収縮が発生する時間閾値を計測した.実験の結果,それぞれの刺激条件における時間閾値は,292±23 ms,207±12 ms,233±28 ms(平均±標準偏差)となった.刺激の種類によって時間閾値が異なり,かつ超音波照射ではその強度にも依存したことから,超音波照射と電気刺激では期外収縮を発生する機序に違いがあることが示唆された.

培養心筋細胞,心室性期外収縮,コントラスト心エコー,電気刺激,パルス超音波
AI-2012-13
パルス超音波を用いたソノポレーションにおける薬物付着型微小気泡の有用性に関する基礎的検討 【 PDF
吉松 幸里1, 工藤 信樹1, 鈴木 亮2, 丸山 一雄2
1北海道大学 大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻, 2帝京大学 薬学部
抄録

我々は,一般的にはソノポレーション効果が得られないと考えられているパルス超音波でも,微小気泡が細胞に接触した状態で照射すれば一時的な膜損傷を生じ,ソノポレーション効果が生じることを報告してきた.本手法では気泡が付着した部位に細胞膜の損傷が生じるという特徴があるため,気泡自体に薬剤を付着させることができれば,導入効率の向上が期待できる.そこで本研究では,薬物付着型微小気泡として,薬物を模擬した蛍光物質で標識された脂質をシェルとする気泡を用いて,ソノポレーションにおける薬物付着型微小気泡の有用性について検討を行った.培養細胞を用いたin vitro実験の結果,超音波照射によって気泡が崩壊した後も蛍光は細胞の近傍に留まっている様子が観察できた.さらに共焦点顕微鏡を用いて3次元観察を行った結果,蛍光標識された気泡のシェルは細胞表面に付着していることが観察できた.しかし細胞内部への蛍光物質の取り込みは見られず,気泡への薬剤の付加の方法を変更することによる導入効率向上の可能性が考えられた.

ソノポレーション,超音波,微小気泡,バブルリポソーム,DDS
AI-2012-14
画像差分型シュリーレン法を用いた超音波音場の可視化 【 PDF
工藤 信樹
北海道大学 大学院情報科学研究科
抄録

透明物体中の屈折率の分布を可視化する方法として,シュリーレン法とシャドウグラフ法が古くから研究され,現在も広い分野で応用がなされている.これらの方法は,超音波音場の可視化にも応用されているが,シュリーレン法には,感度が高いが高品質な光学系が必要になること,シャドウグラフには,光学系は簡便であるが感度が低く得られる像の歪みが大きいというそれぞれの特徴がある.そこで我々は,医療に用いられる超音波の音場可視化に適した,シャドーグラフ法を基本とする新しい音場可視化手法を提案し,その有用性について検討している.本稿では,提案する手法の特徴を,シュリーレン法やシャドウグラフ法と比較しながら解説するとともに,実際に超音波診断装置の超音波パルス音場を可視化した結果を示し,本手法の有用性を示す.

超音波音場,可視化,光学的手法,シュリーレン,シャドウグラフ
AI-2012-15
超音波の安全性について −DNA損傷と修復に関する比較研究− 【 PDF
近藤 隆
富山大学 大学院医学薬学研究部放射線基礎医学講座
抄録

超音波は診断のみでなく,機械的作用や熱的作用を利用してがん治療にも用いられている.超音波による温熱療法装置は病巣を加温することで温熱(ハイパーサーミア)治療に用いられており,また集束超音波は超音波を集中させることによる高温を利用し前立腺がんや乳がんの治療に用いられている.温熱によるがん細胞死誘導のメカニズムの一つとしてリン酸化ヒストンH2AX(γH2AX)フォーカス形成に示されるDNA損傷が注目されている.温度上昇が十分な超音波照射条件下では熱作用によりDNA損傷を引き起こすことが考えられるが,超音波が直接細胞内のDNAに与える影響は明らかではない.本研究ではgH2AX形成を中心に、超音波のDNA損傷誘発機構に関して調べ、放射線および温熱の生物作用と比較検討し、超音波の安全性について考察した.

放射線,DNA二本鎖切断,キャビテーション,機械的作用,安全性

第3回 2012年10月24日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2012-16
P(VDF/TrFE)を用いた超音波顕微鏡用トランスデューサについて 【 PDF
高橋 貞幸
山形大学 地域教育文化学部
抄録

圧電高分子材料では、PVDFが有名である。本研究では、PVDF系のVDF/TrFEのランダム共重合体である、P(VDF/TrFE)(75/25mol%)を用いた超音波顕微鏡用凹面型トランスデューサについて述べる。P(VDF/TrFE)によるトランスデューサの製作は、コポリマー溶液を、直接凹面に塗布するスピンコート法で行った。本方法により製作した、凹面型P(VDF/TrFE)トランスデューサの焦点距離(f)は、f=1.6mm、0.3mmおよび0.2mmの3種類である。これらのトランスデューサを用いて、ROM-chipの画像を50〜860MHzで得た(媒質は水、または温水)。また、媒質を液化窒素とした、低温用のP(VDF/TrFE)凹面型トランスデューサを開発し、100MHzおよび160MHzでの画像形成を試みた。

圧電高分子,トランスデューサ,P(VDF/TrFE),超音波顕微鏡,音響画像
AI-2012-17
マルチレイリーモデルを用いた肝病変定量診断手法の検討 【 PDF
樋口 達矢1, 平田 慎之介1, 山口 匡2, 蜂屋 弘之1
1東京工業大学 大学院理工学研究科機械制御システム専攻, 2千葉大学 フロンティアメディカル研究開発センター
抄録

び慢性肝疾患では病変の進行に伴い組織構造が変化し,超音波エコー信号の振幅分布がレイリー分布から逸脱していく.我々は,分布関数の変化を複数のレイリー分布の組み合わせで表現するマルチレイリーモデルを提案し,線維組織と正常組織のそれぞれに対応する二つのレイリー分布を組み合わせた二成分マルチレイリーモデルによる肝炎線維化の定量化を行い,良好な結果を得た.しかし, ROI 中に線維・正常組織に加え,血管が多く含まれる場合にはこのモデルでは近似度が悪くなる.本報告では線維,正常,血管・結節内部のそれぞれに対応する三つレイリー分布を組み合わせた三成分マルチレイリーモデルの検討を行った.本モデルは,物理的構造と一対一に対応しており,三成分モデルにより,血管を含む場合でも線維化指標を安定に推定できることが分かった.また,三成分モデルを用いれば肝臓全体を精度良くモデル化できることを分布間の違いを示すKL情報量による評価で,定量的に示した.

医用超音波,振幅分布モデル,統計解析,定量診断,組織性状診断
AI-2012-18
残響曲線から見た音空間レンダリングの妥当性の検討 【 PDF
土屋 隆生, 山下 脩
同志社大学 理工学部
抄録

本報告では,音空間レンダリングの妥当性を検討するために残響曲線を基にした評価を試みている。音空間レンダリングのための数値計算手法には,FDTD法の高精度版であるIWB-FDTD法を採用している。計算モデルは4種類の矩形室形状を想定し,残響曲線はGPUクラスタにより計算されたインパルス応答を基に逆2乗積分により計算している。理論残響曲線は,非拡散の鏡面反射場に対する残響理論を用いて計算し,音空間レンダリングによる結果と比較検討した。その結果,立方体に近い室形状の場合は,レンダリング結果と理論は比較的良い一致を示したが,細長い室形状のときは後部残響について大きな差が見られた。それに対し,残響理論において平均反射頻度比を8倍にしたところ,両者はかなり良く一致することが示された。いくつかの数値実験により,IWB-FDTD法による音空間レンダリングは妥当であることが示された。

FDTD法,CE-FDTD法,IWB法,残響理論,GPUクラスタ
AI-2012-19
流体シミュレーションによる超音波液流ポンプ流れ場の可視化 【 PDF
和田 有司1, 小山 大介2, 中村 健太郎1
1東京工業大学 精密工学研究所, 2同志社大学 理工学部
抄録

近年、小型OA機器の冷却装置として静粛で冷却能力が高い水冷却ポンプが注目されている。これに対して液体中の超音波振動面に隙間を介して円管を配置すると揚水する現象を利用した、小型超音波ポンプが提案されてきた。しかし、その動作原理について、これまでのスクイーズ膜理論に基づく単純なモデルではポンプ現象を正確には説明することができていない。本報告では、GPUを利用した流体計算を用いて計算機上でポンプ現象をシミュレーションする方法について検討する。粘性と非線形性の考慮に加え、ギャップ間隔の振動変位を境界条件の設定により考慮すると管の先を開いたときに振動面外周からポンプ内部への定常的な流れが発生してポンプとしての動作することがわかった。

音響流,超音波ポンプ,FDTD法,流体解析,並列計算
AI-2012-20
高速度映像からの発話音声抽出に関する検討 【 PDF
阿久津 真理子1, 大内 康裕2, 及川 靖広1, 山崎 芳男1
1早稲田大学 大学院基幹理工学研究科表現工学専攻, 2早稲田大学 IT研究機構
抄録

高速度カメラを用いた音の記録を目的とし,高速度カメラで撮影した発話者の映像のみから発話音声の再現を目指している。本稿では発話者の頸部と口唇に注目し,皮膚振動からの音声の取得を試みた。本手法は頸部や口唇の振動そのものを記録するので,声質やイントネーションといった個人性を含んだ発話情報を取得することが可能であり,またマイクロホンを用いないので高雑音下でも周囲の雑音に強いという利点がある。今回実際に高速度カメラでの撮影,高速度映像の解析を行うことで頸部と口唇の振動の取得を行った。このように取得した振動に発話音声に関わる情報が含まれていることが確認されたので報告する。

高速度カメラ,頸部振動,読唇,発話情報

第4回 2012年12月13日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2012-21
波長走査光断層測定による低弾性定数材料の表面波測定 【 PDF
加藤 友佳子, 和田 有司, 水野 洋輔, 中村 健太郎
東京工業大学 精密工学研究所 中村研究室
抄録

内視鏡エラストグラフィの実現のためには高い空間分解能で微小領域の測定をすることが必要とされている.Optical coherence tomography(OCT)は高空間分解能のイメージング技術の1つとして挙げられ,本研究ではSS(swept-source)-OCTを用いて低弾性率試料の弾性表面波(SAW)の伝搬速度を求める方法を検討した.1 m/s以下の低速な横方向スキャンにより,1〜20 m/s程度の伝搬速度のSAWを観測する場合について定式化し,複数の周波数で観測される見かけのピッチ計測から真の伝搬速度を求める方法を試した.スピーカにより小さい木棒を介して加振した寒天サンプル表面の測定を500〜000 Hzで行ったところ,SAW伝搬速度の寒天濃度に対する傾向は過去の研究結果と一致した.

光断層測定,弾性表面波,エラストグラフィ,伝搬速度,低弾性材料
AI-2012-22
高周波数超音波による人工皮膚の粘弾性計測に関する研究 【 PDF
長岡 亮1, 和泉 拓哉1, 小松 洋介1, 小林 和人2, 西條 芳文1
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻科, 2本多電子株式会社
抄録

皮膚の定量的計測法は確立されておらず、幅広い分野から強く望まれている。高周波数超音波計測を用いて皮膚の微細な構造の可視化を行い、かつ皮膚の内部の機械的特性を定量的に評価する手法の開発を目指す。本発表では、音響放射圧を用いて3層構造の人工皮膚に生じた微小変位を計測し、計測変位およびフォークトモデルから粘弾性を推定することを目的とする。高周波数超音波を用いて各層における微小変位を計測し、各層の粘弾性推定を行った。得られた推定値は各層の機械的な特性を良く表わしていると考えられる。提案手法を用いることにより人工皮膚の粘弾性特性を計測できた。以上より本手法により皮膚の重要な情報を定量的計測が可能である。

高周波数超音波,粘弾性計測,音響放射圧,スキンエイジング
AI-2012-23
半導体レーザを用いた光音響顕微鏡によるラット膝関節の評価 【 PDF
和泉 拓哉1, 長岡 亮1, 佐藤 みか1, 萩原 嘉廣2, 西條 芳文1
1東北大学 大学院医工学研究科, 2東北大学 大学院医学系研究科
抄録

変形性膝関節症(OA)は関節の主要な病気であり、その検査手法としてCT、MRIや超音波(US)が度々用いられる。また光音響(PA)顕微鏡は生体組織を高コントラストにイメージングする手法である。本研究の目的は、OAと健常のラット膝関節のUSとPA画像を比較することで、関節の光音響特性を明らかにすることとOAによる変化を捉えることである。USとPAで得られた画像を比較すると、USでは軟骨や軟骨下骨表面で反射信号が強かったが、PAではその深部の海綿骨で強い信号が発生した。またOAと健常の軟骨を比較すると、PAにおいて海綿骨で発生する信号強度に有意な差があった。本研究により、軟骨の光音響特性とPAによるOAの早期発見の可能性を示した。

光音響イメージング,生体計測,アコースティックイメージング
AI-2012-24
四腔断面領域でのMRI血流速度データに基づくEcho-Dynamography法の妥当性評価 【 PDF
小島 貴則1, 中島 博行1,2, 西條 芳文1
1東北大学 大学院医工学研究科, 2東北厚生年金病院 中央検査部
抄録

通常,ドプラ法では超音波照射方向に対して直交する速度成分を見積もることはできない. 近年, カラードプラデータに流体力学的法則を適用し, 超音波照射方向に垂直な速度成分の推定が可能なEcho-Dynamography (EDG)法[1]による二次元速度ベクトル分布が実用化され, 臨床的有用性が認められている. 本手法の妥当性については, CFDモデル[7]及び計測断面に垂直な速度成分が小さいモデル流[9]で確認されている. しかし, 複雑な血流方向を示す生体内における妥当性に関しては未報告である. そこで, 本研究では3次元方向の血流速度を測定できるPC-MRAによる速度場を真値とし, 心尖部四腔断面領域でのEDG法の妥当性について検証を行った. 血流が速い時相においては, 超音波ビームに垂直な速度成分について, 両者の血流速度分布に大きな矛盾は見受けられなかった.

カラードプラ,Echo-Dynamography,VFM,血流,位相コントラスト法
AI-2012-25
2倍高周波重畳法を用いた超音波治療を増強するキャビテーション気泡発生効率の向上に関する研究 【 PDF
安田 惇1, 浅井 歩1, 吉澤 晋1, 梅村 晋一郎2
1東北大学 工学研究科, 2東北大学 医工学研究科
抄録

Cavitation bubbleは強力集束超音波(HIFU)の焦点領域に発生させられた非常に強い負圧によって生成される微小気泡で,医用超音波の分野で,HIFU治療や,Histotripsyなどに応用される.しかし,キャビテーション気泡は,非線形伝播の影響により集束音場では発生させることが難しい上,空間的,時間的な制御をしないと,正常な組織を傷つけてしまう原因ともなりうる.本研究では,基本波に2倍高調波を足し合わせることにより正圧及び負圧を強調させた波形を用い生体模擬ゲル中でのキャビテーション気泡の挙動を高速度カメラで撮影し,キャビテーション気泡の生成の様子を調べた.結果,負圧を強調した波形の直後に正圧を強調した波形を照射したものが最もキャビテーション気泡が多く生成された.

治療用超音波,キャビテーション,高速度撮影
AI-2012-26
生体模擬ゲル中への治療用超音波照射時におけるキャビテーション気泡の加熱増強効果の解析 【 PDF
浅井 歩1, 岡野 裕樹1, 吉澤 晋1, 梅村 晋一郎2
1東北大学 大学院工学研究科通信工学専攻, 2東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻
抄録

低侵襲な癌治療法として強力集束超音波(HIFU)は近年注目されているが、問題点として治療時間の長さがあり治療の効率化が求められている。キャビテーション気泡の加熱増強効果の治療への利用は効率化への手段の一つとなる。また、その効果を利用した安全で効率的な新たな治療法を計画するためにはキャビテーション気泡を考慮に入れた3次元熱伝導シミュレーションは必要不可欠である。本研究では気泡の加熱増強効果を超音波吸収係数とするモデルを構築し、実験値と比較した結果から気泡を考慮に入れたHIFU治療の3次元熱伝導シミュレーションを構築することが出来た。しかし精度をより向上させるにはよりよい気泡領域の推定方法が必要である。

治療用超音波,キャビテーション気泡,生体模擬ゲル
AI-2012-27
M系列変調信号を用いた移動物体の超音波距離速度計測の実験的検証 【 PDF
平田 慎之介1, 柴又 賢史2, 蜂屋 弘之1
1東京工業大学 機械制御システム専攻, 2東京工業大学 制御システム工学科
抄録

超音波距離計測手法の一種であるパルスエコー法に,M系列を用いたパルス圧縮を適用することで,受信信号に含まれる白色性雑音の低減と距離分解能の向上が可能となる.しかし計測対象が移動する場合,反射したエコーにはドップラー効果による時間領域での伸縮が生じる.そのためM系列符号で変調した正弦波を送受信する手法では圧縮利得が大幅に低下し,エコーの検出,距離計測が困難となってしまう.そこで周期的なM 系列変調信号の周波数スペクトルの特徴から対象のドップラー速度を計測し,その速度に応じて変調した参照信号を用いて相互相関処理を行う手法を提案している.本稿では,提案するドップラー速度計測について述べ,その精度・分解能について実験的な検証を行う.

空中超音波,M系列,ドップラー速度計測,パルス圧縮,距離速度計測
AI-2012-28
相互相関による組織速度推定法における符号化送信を用いた開口合成の影響 【 PDF
瀧 宏文, 佐藤 亨
京都大学 大学院情報学研究科通信情報システム専攻
抄録

符号化送信による医用超音波開口合成イメージングの特徴として、送信電力を増加させることによる信号対雑音比の向上、送信時の焦点形成による空間分解能低下を伴わない高時間分解能化が挙げられる。しかし、本手法はパルス圧縮が完全に成功し、また送信パルスが測定領域を通過する間の組織の移動が無視できることを想定している。本研究では、パルス圧縮が理想的に成功する条件下における、組織速度の組織スペックルへの影響を評価した。組織速度が5 m/s以上では組織速度の組織スペックルへの影響が無視できず、スペックルトラッキングを用いた速度推定精度が大きく劣化することがわかった。

符号化送信,パルス圧縮,組織速度,相関,スペックル
AI-2012-29
血液力学特性と血管拡張の同時計測における相関性評価 【 PDF
新田 尚隆
産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門
抄録

近年、動脈硬化の早期発見等を目的として、血管内皮機能検査が注目されている。代表的な内皮機能検査方法であるFMD検査では、駆血前後における血管径の拡張度が計測される。血管拡張の間接的刺激因子としては壁ずり応力が指摘されているが、これには血液性状が関与している。本研究では、血液性状が関与する力学的特性(血液粘度、壁ずり応力)を血液力学特性と総称し、FMD計測中において血液力学特性と血管径との同時計測を行って、両者の相関性を評価した。

内皮機能,血流依存性血管拡張反応,壁ずり応力,血液粘度,超音波

第5回 2013年2月19日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2012-30
SLDVと空中放射音波を用いたコンクリート表層部の欠陥映像化に関する研究 — 剥離欠陥検出の検討 — 【 PDF
赤松 亮1, 杉本 恒美1, 歌川 紀之2, 片倉 景義3
1桐蔭横浜大学 大学院工学研究科, 2佐藤工業株式会社 技術研究所, 3明篤技研
抄録

現在、コンクリート構造物の内部欠陥の検査法として打音検査が主流であるが、人の手の届かないような場所の検査は困難であるという課題がある。そこで本研究ではスキャニング振動計(SLDV)と空中放射音波を用いた入出力ともに非接触で行う検査法の提案および実用可能性の検討を行っている。今回、現実的なひび割れを模擬した供試体を対象とした探査実験を実施し、提案手法のはく離欠陥検出への適用性について検討を行った。結果から、空洞欠陥と同様に欠陥検出が行える事を確認した。

スキャニング振動計,空中放射音波,非接触検査法,コンクリート,非破壊検査,剥離
AI-2012-31
音波振動による土壌中の水分分布計測に関する研究 −伝搬音速の推定精度と植物栽培中の土壌水分測定に関する検討− 【 PDF
杉本 恒美1, 中川 裕1, 白川 貴志1, 佐野 元昭1, 大幅 元吉2, 澁澤 栄2
1桐蔭横浜大学 工学部, 2東京農工大学 農学部
抄録

現在、世界的な水不足問題が懸念されているため農業用水の節水が必要とされている。そのため、負圧差灌水方式と呼ばれる土壌内部からの灌水方式が着目されている。負圧差灌水方式は土壌内部の水分量を一定に保つ性質がある。しかしながら、土中の水分分布の状況を把握できていないため、効率的な水分供給制御が行えていない。そこで、本研究室では、音波振動を用いて植物の根域領域における水分分布を測定する方法を検討している。今回は、土壌を伝搬する音速の推定精度と音波振動を用いた植物栽培中の土壌水分測定について検討した。

スキャニング振動計,超磁歪振動子,水分分布,体積含水率
AI-2012-32
2枚の短冊形たわみ振動板を用いた空中超音波音源による液滴の非接触微粒化 【 PDF
柳本 聖月, 三浦 光
日本大学 理工学部電気工学科
抄録

筆者らは液滴の新しい微粒化方法として,短冊形たわみ振動板型超音波音源を用いた空中超音波による非接触微粒化の検討を行っている.これまでに,短冊形たわみ振動板の形状検討,反射板を用いた定在波音場の形成と音圧分布の検討,微粒化実験を行った.本稿では,より強力な定在波音場を形成するため,2 枚の振動板を用いた音源の検討,形成した定在波音場の音圧分布,音場での微粒化の様子の観察,また,水及びエタノールの微粒化可能範囲と音圧の関係について明らかにした.

非接触,微粒化,空中超音波,たわみ振動板,超音波霧化
AI-2012-33
電極/回転Y−X LiTaO3基板及び高温度安定・高結合SiO2/回転Y-X LiTaO3基板の擬似弾性表面波の伝搬特性の解析 【 PDF
山之内 和彦
東北大学 電気通信研究所
抄録

電極/回転Y-XLiTaO3基板、及びSiO2 /電極/ 回転Y-X LiTaO3基板の擬似弾性表面波の伝搬特性を解析し、金属電極、誘電体膜を付着させることにより、回転角に対するShort、Openでの伝搬減衰が異なること、及びSiO2膜厚 H/λ(H:SiO2膜厚、λ:弾性表面波の波長)が0.20付近において、k2が0.05以上、界面短絡の場合、伝搬減衰が零, 周波数温度特性(TCF)が、零でかつ広い温度範囲で良好な温度特性をもち、かつスプリアス特性の良好な基板が得られた結果について報告する。

Leaky Surface Wave,Coupling,TCF,Decay,LiTaO3
AI-2012-34
有限長圧電振動子からの音の伝搬挙動について 【 PDF
宇田川 義夫1, 小堀 修身2
1アイ・エス・エル, 2大阪産業大学 工学部 機械工学科
抄録

有限長さの圧電振動子にパルス電圧を印加して発生する波の送信伝播挙動に関して述べる

音の発生と伝搬,圧電振動子,音圧,可視化
AI-2012-35
ガイド波による平板減肉形状のイメージング 【 PDF
廣瀬 壮一, 王 彬
東京工業大学
抄録

平板の欠陥の位置や寸法を検出するために,ガイド波を用いたいくつかのトモグラフィ手法が提案されているが,その多くは,経験的あるいは統計的な手法であり,波動理論に基づく手法はほとんどない.本稿では超音波板波の反射係数から3次元平板減肉の形状再構成のための新しい逆解析手法を提案する.その逆解析手法は3次元平板における板波の散乱理論に基づいている.まず,板の減肉による散乱波の積分表現を示した後,グリーン関数に遠方近似及び積分表現にボルン近似を導入して線形化逆散乱問題を定式化し,減肉部の形状を表す関数と反射係数の間にフーリエ変換・逆変換の関係があることを示す.その後,数値計算によって得た0次SHモードの反射係数を用いて,提案した逆解析手法の妥当性と有効性を検証した.

ガイド波,平板減肉,形状再構成,逆問題,ボルン近似
AI-2012-36
金属及び複合材内の異質部・損傷部の高調波画像化 【 PDF
川嶋 紘一郎
(有)超音波材料診断研究所 研究部
抄録

大振幅正弦波バースト波を入射して,工業材料内の密着界面,金属内の微細介在物,音響インピーダンス差が大きな異質材料接合界面の微小欠陥,複合材料の強化繊維とマトリックスの微細な剥離部などを揺り動かしたとき生ずる正弦波形のゆがみを高調波として抽出する水浸高調波画像化法の基礎と適用例を示す.20MHz, 3サイクルのバースト入射により散乱源からの3次高調波(60MHz)振幅を画像化して,清浄度の高い鋼材中の2×8μm の介在物を検出できる.100MHz のバースト波送信機を用いれば1〜2μm の介在物,マイクロボイドイドの画像化が可能になろう.

高調波,画像化,非線形超音波,微細欠陥,微細損傷
AI-2012-37
超音波ガイド波の軸対称欠陥での反射挙動と欠陥のサイズ推定 【 PDF
西野 秀郎
徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部
抄録

配管を伝搬するガイド波が軸対象でテーパ状に変化する人口減肉欠陥で示す伝搬挙動を,実験とモデル計算を用いて考察する。配管の断面積変化により反射が決定される計算モデルが現象をよく説明することを示す。本モデルを用いて,周波数別の検出波形を用いて,減肉形状を推定する逆問題解法を提案する。UT 計測で得られた減肉形状と一致したので示す。

非破壊検査,配管検査,ガイド波
AI-2012-38
低周波アレイ探触子を用いたコンクリート中の空隙の超音波イメージング 【 PDF
中畑 和之1, 川村 郡1, 廣瀬 壮一2
1愛媛大学 大学院理工学研究科生産環境工学, 2東京工業大学 大学院情報理工学研究科情報環境学専攻
抄録

超音波アレイ探触子を用いて非均質材料内部の空隙を再構成する方法として,著者等は全波形サンプリング処理(FSAP) 方式を提案している.FSAP 方式では電子スキャンの遅延回路を使用しないので,簡単な装置構成で高電圧かつ連続波によるアレイ映像化が可能である.本研究では,低周波アレイ探触子を作成し,FSAP 方式によるコンクリート中のスリット状空隙の再構成を試みる.欠陥再構成の前に,コンクリート内部の波動場の特性を数値解析によって検証した結果,使用するアレイ探触子の周波数帯域では分散は顕著ではないことを確認した.従って,音速を一定と仮定してFSAP 方式による欠陥の映像化を試みた結果,200mm 程度の深さにある空隙が再構成できた.

超音波探傷,低周波アレイ探触子,全波形サンプリング処理(FSAP) 方式,欠陥再構成,コンクリート