1. 当研究会にユーザ登録されている方は,今年度開催の研究会に関するフルテキストPDFおよび動画(音声)ファイルを全て閲覧可能です.
  2. 文献引用の際には「アコースティックイメージング研究会資料 AI-****-**」との明記をお願いいたします.
  3. 上部の検索より論文を検索することができます.
  4. 新規にユーザ登録したい方は,下記のボタンをクリックしてください.

第1回 2010年6月24日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2010-01
プローブ位置計測と断層像認識の並列処理による生体内音場の3次元可視化インターフェースの開発 【 PDF
加藤 俊和, 田口 侑人, 吉永 崇, 宮崎 航, 桝田 晃司
東京農工大学 大学院生物システム応用科学府
抄録

我々はこれまで,超音波を用いたマイクロカプセルの生体内制御を目指し,分岐を有する模擬血管において超音波照射によるマイクロカプセルの能動的流路選択法に関する研究を進めてきた.しかし,生体内へ応用する場合,プローブ断層面と血管,及びトランスデューサから発する超音波音場内の焦点の相対的な位置関係を把握することが困難であった. そこで,本研究ではプローブ及びトランスデューサの位置姿勢計測を行い,断層像認識の並列処理による生体内音場の3次元可視化インターフェースを設計・開発した.これにより,生体内でも血管や音場焦点の相対関係を直感的に捉えられ,マイクロカプセルの生体内制御の支援となることが示唆された.

DDS,音圧分布,可視化インターフェース
AI-2010-02
FDTD法とCIP法を用いたハイブリッド音響シミュレーションに関する検討 【 PDF
大宮 理生1, 大久保 寛1, 土屋 隆生2, 田川 憲男1
1首都大学東京 システムデザイン学部, 2同志社大学 理工学部
抄録

本研究では,大規模な音響シミュレーションの精度向上のための検討として,FDTD法とCIP法を組み合わせたハイブリッドシミュレーションの評価を行った.特に,FDTD-CIP領域の境界の取り扱いについて検討を行い,新たに境界の設定方法を提案した.検討結果より従来から用いられているFDTD法を単独で用いる場合よりも精度の高いシミュレーションを実現することができることがわかった.

音波伝搬,音響シミュレーション,FDTD法,CIP法,ハイブリッド法
AI-2010-03
チャープ信号を用いた生体高調波画像化法における非線形成分抽出法の検討 【 PDF
田邉 将之1,2, 山村 拓也1, 大久保 寛1, 田川 憲男1
1首都大学東京 システムデザイン研究科, 2日本学術振興会 特別研究員(DC)
抄録

高精細な生体超音波画像を得るための手法として,生体高調波画像化法( Tissue Harmonic Imaging : THI)が提案されている.THI では基本波の2 倍の帯域幅を有する第二高調波成分を用いるため,距離分解能が向上する.しかし,基本波と高調波の周波数帯域が混合しないように,周波数帯域に制限を設ける必要がある.また信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio : SNR)を向上する手法として,チャープ信号を用いたパルス圧縮技術(Pulse Compression Technique : PCT)が存在する.しかしターゲットまでの距離が近い場合には,送信信号を照射中に受信信号が戻ってきてしまうため,信号長を十分長くすることができず,その結果SNR の向上が見込まれない.そこで,本研究ではこれらの問題を同時に解決し高SNR と高空間分解能を実現するため,時間領域における送信信号と受信信号の混合,さらに周波数領域における基本波成分と高調波成分の混合が生じない手法を提案し,A モードおよびB モード画像の生成を通して有効性の評価を行う.

生体高調波画像化法,パルス圧縮,チャープ信号,パルスインバージョン
AI-2010-04
超音波B-Flow血流映像からの肝硬変疾患の特徴量抽出 【 PDF
山田 晃1, 牧田 敬介1, 地挽 隆夫2, 小笠原 正文2, 小川 眞広3
1東京農工大学 大学院生物システム応用科学府, 2GEヘルスケア・ジャパン 超音波技術製造本部, 3日本大学医学部 消化器肝臓内科
抄録

B-Flow 血流映像法は、造影剤を使わずにミリオーダの肝辺縁血流の走行状態を高解像に映像化することができ、びまん性肝疾患の診断への適用が期待される。例えば、血管の豊富さ、壁の不整、蛇行走行などの肝辺縁の血流動態の異常を検出することにより、肝硬変に伴う肝線維化の度合いを診断できる可能性が期待される。これらは専門医の読影技術に依存するところが大きいが、コンピューター支援診断による定量評価が可能になれば、診断の信頼性の向上につながる。こうした点を踏まえて、本報告では肝硬変疾患に伴う肝辺縁血流動態の特徴量抽出処理について検討した。

超音波画像診断,B-Flow 血流映像,肝硬変診断,コンピュータ支援診断,特徴抽出
AI-2010-05
コード間干渉雑音を除去した同時送波音響映像法の検討 【 PDF
小笠原 一憲, 高山 潤也, 蜂屋 弘之
東京工業大学 制御システム工学科
抄録

空中における音響センシングは周辺物体の位置,形状,材質,運動などのさまざまな情報を取得できる方法であると考えられている。しかし,現在その利用法は対象物体までの距離計測程度に限られており,高度な計測システムの開発が望まれている。我々はSN比の高い計測を行うためにコード化信号を用いる手法を検討している。音響画像の分解能を高めるためには,複数の送波器を用いて,送受波器開口を広げることが有効であるが,パルス信号の複数回送波の時間が必要となる。複数のコード化信号をを同時に送波することにより,一度の送波で複数回の送波を行ったと同等の効果を得ることができるが,コード間干渉による画像劣化が問題となる。本稿では,相互相関値が小さいプリファードペアとなる複数のM系列信号を同時に用いた画像化手法と,コード間干渉の除去手順について検討した。送受波器間を直接伝搬する直接波によるコード間干渉の除去を行い,さらに画素を構成する複数信号の複素平面上の分布状況から,コード間干渉の抑圧処理を行い,周囲環境の画像化を行ったところ,一回の送波のみで,高速に高分解能で高品位な画像を生成することができた。

音響センシング,M系列信号,プリファードペア,音響画像,PN符号,コード間干渉
AI-2010-06
マルチキャリア波を用いた超音波イメージングの基礎検討 【 PDF
前田 泰成1, 杉本 雅則2, 橋爪 宏達3
1総合研究大学院大学 情報学専攻, 2東京大学 大学院工学系研究科, 3国立情報学研究所
抄録

送信機から送出された超音波が対象物により反射して複数のセンサーに到達する信号を測定することにより,対象物の角度と距離が推定できる.我々はマルチキャリア信号を用いた高精度到来時間推定について研究を行ってきた.また受信された実信号列にヒルベルト変換を施して得られる解析信号列を用いて推定精度を向上することに関心があった.我々は受信機として機械実装されたMEMS センサーからなるセンサーアレイを用い,各センサーの受信信号から計算された解析信号列に整合フィルタ及びパルス圧縮を適用して,到来時間推定精度を比較し高い推定精度を得た.また,ダウンサンプリング時の推定精度の変化についての実験によって,解析信号列は実信号列に比べてダウンサンプリング耐性が高いことが示された.

ヒルベルト変換,エルミート積,整合フィルタ,パルス圧縮,マルチキャリア
AI-2010-07
A Novel Class of Binary Zero-Correlation Zone Sequence Sets 【 PDF
Takao Maeda, Shigeru Kanemoto, Takafumi Hayashi
School of Computer Science and Engineering the University of Aizu
抄録

The present paper introduces a method how to construct binary sequences having a zero-correlation zone property. We generate a set of sequences from an Hadamard matrix. The cross-correlation function of two different sequences of the set is zero for the phase shifts within some range. The side-lobe of the auto-correlation function of a sequence of the set is zero for the phase shifts within the same range. The range is said to be zero-correlation zone. The proposed zero-correlation zone sequence set is divided into two subsets. Zero-correlation zone of the inter-subset cross-correlation function is much wider than zero-correlation zone of the inner-subset cross-correlation function. Applying the proposed sequence set to the synthetic aperture ultrasonic imaging, we get better image because inter-subset zero-correlation zone is wider. The proposed sequence set is expected to be suitable for real-time synthetic aperture ultrasonic imaging.

AI-2010-08
血管分岐部におけるマイクロカプセル高効率誘導のための平面波照射条件の実験的検討 【 PDF
渡會 展之1, 江田 廉2, 中元 隆介1, 桝田 晃司1
1東京農工大学 大学院生物システム応用科学府, 2千葉大学 融合科学研究科
抄録

薬物を含んだマイクロカプセルを体内に注入し、体外からの超音波照射によりカプセルを破壊して任意の部位に薬物投与を行う選択的薬物伝送(Drug Delivery System)を効率よく行うためには、薬物キャリアであるマイクロカプセルの生体内での拡散を最小限に抑え、投薬部位に誘導する必要がある。そこで我々はこれまでに分岐を有する人工血管において集束超音波を照射することによってマイクロカプセルを任意の流路へ誘導が行えることを示した。しかし、これまでの実験で用いていたカプセルの直径は63-75[μm]と生体に適用するには大きすぎるものであった。そこで、血球と同程度の10[μm]以下の直径のマイクロカプセルを用いて、分岐を有する人工血管に様々な条件で平面波を照射し、カプセルを高い効率で誘導するための超音波の照射角度、音圧、周波数等の最適条件を実験的に検討した。また、複数音源を用いることで誘導効率の向上を検討した。

DDS,マイクロカプセル,音響放射力,流路選択
AI-2010-09
局所的音響放射力の条件に対するマイクロバブルの水流中での効率的捕捉法の検討 【 PDF
中元 隆介1, 田口 侑人1, 加藤 俊和1, 渡會 展之1, 江田 廉2, 吉永 崇1, 桝田 晃司1
1東京農工大学 大学院BASE生物システム応用科学専攻, 2千葉大学 大学院融合科学研究科ナノサイエンス専攻
抄録

薬物を付与したマイクロバブルを体内に注入し、体外からの超音波照射により破壊して任意の部位に薬物投与を行う超音波DDS(Drug Delivery System)を行うためには、血液中のマイクロバブルをモニタし、制御する技術が必要となる。我々はこれまで流れを有する模擬血管内への超音波照射により、流体中のマイクロカプセルの挙動を能動的に制御し、任意の位置の流路内壁でそれらを捕捉する研究を行ってきた。しかし、これまで使用してきたマイクロカプセルはシェルがポリ塩化ビニル製のため、生体に使用する事が不可能であった。そこで現在臨床で使われている超音波造影剤用のマイクロバブルを用いて同様の実験を行いった。超音波の周波数や音圧、照射時間の変化に伴う捕捉量の変化から、安定で効率的な捕捉条件の検証を行った。

DDS,マイクロバブル,音響放射力,捕捉
AI-2010-10
超音波凝固切開装置におけるブレードの振動特性と安全性の検証 【 PDF
成澤 亮1, 林 秀樹2, 蜂屋 弘之3, 山口 匡2
1千葉大学 大学院工学研究科人工システム科学専攻, 2千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター, 3東京工業大学 理工学研究科機械制御システム専攻
抄録

超音波凝固切開装置は腹腔鏡手術などで広く用いられているが,予期せぬ生体の損傷を与えることが報告されている。それらは主にキャビテーション作用によるものと考えられているが,実際のブレードの振動とキャビテーションおよび熱作用の関係が明らかになっていない。そこで,複数の計測法によってブレードの振動特性を計測し,キャビテーションの発生について検証すると共に,実際の生体におけるキャビテーション作用と熱作用の関係について検証実験を行なった。

超音波凝固切開装置,キャビテーション,メカニカルインデックス,エロージョン,熱作用
AI-2010-11
音響放射力を用いた光コヒーレンスエラストグラフィ 【 PDF
井砂 亮一, 中村 健太郎
東京工業大学 精密工学研究所
抄録

ミクロンオーダの空間分解能の断層像測定法である光コヒーレンストモグラフィ(OCT)による弾性率イメージング法について検討を行なった.集束型圧電振動子を用いて測定試料に音響放射力を加え,その挙動をOCT により測定し,応力印加前後の断層像から相関法を用いて試料内の変位・歪み分布を求める.試料を生体組織のような粘弾性体と考え,レオロジーモデルであるKelvin-Voigt モデルにおける応力印加時の歪み量の時間的な変化から粘弾性特性の導出を試みた.

光コヒーレンストモグラフィ(OCT),エラストグラフィ,弾性率イメージング,粘弾性体,音響放射力
AI-2010-12
ウシ海綿骨梁中の局所的弾性評価 【 PDF
福井 健二1, 川部 昌彦1, 松川 真美1, Quentin GRIMAL2, Mathilde MOUCHET2, Amena SAIED2, Pascal LAUGIER2
1同志社大学 超音波エレクトロニクス・応用計測研究室, 2Universit Pierre et Marie Curie-Paris 6 LIP
抄録

ウシ海綿骨梁中の同一部位を対象に,顕微 Brillouin 散乱と超音波顕微鏡による測定を行った.顕微 Brillouin 散乱および超音波顕微鏡は空間分解能が同程度(約10μmと約8μm)である.海綿骨中での音響インピーダンスは約5〜12Mraylであり,骨梁中において複雑に分布することを確認した.縦波音速は4.75〜5.11×103m/sで音響インピーダンスと同様に複雑に分布した.また,音響インピーダンスと縦波音速の間には,中程度の相関が確認された.音響インピーダンスと縦波音速の観測方向および測定周波数は異なるが,ある程度の相関がえられたことから,骨梁の弾性的性質について検討を行った.

顕微 Brillouin 散乱法,超音波顕微鏡,骨梁
AI-2010-13
Improved transverse cross-sectional imaging of silicone-rubber tube phantom by using multi-element, spherical beam from a linear array transducer 【 PDF
Ponnle Akinlolu, Hideyuki Hasegawa, Hiroshi Kanai
Graduate School of Engineering, Tohoku University
抄録

[Background] Transverse cross-sectional imaging of the intima-media complex of the carotid arterial wall is difficult to obtain using conventional linear scanning. The angular width of imaged regions of the anterior and posterior walls is limited. [Principle] In this study, multi-element spherical beam from a linear array transducer was investigated both by simulations and basic silicone-rubber tube experiment. Images of a simulated reflector-tube from simulated scanning and a silicone-rubber tube phantom were reconstructed by multi-angle receive steering and focusing from multiple sequential transmissions stepped across the entire cross-section. [Results and Conclusion] B-mode images obtained by the proposed method showed improvement in lateral resolution as well as increase in angular width of imaged region of the tube’s wall. This angular width increases with increase in number of transmissions.

Transverse cross-sectional scanning,Spherical beam,Virtual point source,Multi-angle receive-steering
AI-2010-14
多共振型圧電振動子による超音波診断装置の開発 【 PDF
吉住 夏輝1, 秋山 いわき1, 斎藤 繁実2, 和田 有司3, 小山 大介3, 中村 健太郎3
1湘南工科大学 工学部, 2東海大学 海洋学部, 3東京工業大学 精密工学研究所
抄録

厚さの異なる圧電素子,整合層,バッキング層から成る多層構造とすることで,広帯域な超音波の送受波が可能な圧電振動子について検討を行った.2 MHz に共振周波数を有する圧電素子と6 MHz に共振周波数を有する圧電素子を同軸上に接着した振動子を試作した.振動子を広帯域な負インパルス状の波形で駆動して,焦点付近においてハイドロフォンで音圧波形を測定した.その周波数特性には1.5 MHz,3.0 MHz.4.6 MHz,5.2 MHz,5.9 MHz,6.2 MHz,7.9 MHz,9.1 MHz にピークが現れ,これらの各周波数で超音波ビームが形成された.6.2 MHzにおいて最大値となり,これに対して-20 dB の帯域は1.3 MHz から9.1 MHz であった.多周波超音波イメージングにおける多共振型圧電振動子の有効性について,試作した振動子及びこれを組み込んだメカニカルセクタプローブを用いて各種の超音波ファントムの映像化して検討した.複数の周波数帯域においてB モードの映像化を行い,周波数コンパウンド法を適用した.その結果,干渉性の雑音であるスペックルノイズが低減され,多共振型圧電振動子の有効性が示された.

広帯域,圧電振動子,周波数コンパウンド,積層構造
AI-2010-15
医療応用のための貫通孔を有する超音波円形プローブ 【 PDF
田中 雄介1, 田中 克彦1, 来見 良誠2, 谷 徹2, 杉山 進1
1立命館大学 大学院理工学研究科フロンティア理工学専攻, 2滋賀医科大学 外科学講座
抄録

本研究は超音波で体内の患部を確認しながら穿刺処置を行うための超音波プローブに関する基礎研究である。中央に貫通孔を有する超音波プローブを試作し、正面の物体の位置と貫通孔に挿入した穿刺針の位置をそれぞれ超音波のパルスエコー法とTOFD(Time of Flight Diffraction)法を用いて観測した。生体の音響インピーダンスに近い寒天と鶏のささみを用いて予備実験を行った。また、切除した胃癌摘出標本の一部を用いて実験を行い、胃壁の位置と穿刺針の位置の両方を同時に確認できた。

超音波プローブ,TOFD 法,パルスエコー法
AI-2010-16
1次元ストライプアレイ構造のフォーカルプレンアレイ受波器の試作と評価 【 PDF
竹内 康人
鹿児島大学工学部情報工学科
抄録

レンズ結像によるフォーカルプレーンアレイをピクセル毎の実在2次元アレイとして実現せんとする場合、人間の視覚に一応のイメージして訴え得る画像にしようとすると、いわゆるCCD/CMOS ビデオカメラのように、最低数千ないし数万のピクセルのイメージングプレートおよびその個々のエレメントに対応する電子装置を必要とする。ピクセル検出器の出力が初めから画素のビデオ値である所の光や放射線などの場合にはイメージングプレートをVLSI(大規模集積回路)の一種として全体を一括して製造する事は(現在では)容易であり、標準技術となっている。しかしながら超音波の場合はインテンシティモードでもドプラモードでも必要な電子回路はそれらより桁違いに大規模であり、一括集積化には馴染まない面がある。そこでこれを、イメージングプレートは1次元縮退させて1次元ストライプアレイとし、これを撮像中に光軸を中心として最低半回転させていわゆるシノグラムを獲得し、これをCT アルゴリズムにより画像化する、という手法(1)(4)がより実施容易な代案として浮ぶ。本研究においてはこの主旨に従いピッチ0.5mm サイズ25x25mm の50 エレメント1次元ストライプアレイ構造のフォーカルプレン受波器を試作し、その評価を行い、所期の成果を得たので報告する。

レンズ,焦点面アレイ
AI-2010-17
位相連続フレネルレンズとフォーカルプレンアレイによるイメージング 【 PDF
竹内 康人
鹿児島大学工学部情報工学科
抄録

著者は先に位相連続フレネルレンズとその応用に関していくつかの提案および試作評価を行って来た(1)〜(4)。撮像システムとしてはフォーカルプレンアレイによるピクセル群一括撮像を前提とし、そのための2次元アレイ受波器およびピクセル毎の受信機を開発している所である。この報告ではこれら開発行程の中間段階として受波器および受信機は1チャンネルのみとしつつこれを焦点面にて機械走査する事で時間をかけつつも最終的に実時間動画像として獲得したい画面の1枚を得る事を試みた。全面一様照射のもとに略1対1結像にて32x32=1024 ピクセルのフローファントムのドプラ像を得た。1ピクセル1秒弱、画像全体を獲得するのに20 分ほどかかっているが、この悠長さはステップ移動の都度機械走査系の過渡振動の余波を避けつつデータ採取しているせいであり、ピクセル毎のデータ採取の時間(積分時間)は100mS 弱である。

レンズ,焦点面アレイ,機械走査

第2回 2010年8月6日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2010-18
球面拡散ビームを用いた高速心臓断層法 【 PDF
長谷川 英之1,2, 金井 浩1,2
1東北大学 大学院医工学研究科, 2東北大学 大学院工学研究科
抄録

超音波断層法は,心臓などの断層像が非侵襲かつリアルタイムに得られる大変有用な方法である.超音波断層像により,肉眼で観察できる心臓のマクロな運動や形状の異常を診断することができる.また,超音波ドプラ法により血流動態や壁運動の定量計測を行うことができるなど,超音波診断技術の果たす役割は大きい.これら従来の診断方法に加え,近年,心機能・心筋性状の評価のためには,非常に短時間(10 ms 程度) の心筋の収縮弛緩の遷移や弁の開閉などにより発生した心臓壁振動の伝搬を計測することが有用であることが分かってきており,そのためには数百Hz 程度以上の高いフレームレートが必要である.著者らはこれまで,送信に平面波を用い,受信時にその平面波内に複数の受信集束ビームを形成することで従来のセクタ走査と同等の走査線数を少ない送信回数で実現し,超音波断層法のフレームレートを従来の数十Hz から数百Hz まで向上させる手法を提案している.しかし,心臓の測定の場合,狭い肋間から超音波を入射するため開口を広くとれず,平面波の幅が制限されるため,セクタ走査の範囲が40 度程度に制限されるという問題があった.本報告では,狭い開口により広い送信ビーム幅を実現するため球面拡散ビームを用いたところ,従来のセクタ走査と同じセクタ走査範囲90 度を高いフレームレート(316 Hz) で実現することができた.

超音波,球面拡散ビーム,高フレームレート,ビームフォーミング,心臓断層像
AI-2010-19
多周波超音波イメージングの生体への応用 【 PDF
吉住 夏輝1, 秋山 いわき1, 斎藤 繁実2, 和田 有司3, 小山 大介3, 中村 健太郎3
1湘南工科大学 工学部, 2東海大学 海洋学部, 3東京工業大学 精密工学研究所
抄録

厚さの異なる圧電素子,整合層,バッキング層から成る多層構造とすることで,広帯域な超音波の送受波が可能な圧電振動子について検討を行っている.この振動子は2 MHz に共振周波数を有する圧電素子と6MHz に共振周波数を有する圧電素子を同軸上に接着した構造を有している.試作した振動子を超音波診断装置のプローブに実装し,多周波超音波イメージングに対する有効性を検討した.プローブを広帯域な負インパルス状の波形で駆動して放射音場の周波数特性を測定した.3 MHz で最大値となり,これに対して-20 dB の帯域は1 MHzから11 MHz であった.この帯域において1 MHz 間隔で超音波ビームが形成されていることを確認し,鶏(心臓)を対象に多周波超音波イメージングを行った.各周波数帯域においてB モード像が得らえれ,これに周波数コンパウンド法を適用した結果,スペックルノイズを有効に低減できることを確認した.また,映像化の際の帯域幅について検討を行った.

広帯域,圧電振動子,周波数コンパウンド,積層構造
AI-2010-20
酸化チタンを用いた音響化学療法の効果について 【 PDF
立花 克郎, 原田 慶美
福岡大学医学部 解剖学講座
抄録

音響化学療法とは、化学物質を超音波により励起させる新らたな癌治療法である。今回、我々はナノ粒子である酸化チタンと超音波を併用し、メラノーマ細胞株(C32)における効果をin vitro、in vivoにおいて検討した。C32細胞株に酸化チタンを加え超音波照射し、その効果を評価した。さらに、C32細胞を移植した担癌マウスにおいて、酸化チタンと超音波の併用効果を検討した。また、酸化チタンの形態的特性を、電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析装置にて評価した。我々が知る限り、この研究はin vitro、in vivoにおいて酸化チタンと超音波を併用し殺細胞効果を認めた初めての報告である。

酸化チタン,超音波,音響化学療法,C32細胞株
AI-2010-21
ソノポレーションにおける細胞膜の損傷と修復のタイムラプス観察 【 PDF
千田 裕樹, 工藤 信樹, 清水 孝一
北海道大学 大学院情報科学研究科
抄録

我々は,パルス超音波と微小気泡を用いたソノポレーションによる抗がん剤の効果増強を目指して研究を行っている.現状のソノポレーションでは薬剤の導入効果が低く,これを改善することが重要な課題とされているが,効果の高い条件を検討するには,超音波照射直後での薬剤導入の状況を調べるだけではなく,導入薬物の効果によって生じる細胞の変化を数時間から数十時間にわたって継続的に調べることも必要である.このような観察を実現するため,本研究では,長時間タイムラプス観察システムの改善を行ない,実際に抗がん剤を投与した細胞について長時間観察を行った.その結果,コントロール群では最大20 時間程度まで細胞の劣化が起きないこと,抗がん剤投与群ではアポトーシス特有の形態変化が観察できることを確認した.

AI-2010-22
パルス超音波と微小気泡によるシスプラチンの抗腫瘍効果増強の基礎的知見 【 PDF
佐々木 東1, 中村 健介1, 村上 正紘1, 大田 寛1, 山﨑 真大1, 工藤 信樹1,2, 滝口 満喜1
1北海道大学大学院獣医学研究科 獣医内科学教室, 2北海道大学大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻
抄録

パルス波超音波と微小気泡の併用によってシスプラチンの抗腫瘍効果が増強されることを明らかにする目的で、犬甲状腺癌由来株細胞を対象に微小気泡、シスプラチン存在下で超音波を照射した。微小気泡およびシスプラチン、超音波を併用すると細胞生存率は有意に低下した。さらにFITC-dextran を用いると、FITC の細胞内への導入が確認された。また、照射前に5 分以上インキュベーションをすること、もしくはMI 値0.51 以上の超音波照射で細胞生存率は低下した。診断用超音波と微小気泡を併用することでシスプラチンの抗腫瘍効果の増強が示された。これは超音波照射で細胞近傍の微小気泡が破裂し、細胞内にシスプラチンが導入されたためと考えられた。

微小気泡,抗がん剤,超音波,抗腫瘍効果,犬
AI-2010-23
低強度パルス超音波によるDNA損傷 【 PDF
古澤 之裕1, 藤原 美定1, 趙 慶利1, 田渕 圭章2, 高橋 昭久3, 大西 武雄3, 近藤 隆1
1富山大学 大学院医薬学研究部(医学)放射線基礎医学, 2富山大学 生命科学先端研究センター, 3奈良県立医科大学 医学部生物学
抄録

超音波は現代医療において診断領域のみならずがん治療にも用いられている.これまでがん細胞に対して低強度のパルス超音波を照射することにより,アポトーシスなど細胞死を誘導することが知られている.一定強度以上の超音波照射により,細胞内に塩基損傷や一本鎖切断などのDNA損傷が起こることが過去に報告されているが,損傷の種類,損傷の誘発機構,損傷に対する細胞の応答など依然不明な点が多い.本研究では低強度パルス超音波をリンパ腫細胞株に照射した際に,核内に形成されるDNA損傷に着目して,その誘発機構の検討を行った.

DNA損傷,損傷修復,キャビテーション,フリーラジカル,アポトーシス

第3回 2010年10月29日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2010-24
MIC-LED200個のアレイによる音場の実時間可視化 【 PDF / 動画: No.1 No.2 No.3 No.4 No.5
栗原 誠1, 本地 由和1, 藤森 潤一1, 及川 靖広2, 山﨑 芳男2
1ヤマハ株式会社 研究開発センター, 2早稲田大学
抄録

音/音場については見えないが故に,多くの人にとってそれらを容易に把握するまたは容易に人に伝えるのが難しい現状となっている。そのような状況を改善するために,直感的な音場の可視化手法として実音場において音を光へ変換する手法を検討してきた。提案する可視化手法では,MEMS マイクロホンとLED とCPU を小型(1cm 角)の基板に実装した音-光変換素子を多数空間に配置し,サンプルホールド処理する事により音波の伝搬の実時間での観察が可能である。本報では提案する可視化手法を説明すると共に,110 個の音-光変換素子アレイを用いて音波の伝搬を実時間で観察した結果を報告する。更にパラボラ型の集音装置と音-光変換素子約200 個を組み合わせた応用例について報告する。

可視化,MEMS,アレイ,実時間
AI-2010-25
レーザCTを用いたピアノから放射される音場の可視化と解析 【 PDF
長谷川 知美1, 高橋 和康1, 大内 康裕1, 及川 靖広1, 山崎 芳男1, 池田 雄介2
1早稲田大学, 2NICT
抄録

楽器の放射特性は複雑であることが知られている。楽器音の空間伝搬の様子を把握することは録音現場や教育現場においても重要なことである。楽器から放射される音の空間伝搬を把握する際に多数のマイクロホンを用いると音場に直接影響を与える場合がある。本論文ではレーザを用いたピアノ放射音の音場の可視化と解析について述べる。音による光の屈折率変化からレーザ干渉計を用いて光路長変化を測定することができ, 計算断層撮影法を用いて音圧分布を再構成することが可能である。MIDIによりピアノを繰り返し駆動し,観測した波面や音圧分布から音の高さによる違いやダンパーペダル,蓋の有無による違いを確認した。

ピアノ,放射特性,音圧分布,レーザドプラ振動計,計算断層撮影法
AI-2010-26
高速度カメラを用いたPIV法による粒子速度分布の測定 【 PDF / 動画: No.1 No.2 No.3 No.4
武岡 成人1, 八十島 乙暢1, 酒井 寿理2, 及川 靖広1, 山﨑 芳男1
1早稲田大学 理工学術院, 2早稲田大学(ソニー)  
抄録

高速度カメラを用いた音場収録法を提案している。近年の半導体技術向上に伴いカメラの撮像速度が音響振動を補えるものとなってきた。そこで高速度カメラと粒子画像流速測定(Particle Imaging Velocimetry : PIV)法とを併用することにより所望の音場の粒子速度分布の観察を試みた。本方式はマイクロホンを設置することなく観察領域内を一度で収録することができ,方向を含めた音場の挙動を検出できる。本論では音場内に直径1μmのトレーサ粒子を散布し,高速度カメラによる収録動画から画像相関法により粒子速度分布を算出した。またそれらを用いスピーカ音のスペクトル解析,ベクトル方向成分による音源分離の実験を行った。

高速度カメラ,粒子画像流速測定法,画像相関法,非接触収録,粒子速度
AI-2010-27
アジアゾウの音声コミュニケーション:音カメラによる可視化 【 PDF
入江 尚子1,3, 大脇 雅直2, 財満 健史2
1総合研究大学院大学 先導科学研究科, 2株式会社熊谷組 技術研究所, 3日本学術振興会
抄録

ゾウの低周波音声に関する先行研究は多くあるが、いずれも遠方個体間の低周波音声利用を対象としており、どの個体がどのような状況下で発声しているか特定するには至っていない。音源探査装置は、観察時に発声個体を特定することが可能なため、研究の発展に大きく貢献することが期待される。本研究には市原ぞうの国およびよこはま動物園ズーラシアにご協力いただき、飼育個体の音声録音および録画を行なった。その結果、計19シーンで低周波音声が確認され、ゾウの低周波音声の利用が遠方個体間に限定されたものではなく、視認可能な距離においても利用されていることが示唆された。

音源探査装置,低周波音測定,低周波音コミュニケーション
AI-2010-28
基本波エコーの特性を利用する生体高調波の高SNR化手法 【 PDF
山村 拓也, 田邉 将之, 大久保 寛, 田川 憲男
首都大学東京 大学院システムデザイン研究科
抄録

高精細な生体超音波画像を得るための手法として,生体高調波画像化法(Tissue Harmonic Imaging :THI)が提案されている. THI では基本波の2 倍の帯域幅を有する第二高調波成分を用いるため,距離分解能が向上・方位分解能他界画像化が可能である.しかしながら,生成される高調波の振幅は基本波の振幅と比べると小さく,加えて周波数依存減衰もあり,これは特に高調波に強く作用してしまうことから,高調波のSNRは一般に低い,そこで本研究では,基本波の情報を事前知識とし2次高調波画像化に利用することで高調波,高調波の分解能は保持したままのSNRを改善可能な手法を提案し,非生体実験による有効性の評価を行う.

THI,SNR 事前知識,ウィナーフィルタ,パワースペクトル
AI-2010-29
2方向からの音響放射圧により発生した生体軟組織内ひずみの超音波計測 【 PDF
山口 潤1, 長谷川 英之1,2, 金井 浩1,2
1東北大学 大学院工学研究科, 2東北大学 大学院医工学研究科
抄録

筋肉や腱の硬さ(弾性)の変化に伴う機能・健康度の劣化の評価は重要であるが,現在では医師の触診や患者の体内に電極針を埋め込む筋電図検査などが主であり,定量的かつ非侵襲的な診断手法は確立されていない.そこで本研究グループは,わずかに異なる2つの周波数を重ね合わせた超音波を,2方向から同時に対象物内部に照射することで発生する音響放射圧を用いて,効率良く歪みを発生させる超音波加振手法を開発した.本報告では,生体軟組織としてトリささみ肉を用いたin vitro実験に超音波加振手法を適用し,生体軟組織内部に発生した歪みを計測した.この結果により,本手法を用いることで定量的かつ非侵襲的な生体軟組織の弾性特性評価の可能性が示された.

音響放射圧,位相差トラッキング法,歪み
AI-2010-30
光ファイバ式超音波プローブの方式とその特性比較 【 PDF
中村 健太郎
東京工業大学 精密工学研究所
抄録

MHz帯の超音波を対象とする光ファイバ型のニードルプローブについて3つの方式を比較した。1つめは光ファイバ先端に微小な光共振器を設けたもの、2つめはブラッグ反射器を光ファイバコアに書き込んだものである。これら2つの方式では音圧による光ファイバの疎密変化から生じる反射光の波長特性の変調により音圧を検出する。3つ目は水中音圧を光ファイバ先端の反射率変化から直接読み取る方式である。原理、感度、空間分解能などの観点からそれぞれの性能の比較を行った。

ハイドロホン,光ファイバ,超音波プローブ,FBG,ファブリ・ペロ

第4回 2010年12月10日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2010-31
時間反転波を用いる音場可視化法におけるアーチファクトの軽減 【 PDF
津隈 和樹, 若槻 尚斗, 水谷 孝一
筑波大学 大学院システム情報工学研究科 知能機能システム専攻
抄録

時間反転波を用いた音響散乱体の可視化手法は,境界などからの反射波を有効に利用できるため,特に反射する境界で囲まれた空間での可視化に有効である.時間反転波は音源から発せられた音波を逆にたどるという観点から,逆伝搬において音源の位置に集束したあと消滅すべきものであるが,実際には逆伝搬の計算において音源位置を通り越して伝搬し,それが可視化像におけるアーチファクトの原因となる.本報告では,波動逆伝搬において音源位置に集束した音波を消滅させることによりアーチファクトを軽減する手法を考案し,それを音響散乱体の可視化に応用した.また,数値シミュレーションによりその有効性を確認した.

時間反転波,波動伝搬シミュレーション,伝達線路行列法(TLM法)
AI-2010-32
物体の表面振動速度計測による空中におけるイメージングの一方法 【 PDF
今野 和彦, 佐藤 博仁
秋田大学 大学院工学資源学研究科 電気電子工学専攻
抄録

圧電振動子をパルス波を用いて定電圧駆動した場合に振動面に同位相同振幅の平面振動(直接波の発生)が発生することを用いて,振動面に置いた物体の表面振動速度をレーザドップラ振動計による振動速度差の検出によって空気中における物体の新しいイメージング法を提案している.映像化の原理を説明するために伝送線路を用いた電気的等価回路による解析および実験により駆動電圧パルス波形と相似な振動速度出力波形が得られることを示した.次に,物体と圧電振動子の音響放射面との振動速度の差を検出することで,対象物にある文字のイメージングを行った.その結果,本手法が非接触でかつ空気中におけるイメージングに有用である可能性があることを示した.

圧電振動子,定電圧駆動,振動速度,レーザドップラ振動計,電気的等価回路,イメージング
AI-2010-33
心筋の厚み変化速度の三次元分布の可視化に関するパラメータの検討 【 PDF
渡辺 博文1, 金井 浩2,1, 長谷川 英之1,2
1東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科 電子工学専攻
抄録

近年,心筋の厚み変化速度計測に関する研究や超音波による心臓の三次元可視化についての研究が進んでいる.そこで,本研究では心臓壁心筋の収縮の伝搬過程を三次元的に確認するため,超音波ビーム方向の心臓壁厚み変化速度の三次元分布の経時的変化を算出した.その中で,三次元計測におけるパラメータであるスライス方向に機械的走査を行う際の断面間角度について検討した.本報告では,心臓の中で収縮能が最も高い左心室について高時間分解能 (フレームレート600 Hz (時間分解能1.7 ms))で深さ方向の厚み変化速度の三次元分布計測を行った.その結果,心筋厚み変化速度の三次元分布の経時的変化から心筋の収縮・弛緩の伝搬が確認できる可能性を示した.

高フレームレート,in vivo計測,厚み変化速度,三次元可視化
AI-2010-34
RFA治療のためのUS−CT像の非線形合成表示法の提案 【 PDF / 動画: No.1
藤生 賢士朗1, 前佛 聡樹2, 山口 匡2
1千葉大学 大学院融合科学研究科, 2千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
抄録

肝癌の治療法として超音波画像ガイド下でのRFA治療が注目されている.その際に術前に取得したCTデータ等を参照画像として表示し,治療の支援をするシステムが開発され商用化されている.しかし,このシステムでは撮影時の体位の違い等による臓器の変形は考慮されていない.そこで我々は参照画像を術中の超音波画像に対して非線形位置合わせをすることで,治療時の臓器形状に合わせるような変形をし,術者に提示する手法を提案する.本報告では,その基礎検討としてRFA治療前後に撮影した2つのCTデータを用いて非線形位置合わせの有効性を確認した.

非線形位置合わせ,三次元超音波,CT,ラジオ波焼灼治療,手術支援
AI-2010-35
ドプラ・自己相関方式胎児心拍数計の使用者の期待に反する動作およびそれに由来する意図せざる誤診の可能性について 【 PDF
竹内 康人
無所属
抄録

ドプラ・自己相関方式の胎児監視装置はドプラ探触子の有感領域を太く取った設計と併せてとりあえず誰がやっても産婦のおなかのしかるべき近辺に探触子をつけて放っておけば連綿と胎児心拍数図が描かれるので斯界のデファクトスタンダードとなって久しいが、普段は見え難い色々な盲点もある。本発表ではその使用者の期待に反する動作およびそれに由来する意図せざる誤診の可能性についてハイポセシス、シミュレーションおよび実信号自験例にもとづき復習・解説し、また啓蒙不足を注意喚起する。

胎児監視,ドプラ,自己相関,S/N,誤診
AI-2010-36
画像差分シュリーレン法による高周波超音波音場の顕微観察 【 PDF
三本松 美明, 工藤 信樹, 清水 孝一
北海道大学 大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻
抄録

我々は,CCDカメラで撮影した画像を計算機上で処理することによりシュリーレン光学系と同等の処理を実現する画像差分シュリーレン法を提案し,その有用性に関する検討を行ってきた.この手法は簡便な構成であり,種々の光学系に組み込みが可能と考えられる.本研究では,画像差分シュリーレン法を倒立型顕微鏡に組み込んだシステムを開発し,血管内超音波法(IVUS)に用いられる14MHzの小型高周波振動子と,50MHzの平面型振動子のパルス音場を可視化した.その結果,微弱で周波数の高い超音波音場の可視化が可能となり,対物レンズ×4,×10を用いた場合の空間分解能はそれぞれ2.5 μm/pixel,0.93 μm/pixelに,時間分解能は1.7ns,0.67nsに向上した.以上の結果より,超音波計測の標準であるメンプレンハイドロホン法でも計測が困難な微弱かつ微細な超音波音場の可視化に対し,本手法が有用な手法であることが示された.

AI-2010-37
超音波感受性リポソーム(バブルリポソーム)と超音波照射の併用によるがん温熱治療における免疫系の関与 【 PDF
鈴木 亮, 光嶋 里茶, 小田 雄介, 平田 圭一, 野村 鉄也, 宇都口 直樹, 丸山 一雄
帝京大学 薬学部 生物薬剤学教室
抄録

これまでに我々は超音波感受性リポソーム(バブルリポソーム (BL))を開発し、超音波照射との併用で生じるマイクロジェット流や発熱を利用した超音波がん温熱療法について検討してきた。この療法において、生体内では傷害されたがん細胞を処理するために免疫系が活性化され、この免疫系活性化が抗腫瘍効果において重要な役割を担っていると考えられる。そこで、本療法に対する免疫系の関与を検討した。細胞傷害性T細胞 (CTL) 枯渇マウスを用い本療法によるがん治療効果を検討したところ、その治療効果が消失した。このことから、バブルリポソームの圧壊による物理的な傷害に続いて起こる免疫系活性化が本療法のがん治療効果に重要であることが示唆された。

リポソーム,がん温熱療法,がん免疫療法

第5回 2011年2月21日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2010-38
光干渉法を用いた反射法によるハイドロホン校正システムの開発 【 PDF
松田 洋一, 吉岡 正裕, 内田 武吉, 菊池 恒男
産業技術総合研究所 部署
抄録

医用超音波機器は、診断や治療目的で多様な超音波を出力している。超音波照射による生体組織の損傷を避けるには、超音波出力を評価し、基準値以下に抑えることが必要である。現在、超音波出力の評価には校正されたハイドロホンが広く用いられている。当所では、超音波音圧標準(ハイドロホン音場感度校正)の供給とその校正周波数帯域の拡張を行ってきた。今回、従来の透過法と同一アライメントで、音響光学効果の影響を受けることなく2 倍の超音波振幅が得られる反射法を用いた校正システムを開発した。開発した校正システムの概要および従来法との比較について報告する。

Hydrophone calibration,Reflection method,Optical Interferometer,Acousto-optic Effect
AI-2010-39
肝病変定量診断手法における病変肝振幅分布変化モデルの近似精度 【 PDF
五十嵐 悠1, 山口 匡2, 蜂屋 弘之1
1東京工業大学 機械制御システム専攻, 2千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
抄録

われわれは,肝炎線維化の定量評価を目的とした新しいエコー信号の解析手法について検討を進めている。本手法では,病変肝からのエコー信号を正常組織と線維組織からの反射信号の2成分と考え,エコー信号の振幅分布を二つのレイリー分布の組み合わせにより表現したモデルを提案している。このモデルを用いることにより,病変肝中の線維組織の質と量に相当するパラメータをエコー信号振幅の統計量から逆問題を解き定量的に求めることができ,肝炎線維化の定量評価の可能性を提示した。本手法では,実際のデータがどの程度このモデルで表現できるかを把握することが重要である。そこで,本報告では,病変肝の振幅分布モデルの近似精度を評価するために,KL情報量を分布の近似精度の指標として用いて検討を行った。臨床画像データ上で設定したROIを移動させながら画像全体の近似精度を評価した。その結果,血管や組織境界がなければ,正常肝から肝硬変まで提案モデルで近似できることが明らかとなった。

医用超音波,レイリー分布,統計解析,定量診断,び慢性肝疾患,肝炎,線維
AI-2010-40
CUDAとOpenGLを用いた音響数値解析の高速可視化に関する検討—PMCC(Permeable Multi Cross-section Contours)の提案— 【 PDF
河田 直樹1, 大久保 寛1, 田川 憲男1, 土屋 隆生2, 石塚 崇3
1首都大学東京 大学院システムデザイン研究科, 2同志社大学 理工学部, 3清水建設株式会社 技術研究所
抄録

近年,GPU(Graphics Processing Unit)を用いた科学計算の研究・開発が進んでいる.本研究では,GPUを用いて3次元音響数値解析のリアルタイムの可視化(計算と同時に可視化する音響シミュレーション)について検討を行った.3次元音場の可視化法として,PMCCを提案し,その評価を行った.PMCCは従来の3次元空間中の複数断面を表示する(Multi Cross-section Contours)方法に不透過度を組み合わせた非常にシンプルな可視化方法である.波動現象特有の干渉や散乱の把握もボリュームレンダリングに比べてわかりやすく,また,描画のための計算負荷も非常に少ない.平行な複数断面表示を行う場合もオクルージョンがほとんど発生せず,断面表示でありながら,3次元空間を一目で把握できる可視化法である.本研究の結果より,CUDAとOpenGLを利用することで,GPUによる高速な計算と可視化ができることが明らかとなった.また,GPU計算と時間領域手法,そしてPMCCを利用することで,シミュレーションによる3次元音場のリアルタイム可視化を実現することができる.

AI-2010-41
SLDVを用いた極浅層地中映像化に関する研究 —位相差を用いた埋設物の検出— 【 PDF
杉本 恒美1, 阿部 冬真2
1桐蔭横浜大学 工学部・電子情報工学科, 2㈱IHI検査計測 検査事業部
抄録

スキャニング振動計(SLDV)を用いて地表面に与えた音響振動の振動速度分布を二次元的に計測することで、地表面から10cm程度までの極浅層領域探査に関する研究を行っている。埋設物の応答周波数帯を利用することで、埋設物の検出や識別にも利用することが可能であることをすでに明らかにしている。しかしながら、従来は速度スペクトルの振幅成分しか使用していなかった。そこで今回は速度スペクトルの位相成分を利用した場合の映像化法について検討した。その結果、各スキャンポイント間の位相差を用いることで埋設物の輪郭抽出が行える可能性があることを確認したので報告する。

地中探査,埋設物識別,最適応答周波数帯法,位相差,スキャニング振動計
AI-2010-42
音波振動による土壌中の水分分布計測に関する検討、 -伝搬音速値と含水比についての検討- 【 PDF
中川 裕, 杉本 恒美
桐蔭横浜大学 工学部電子情報工学科
抄録

現在、農業では農業用水を出来るだけ節水する傾向にある。そこで、負圧差灌水方式と呼ばれる土壌内部からの灌水方式が着目されている。負圧差灌水方式は土壌内部の水分量を一定に保つ性質がある。しかしながら、土中の水分分布の状況を把握できていないため、効率的な水分供給制御が行えていない。そこで、本研究室では、音波振動とSLDV(Scanning Laser Doppler Vibrometer)を用いて植物の根域領域における水分分布を映像化(可視化)する方法を検討している。今回は、砂槽に人為的に濡れた砂を設置し、水分分布を映像化する手法および、水分分布の含水比を変化させた場合に伝搬音速値に与える影響等について検討した。

スキャニング振動計,超磁歪振動子,水分分布,含水比
AI-2010-43
熱音響現象を利用した消音システムの実用化へ向けた基礎検討 【 PDF
塚本 大地1, 坂本 眞一2, 小林 徹也1, 柳本 浩平1, 渡辺 好章1
1同志社大学 部署, 2滋賀県立大学 部署
抄録

熱と音の相互エネルギー変換現象である熱音響現象を利用することにより,エネルギー変換部であるスタックにおいて音波の増幅または減衰作用を得ることが出来る.この音波の減衰作用を利用することにより軽量でかつ廃熱を利用可能な消音システムが実現される.システムにおける音波の減衰作用はエネルギー変換,スタック内の粘性損失およびスタックにおける音波の反射が要因により引き起こされる.しかし,これらの要因を分離して評価することは困難である.本報告では,減衰作用を引き起こす要因について評価を行うことを目的に検討を行った.スタックにおける音波の反射波から音響パワーを求め,音波の増幅作用または減衰作用の比較によってエネルギー変換と粘性散逸の効果を考察した.結果より,スタックに付加する温度差を低く設定することにより,スタックにおける音波の反射を最小に抑えて,エネルギー変換による消音効果を高く保つことが可能であることが分かった.これにより,低い温度差を付加したスタックを多段設置することにより高い消音効率を得ることが可能であると考えられる.

熱音響現象,消音,低周波数,スタック,音響インピーダンス
AI-2010-44
海綿骨における高速波の特徴的な屈折について 〜高速波と低速波の伝搬イメージング〜 【 PDF
山下 圭祐1, 水野 勝紀2, 長谷 芳樹3, 松川 真美1
1同志社大学 工学研究科電気電子工学専攻, 2同志社大学 生命医科学研究科生命医科学専攻, 3神戸市立工業高等専門学校 電子工学科
抄録

海綿骨中を伝搬した縦波超音波は高速波,低速波の二種類の波に分離する.高速波は海綿骨の骨梁中を伝搬した音波でその構造異方性に影響され,音速が大きく変化する.この現象を用いて新しい骨構造評価法が提案されている.そこで本報告ではこの2 つの波を詳細に検討するため,ウシ海綿骨を用いて骨を透過した超音波を測定した.高速波と低速波は海綿骨の骨梁配向によって異なって観測された.特に高速波は骨中で骨梁配向方向に特徴的に屈折することが確認された.一方,低速波は骨梁構造に大きな影響を受けず,屈折は生じなかった.つまり,伝搬後の音波波形のイメージングにより高速波と低速波を容易に見分けられ,高速波の情報を用いて骨梁の構造を推定できる可能性が示された.

海綿骨,骨梁構造,二波分離現象,屈折
AI-2010-45
A RAPID AND HIGH-QUALITY ACOUSTIC IMAGING SYSTEM FOR OBJECT TRACKING 【 PDF
NATSUDA LAOKULRAT1, 前田 泰成2, 杉本 雅則1, 橋爪 宏達3
1東京大学, 2総合研究大学院大学, 3国立情報学研究所
抄録

In this report, we propose a rapid and high-quality in-air acoustic imaging system. The system includes a 1-dimensional array of 16 ultrasonic sensors, 2 ultrasonic transmitters, and a processing unit with a Field Programmable Gate Array (FPGA). To perform high-speed acoustic imaging, parallel processing of image reconstruction algorithm is designed and implemented in the FPGA. To obtain high-quality images, the image reconstruction procedure is performed based on synthetic transmit aperture (STA) approach. This system can reconstruct an image within 240 milliseconds. Since the system is able to rapidly reconstruct images, the sequence of obtained images can be used for real-time application such as object tracking application.

Synthetic transmit aperture (STA),In-air acoustic imaging,FPGA
AI-2010-46
平面MEMSセンサアレイと高速ビームフォームアルゴリズムによる実時間超音波イメージング装置の実現 【 PDF
前田 泰成1, 杉本 雅則2, 橋爪 宏達3
1総合研究大学院大学, 2東京大学 大学院工学系研究科, 3国立情報学研究所
抄録

著者らは128 個のMEMS センサを平面格子状に配置したセンサアレイと,ADC モジュール及びFPGAボードからなる超音波イメージング装置を開発した.この装置を用いると,反射する超音波をとらえ,空間に配置された反射体の3D イメージング処理を高速で行うことが可能になる.本稿では装置の概要について述べ,さらにFPGA上に実装する回路とアルゴリズムについてその仕様を紹介し,FPGA 上に実装した場合のリソース使用状況に関して議論する.

空中超音波,MEMS,センサ,センサアレイ,FPGA
AI-2010-47
PN変調相補符号を用いた合成送信開口イメージング 【 PDF
古居 敬大1, 杉本 雅則1, 橋爪 宏達2
1東京大学 工学部, 2国立情報学研究所
抄録

本論文では, 合成送信開口(Synthetic Transmit Aperture: STA) イメージングのシミュレーションについて, M 系列信号とM 系列変調された相補符号で変調された信号によって生成された像の比較について報告する. STAは複数の送信機を用いて角度分解能を向上させる手法である. 符号の相関性を用いて各送信信号を弁別する符号分割STA はM 系列信号により実装が可能である. しかし符号分割STA は相関雑音による像の劣化が生じるという問題がある. 我々は相補符号をM 系列で変調することで相関雑音を系統的に抑えたSTA イメージングを実現することを提案する. 送信信号は受信後にフィルタを適用することで相関雑音を抑えた適切なパルスに圧縮される.

合成送信開口(Synthetic Transmit Aperture: STA),パルス圧縮,M 系列信号,相補符号,超音波イメージング
AI-2010-48
逆投影を用いた適応マイクロホンアレイ信号からの音響イメージの再構築 【 PDF
水谷 享平1, 杉本 雅則1, 橋爪 宏達2
1東京大学 大学院工学系研究科電気系工学専攻, 2国立情報学研究所
抄録

本稿では,超音波画像再構成のための新しいアプローチを提案する.提案手法では,単一の固定された適応マイクロホンアレイ信号に対して逆投影のアルゴリズムを適用することで,角度分解能の向上を目指す.コンピュータシミュレーションにより,提案手法が従来手法より高い角度分解能を示すことを確認した.

超音波イメージング,逆投影,適応マイクロホンアレイ,逆畳込み,角度分解能