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第1回 2011年6月23日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2011-01
イメージベースシミュレーションを援用した時間反転法による固体内欠陥の映像化の試み 【 PDF
中畑 和之1, 木本 和志2
1愛媛大学大学院理工学研究科生産環境工学専攻, 2岡山大学大学院環境学研究科社会基盤環境学専攻
抄録

超音波探傷において,均質材料中など波動の伝搬経路が容易に推定できる場合には,B,C スキャンや開口合成法(SAFT) 等による欠陥像の映像化が行われている.しかし,局所的に非均質・異方性を有する材料や複雑な形状を持つ界面を介して超音波を送受信する場合には適用が困難である.そこで,本研究ではレイトレースが解析的に難しい材料に対して,イメージベース有限積分法(FIT) を援用した時間反転法による欠陥の映像化を試みる.ここでは,アレイ探触子を用いて全波形サンプリング処理(FSAP) 方式によって欠陥エコーを計測し,そのエコーを反転させてイメージベースFIT に入力する.時間反転アルゴリズムによって超音波が欠陥に集束する性質を利用して,シミュレーション中の波動場の可視化結果から欠陥の形状を推定する.

超音波映像化,アレイ探触子,イメージベースFIT,時間反転法,非均質材料
AI-2011-02
拡散送信ビームと複数の偏向受信ビームを用いた頸動脈短軸断面のイメージング 【 PDF
ポンリ アキンロル1, 長谷川 英之2,1, 金井 浩1,2
1東北大学大学院工学研究科, 2東北大学大学院医工学研究科
抄録

[背景] 頸動脈壁の内中膜複合体の短軸断面は, 従来のリニアスキャンでは描出が難しく,描出される動脈壁の範囲が制限されている. [原理] 本研究では, リニアアレイ探触子の多素子を用いて拡散するビームを送信手法を提案する.計測対象空間内の各点に関し,複数回の送信において異なる偏向角度の受信ビームを形成し,それを重ね合わせることで各点からの散乱波を得た.[結果および結論] この手法を使用して,計算機シミュレーション実験およびシリコーンゴム管及びヒト頸動脈の計測を行ったところ,従来のリニア走査に比べ壁の描出範囲が広くなることが示された.

短軸断面イメージング,頸動脈,多素子拡散ビーム,拡散角度,仮想音源
AI-2011-03
微小気泡の凝集体形成における超音波照射条件と気泡特性の影響 【 PDF
江田 廉, 渡會 展之, 重原 伸彦, 伊藤 拓未, 桝田 晃司
東京農工大学 大学院生物システム応用科学府
抄録

これまで我々は、分岐を有する人工血管において微小気泡が流れる流路を超音波を用いて能動的に選択する研究を行ってきた。そしてSecondary Bjerknes forceによる微小気泡の凝集現象に注目し、凝集体を形成することで超音波による制御性が向上することを確認した。ところで、生体内において凝集体は血管を通過できるサイズであることに加えて血流速度に対応して素早く形成される必要がある。しかし凝集サイズと形成時間に寄与する要因については詳細には解明されていない。本報告では凝集体を形成する照射音波の周波数を3[MHz]から10[MHz]まで変更し、気泡の凝集現象を検討するため高速度カメラによる観測を行った。さらに気泡のシェル材質の種類と、気泡濃度、赤血球の存在が凝集現象に及ぼす影響についても検討を行った。

微小気泡,Secondary Bjerknes force,凝集体形成
AI-2011-04
微小気泡の生体内能動制御のための音場分布可視化AR/VRシステムの開発 【 PDF
田口 侑人1, 加藤 俊和1, 菅野 悠樹1, 江田 廉1, 吉永 崇2, 桝田 晃司1
1東京農工大学大学院 生物システム応用科学府, 2財団法人九州先端科学技術研究所
抄録

我々はこれまで,超音波を用いた微小気泡の生体内制御を目指し,分岐を有する模擬血管では水流中の気泡の能動的流路選択,また直線状の模擬血管では流速に拮抗した気泡の流路内捕捉に関する研究を進めてきた.しかし,将来の生体応用においては,治療用トランスデューサから発する超音波音場内の焦点の,照射目標部位に対する空間的位置合わせが問題となる.そこで本研究では画像診断用の超音波プローブ及び治療用トランスデューサの3次元位置姿勢同時計測による,超音波の焦点の3次元可視化システムを設計・開発した.本システムを用いて焦点の照射精度を検証したところ,水槽実験ではプローブ先端から深さ60mm付近において超音波の照射方向によらず2.5mm以内の誤差に収まり,本インターフェースが生体内において十分適用可能であることが示唆された.

音場分布,可視化,位置計測,拡張現実,GUI,微小気泡
AI-2011-05
波動方程式に基づくFDTD法(WE-FDTD法) による音響レンダリング 【 PDF
土屋 隆生1, 石井 琢人1, 大久保 寛2
1同志社大学理工学部, 2首都大学東京システムデザイン学部
抄録

本報告では,音響レンダリングのための時間領域の音波伝搬解析手法として,波動方程式を直接差分化したFDTD法(WE-FDTD 法) とその省メモリタイプであるRMWE-FDTD 法について検討を行っている。波動方程式を直接差分化したWE-FDTD 法では,粒子速度が計算に必要ないためメモリ使用量がYee-FDTD 法の1/2 で済む。またRMWE-FDTD 法では,CFL 数を安定上限値の1/√3 に固定し,隣り合う格子点の定義時間を1 時間ステップ分ずらすことでメモリ使用量を1/4にしている。1 次元音場と3 次元音場についていくつかの数値実験を行った結果,WE-FDTD 法はYee-FDTD 法の約2.4 倍,RMWE-FDTD 法は約3.2 倍の高速化が図られた。

音波伝搬解析,波動方程式,FDTD法,WE-FDTD法,RMWE-FDTD法,GPU
AI-2011-06
画像差分シュリーレン法による治療用超音波音場の可視化 −シャーレ内の定在波音場の可視化− 【 PDF
小原 浩貴, 工藤 信樹, 清水 孝一
北海道大学大学院情報科学研究科
抄録

現在,超音波の治療応用として,通常は細胞内に入らない薬物や遺伝子を超音波照射によって細胞内に取り込ませるsonoporation が注目されている.培養細胞にsonoporation を行う際には,細胞と微小気泡を懸濁した培養液をシャーレに入れ,下方から連続超音波を照射する方法が多く用いられている.この際,シャーレ内部では様々な反射によって定在波が発生し,内部の超音波音場は非常に複雑になる.そこで本報告では,我々が提案する画像差分シュリーレン法を用いてシャーレのような小さな容器内の複雑な音場を可視化した結果について述べる.この手法は,簡易な光学系で超音波の瞬時音場を可視化できる点で従来の方法よりも優れている.実験の結果,定在波音場像の輝度が進行波に比べて約2 倍増加すること,また壁面の近傍では輝度の低下が生じることが示された.さらに,超音波の照射圧によって生じる水面の波立ちにより,定在波の腹の位置における振幅が大きく変化することが確認された.可視化画像の輝度と超音波圧力の関係には比較的良い線形性が確認されたことから,画像差分シュリーレン法は小容器内の複雑な音場の定量化に有用と考えられる.

超音波音場,圧分布,可視化,シュリーレン,画像差分
AI-2011-07
超音波加振時の粒子速度計測に基づく再生軟骨組織の弾性評価 【 PDF
新田 尚隆1, 三澤 雅樹1, 本間 一弘1, 椎名 毅2
1産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 2京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
抄録

再生医療において再生組織の成熟度評価は重要である。再生組織の成熟度は弾性特性の経時変化と密接な関係がある。本研究では摘出した再生軟骨を対象として、超音波加振時における粒子速度のレーザードップラー計測に基づく弾性評価法について実験的に検討した。異なる弾性率を有する寒天ファントムを用いた実験を行った結果、弾性特性の相違が検出可能であった。また摘出した実際の再生軟骨を対象とした計測を行った結果、成熟の時間過程に相関する弾性変化が検出可能であった。

再生軟骨,成熟度,超音波,レーザードップラー計測,粒子速度,弾性
AI-2011-08
非破壊検査における超音波フェーズドアレイ探傷と新技術 【 PDF
小島 正
超音波技術研究所
抄録

超音波フェーズドアレイ探傷ではポリスチレンなどの樹脂製くさびを使って縦波から横波にモード変換する独特なセクター走査で斜角探傷(PA 横波斜角探傷)を行っているが、アーチファクト、分解能の低下、スキャン領域の狭小化、その他いろいろな問題が発生している。今回、医用超音波診断装置の技術を応用してくさびを使わないPA 縦波斜角探傷技術および探傷器を開発し非常に良い結果を得た。また、欠陥評価に有用なB スコープのエコー面積とA スコープのエコー高さが極めて強い相関があることを実験で確かめた。

PA横波斜角探傷,PA縦波斜角探傷,最適スキャン領域,Bエコーによる欠陥評価
AI-2011-09
びまん性肝疾患診断のためのB-Flow 血流抽出処理 【 PDF
山田 晃1, 牧田 敬介1, 地挽 隆夫2, 小笠原 正文2, 小川 眞広3
1東京農工大学生物システム応用科学府, 2GEヘルスケア・ジャパン, 3日本大学医学部消化器肝臓内科
抄録

B-Flow映像法により、ミリオーダの高解像な肝辺縁微小血流を描出することが可能になる。この特徴を生かして著者らはB-Flow 血流映像に基づいた、びまん性肝疾患のコンピュータ支援診断の実現に向けた研究を進めている。本報告では、ノイズ分離のためのフレーム間ピークホールド処理、血流強調のための勾配振幅フィルタ、擬似三次元的な血流走行特性を再現するための奥行き方向プローブ回転走査およびシーン積算処理、などを導入する。これにより、肝硬変診断に有効な血流走行情報を効果的に取り出すことのできる処理法を提示する。

超音波画像診断,B-Flow血流映像,肝硬変診断,コンピュータ支援診断,特徴抽出

第2回 2011年8月5日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2011-10
FDTD法による3次元声道音響数値解析と解析結果の即時可視化 【 PDF
紺野 健幸, 松崎 博季, 真田 博文, 岡崎 哲夫, 上野 健治
北海道工業大学 大学院工学研究科電気工学専攻
抄録

本研究では、GPGPU(General Purpose processing on Graphics Processing Unit)による高速化を施したFDTD法(Finite-Difference Time-Domain method)による音場シミュレータに対し、MRIデータから得た3次元声道形状を与え、空間の音圧および粒子速度についての解析を行った。そして、GPUを使用することにより生じたCPUリソースを使用し、解析を行いながら即時可視化を実行する手法についての検討を行った。本稿では、シミュレータ開発の概要と、MRIデータの加工の手法について報告する。

FDTD法,声道音響数値解析,GPGPU,高速化,可視化
AI-2011-11
動的せん断歪み解析法にもとづく微小欠損の撮像 【 PDF
寺本 顕武, 宮成 天馬, 石橋 春香
佐賀大学 大学院工学系研究科先端融合工学専攻
抄録

現在, 薄板複合材料が, 航空機をはじめとする様々な用途に用いられている. 薄板複合材料の非破壊検査では, ガイド波を用いた非破壊検査が注目を浴びている. ガイド波は, 薄板内を導波路として進行するため, 小さなエネルギー減衰で伝搬する特長がある. ところが, ガイド波の多くは音速が周波数と板の厚さによって変化する分散性の波であり, 波面の進行とともに, 入力パルスの形状が崩れ, 亀裂や剥離, 腐食箇所からの散乱波を検出することが困難になるという問題点がある. そこで, 本研究では, 直交する動的せん断歪みの間の線形依存性に着目し, 「動的せん断ひずみの共分散行列」の行列式による欠損の撮像法を提案している. 提案手法は, 欠損近傍の音響近接場を撮像することができ, 欠損領域のシルエットを映像化するものである.  本報告では, 提案手法の撮像原理を明らかにするとともに, 数値実験および音響実験を通して, 手法の有効性を評価している.

AI-2011-12
超音波血流測定に基づく血液性状特徴化の実験的検討 【 PDF
新田 尚隆
(独)産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門
抄録

血液粘度は、血栓や赤血球凝集など血液の異常を検出するための指標として有用と見込まれるが、全血は非ニュートン流体であり、粘度は血液の異常だけでなくずり速度の大きさに依存して変化するため、粘度のみで血液性状の変化を捉えることは困難であると考えられる。本研究では、血液性状の変化を一意的に評価するため、超音波血流計測の結果からずり速度-粘度曲線(SV曲線)を推定し、血液性状を特徴化する方法を検討した。新鮮なウシ血液を用いて提案手法の実現可能性を実験的に検証した結果、血液性状の変化が検出され得ることが示された。

血液性状特徴化,血流速度,ずり速度,粘度
AI-2011-13
空中超音波ドプラシステムのウロダイナミクス計測への応用 【 PDF
松本 成史1, 竹内 康人2, 柿崎 秀宏1
1旭川医科大学 医学部腎泌尿器科外科学教室, 2無所属(個人研究家)
抄録

排尿機能の動態計測すなわち尿流動態検査、通称ウロダイナミクス (Urodynamics) 計測と呼ばれる検査は関連する領域での病態把握に不可欠の物である。この計測においては蓄尿、排尿反射、また排尿時における尿流速度、尿流量、尿流率、それらの時系列パターン記録、さらに総排尿量などが観測項目となる。この排尿パターンの記録と総量の計測(ないし近似推定)には従来は尿を受ける容器(尿器)に応力、重量、等のセンサをつけた、かなり即物的原始的な計測が行われ、装置は“ トイレのような物” に各種センサを配備した物となり、また実際にもこれは実用される尿器や便器にかかるセンサシステムを追加装備する形で実装されている。そこで本研究においてはこのようなトイレの側にセンサ一式を装備するという思想を廃し、排尿を行う人体の側に装備され得る、または独立しても動作可能なウロダイナミクス計測システムとして周波数40KHz の空中超音波CW ドプラシステムを援用し、一定の好ましい見通しを得たので報告する。試作プロトタイプシステムは人指し指に嵌めるセンサ(送受波器)を有し、これによって、ビームパターンの重みづけ補正やドプラ見込み角の補正は捨象しつつも、信号パワーにより瞬時尿流量の、およびドプラスペクトラムにより尿流速時系列の、相対化されたパターンが明確に観測され、適切な校正が伴えば従来概念のウロダイナミクス計測を大きく変革する技術である可能性が強く示唆された。本技術はまた別途多彩な用途も考えられ、文末にその一端を紹介する。

尿流動態(ウロダイナミクス),空中超音波,ドプラ,スペクトラム,信号電力
AI-2011-14
超音波後方散乱特性の時間変化計測による心臓壁厚み変化速度推定 【 PDF
志田 光1, 長谷川 英之1,2, 金井 浩1,2
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
抄録

心臓壁からの超音波後方散乱(IB)は,定量的な組織性状診断法として注目されている.本報告では,RF信号から低速なアーチファクト成分を低減し,同一部位からのIBを時間分解能とビーム方向の空間分解能を向上させて計測した.その結果,部位ごとに周期変動の差異が見られた.また,得られたIB信号から干渉周期を求め,厚み変化速度推定を行った.その結果,目測により測定した干渉周期から算出した厚み変化速度は位相差トラッキング法を用いて算出した厚み変化速度とほぼ一致したことから,IBを用いた壁の厚み変化速度推定の可能性が示された.

超音波後方散乱,組織性状,アーチファクト,厚み変化速度
AI-2011-15
頸動脈壁内膜面の表面粗さ高精度推定を目指した超音波RFエコーに基づくブロックマッチングによる頸動脈壁の長軸方向変位推定 【 PDF
北村 浩典1, 長谷川 英之1,2, 金井 浩1,2
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
抄録

血管壁内膜面表面粗さの高精度推定のために,頸動脈壁の長軸方向変位の推定を行った.その際に使用した,超音波RFエコーを用いたブロックマッチングにおける相関窓幅(kernel size)の大きさについて検討した.超音波診断装置を用いて,点散乱体とみなせる直径13 μmのワイヤーを計測し,受信したRF信号の包絡線からビーム方向およびラテラル方向の超音波ビームの焦域の大きさをそれぞれ算出した.算出した焦域の大きさを基準にして相関窓幅の最適な大きさを検討した.さらに,最適な相関窓幅を用いて,24歳健常者男性の頸動脈壁の長軸方向の変位推定も行った.

表面粗さ,長軸方向移動,径方向変位,ブロックマッチング,動脈硬化症
AI-2011-16
Suppression of Receive Grating Lobe Artifacts in Images Formed from Wide Diverging Transmit Beams by Modulation of Steered Receiving Beams 【 PDF
Akinlolu Ponnle1, 長谷川 英之1,2, 金井 浩1,2
1東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻 , 2東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻
抄録

拡散送信ビームと偏向受信ビームを用いた超音波イメージングのために、本報告では受信ビームを変調する手法を提案する. 超音波の波長が素子間隔より小さくなるとグレーティングローブが発生するため, 受信信号に低減通過フィルタを適用して(グレーティングローブを生じる周波数成分を除去)得られた信号の砲絡線(振幅)に基づき元受信信号の変調を行い, グレーティングローブを抑圧する. 計算機シミュレーション実験,模擬血管を用いた基礎実験, ヒト頸動脈の in vivo 計測実験において, 受信ビーム形成時に発生するグレーティングローブを, 空間分解能を劣化させることなく大幅に低減できることを示した.

グレーティングローブ,拡散送信ビーム,零位相ローパスフィルタ,双方向フィルタリング,変調した受信ビーム
AI-2011-17
ゲル上に培養した細胞へのソノポレーション効果に関する検討 【 PDF
木下 勇人, 工藤 信樹
北海道大学 大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻
抄録

これまで我々は,細胞に気泡が接触した条件では,通常ソノポレーション効果が生じないパルス超音波でも細胞に一時的な膜損傷を生じ得ることを報告してきた.この現象を利用してin vivoソノポレーションを実現するには,発生機序に関する検討と超音波照射条件の最適化が必要となる.しかし,これまでソノポレーションの発生機序に関する報告は少なく,かつほとんどが生体内とは大きく異なる条件で検討されてきた.そこで本研究では,より生体に近い状態でのソノポレーション現象の解明を目的として,柔らかいゲル層上に細胞を培養する手技を開発し,足場層の特性がソノポレーション効果に与える影響について検討した.硬いカバーガラス上に培養した細胞と柔らかいゲル上に培養した細胞について,波数を3波と10,000波に変えたパルス超音波を照射して,ソノポレーション効果を調べた.その結果,ゲル上ではカバーガラス上に比べて細胞の接着強度が高いこと,細胞膜の損傷率が大幅に低下すること,その原因が材質の違いだけでなく,ゲル層の厚さにも依存することが示された.

ソノポレーション,ゲル,足場材料,パルス超音波,超音波造影剤,微小気泡
AI-2011-18
診断装置によるソノポレーションの特徴と条件設定 【 PDF
佐々木 東1, 中村 健介1, 工藤 信樹2, 滝口 満喜1
1北海道大学 大学院獣医学研究科, 2北海道大学 大学院情報科学研究科
抄録

診断用超音波と超音波造影剤を用いたシスプラチンのソノポレーションの特徴と、その効果を最大にする条件を明らかにするためin vitroで実験を行った。犬甲状腺癌株細胞を対象にソナゾイドおよびシスプラチン、診断用超音波を様々な濃度および条件で用い、殺細胞効果を検討した。診断用超音波によるソノポレーションはシスプラチンの殺細胞効果を短い照射時間で有意に増強した。また、バブル濃度およびシスプラチン濃度が比較的低い濃度で最大の増強効果を示した。今回の至適条件を基に、診断用超音波および造影剤による抗がん剤のソノポレーションをin vivoへ応用していくことで、診断装置によるソノポレーションは新たながん治療法として期待できる。

がん治療,診断用超音波,超音波造影剤,シスプラチン
AI-2011-19
超音波の生物作用に関する最近の知見:薬物による細胞死の増強について 【 PDF
近藤 隆1, Mariame Ali Hasssan1, 古澤 之裕1, 趙 慶利1, 小川 良平1, 田渕 圭章2
1富山大学 大学院医学薬学研究部(医学)放射線基礎医学講座, 2富山大学 生命科学先端研究センター
抄録

超音波は診断領域のみならず治療応用もすすんでいる.それに伴い, 生物作用の研究も進展し, 我々の研究室でも超音波が, がん細胞に対して低強度でアポトーシスを誘導すること,細胞内にDNA二本鎖切断を起こすこと, そして, これらに関連して遺伝子発現変化を起こすことを報告してきた.本研究では, 薬剤と超音波の併用時における細胞死増強作用に着目して, 特にサナゾールを用いた場合の細胞内活性酸素の役割について検討を行ったので報告する.

フリーラジカル,アポトーシス,DNA損傷,酸化ストレス
AI-2011-20
バブルリポソームの特性評価および遺伝子治療への応用 【 PDF
鈴木 亮, 小田 雄介, 平田 圭一, 野村 鉄也, 宇都口 直樹, 丸山 一雄
帝京大学 薬学部
抄録

これまでに我々は、リポソームにパーフルオロプロパンを封入したバブルリポソーム(BL)と超音波照射を併用した遺伝子導入システムを開発した。この遺伝子導入システムを実用化していくためにはBLの特性評価をする必要がある。そこで本研究では、遺伝子導入効率におよぼすBL構成脂質の影響を検討した。異なる相転移温度を示すリン脂質を主要な構成成分として持つBLを用い、遺伝子導入効率を検討した。その結果、相転移温度の高いリン脂質から成るBLの方が、遺伝子導入効率が高いことが示され、BLの構成脂質の遺伝子導入効率と相転移温度に相関が認められた。このことから、遺伝子導入効率にリポソーム膜の流動性が関与していると考えられた。

リポソーム,脂質,超音波,遺伝子導入
AI-2011-21
超音波を用いた悪性黒色腫細胞へのインターフェロン-β遺伝子導入と増殖抑制効果の検討 【 PDF
立花 克郎1, 山口 和記2, 中山 樹一郎2
1福岡大学 医学部解剖学講座, 2福岡大学 医学部皮膚科学講座
抄録

悪性黒色腫は難治性の疾患で、進行した症例では有効な治療法は少ない。いくつかの新しい治療法が研究されており、その一つに遺伝子治療が挙げられる。近年、超音波の治療への応用や高率遺伝子導入システムの研究は、in vitro、in vivo双方においておこなわれている。超音波を照射することにより、細胞膜に小孔を生じさせ、遺伝子や薬剤を細胞内に導入することができる。超音波照射により悪性黒色腫に治療効果のある遺伝子を導入し、腫瘍の増殖抑制効果を検討した報告はない。今回我々は、超音波照射と超音波造影剤を併用した方法で悪性黒色腫細胞にインターフェロンβ(IFNβ)遺伝子を導入し、増殖抑制効果を検討した。

超音波,悪性黒色腫,遺伝子治療,マイクロバブル,インターフェロン

第3回 2011年10月26日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2011-22
拡散ビームを用いた超音波イメージングのフレームレート向上に関する検討 【 PDF
長谷川 英之1,2, 金井 浩1,2
1東北大学 大学院医工学研究科, 2東北大学 大学院工学研究科
抄録

超音波断層法は,心臓などの断層像が非侵襲かつリアルタイムに得られる大変有用な方法である.超音波断層像により,肉眼で観察できる心臓のマクロな運動や形状の異常を診断することができる.また,超音波ドプラ法により血流動態や壁運動の定量計測を行うことができるなど,超音波診断技術の果たす役割は大きい.これら従来の診断方法に加え,近年,心機能・心筋性状の評価のためには,非常に短時間(10 ms 程度) の心筋の収縮弛緩の遷移や弁の開閉などにより発生した心臓壁振動の伝搬を計測することが有用であることが分かってきており,そのためには数百Hz 程度以上の高いフレームレートが必要である.著者らはこれまで,送信に平面波を用い,受信時にその平面波内に複数の受信集束ビームを形成することで従来のセクタ走査と同等の走査線数を少ない送信回数で実現し,超音波断層法のフレームレートを従来の数十Hz から数百Hz まで向上させる手法を提案している.本報告では,狭い開口により広い送信ビーム幅を実現するため球面拡散ビームを用いて検討したところ,従来のセクタ走査と同等の空間分解能をフレームレート316 Hz で実現できることが分かった.

超音波,球面拡散ビーム,高フレームレート,ビームフォーミング,心臓断層像
AI-2011-23
エコー信号の減衰の周波数特性に着目した脂肪肝評価法の検討 【 PDF
孟 祥シン1, 神山 直久1,2, 山口 匡3
1千葉大学 大学院工学研究科人工システム科学専攻, 2東芝メディカルシステムズ 超音波開発部, 3千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
抄録

脂肪が沈着した肝臓のエコー画像の特徴の一つに深部減衰がある.脂肪の沈着によって減衰が大きくなることは一般的に知られているが,その定量的な評価法は確立されていない.我々は,エコー信号の減衰の周波数特性に着目し,超音波診断装置を用いて複数の周波数で取得した肝臓のエコー信号から減衰率を算出し,その結果と病理学的に評価された脂肪量とを比較することで,エコーによる肝脂肪量の定量評価を試みた.

減衰,組織性状診断,脂肪肝,エコー信号
AI-2011-24
複数モダリティによるラット肝組織の生体物性計測 【 PDF
成澤 亮1, 竹内 陽一郎1, 山口 匡2
1千葉大学 大学院工学研究科人工システム科学専攻, 2千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
抄録

エコー信号を解析することで推定される物理的特性を付加情報として提示する組織性状診断法は、幅広く用いられ診断の手助けとなっている。しかし、エコー信号に含まれる情報と組織性状の変化との詳細な関係性が明らかとなっていないために、早期発見や病態鑑別といった定量診断が困難とされている。そこで本研究では、エコー信号の特性を決定する要因の一つである生体物性と組成などの組織性状の変化との関係性を詳細に把握するために、ミクロスケールでの計測が可能な超音波顕微鏡を用いた生体組織の音響インピーダンス計測および万能試験機を用いた機械的特性の計測を行った。

超音波顕微鏡,音響インピーダンス,ミクロスケール,機械的特性,弾性率
AI-2011-25
マイクロフォンアレイを用いた音源位置推定とその可視化 【 PDF / 動画: No.1 No.2 No.3 No.4
穐田 幸樹1, 深作 崇史1, 太田 達也2, 大川 茂樹2
1千葉工業大学 大学院工学研究科未来ロボティクス専攻, 2千葉工業大学
抄録

本研究では,人とロボットが共有資源として聴覚機能を有することを目標として,複数のマイクロフォンを用いたマイクロフォンアレイを設計・実装し,音源到来方向推定および音源位置推定を実現すると共に,ASIO および OpenGL を用いたそのリアルタイム可視化を行った.可視化された解析結果と撮影した映像を比較することで,包囲型マイクロフォンを用いた相互相関法による音源位置推定の正確性を検証した.

マイクロフォンアレイ,実時間信号処理,音源位置推定,ロボティクス
AI-2011-26
MIC-LEDアレイを用いた静電型および動電型スピーカの音場可視化 【 PDF / 動画: No.1 No.2
藤森 潤一1, 栗原 誠1, 及川 靖広2, 山崎 芳男2
1ヤマハ株式会社, 2早稲田大学
抄録

センサと表示機能を一体にした複合デバイス(Sensor-Display Composite)を空間に複数配置して実音場を実時間で可視化する手法を提案している。センサと表示にそれぞれMEMSマイクロホンとLED、さらにMPUを約10mm角の基板に実装したものを試作した(以下MIC-LEDデバイスと呼ぶ)。複数サンプルのストレージ機能を持たせることで、任意の時刻における音波の伝播を時間伸張して観察することを可能とした。試作したMIC-LEDデバイスは電源とコントロール・データラインの合計3本の線で並列に接続され1,2あるいは3次元アレイを構成できる。本デバイスを用い、静電型および動電型のスピーカそれぞれからの波面伝播を観察したのでこれを報告する。

可視化,音場,実時間,LED,スピーカ
AI-2011-27
高速度カメラを用いた空気中浮遊物からの音情報取得 【 PDF
阿久津 真理子, 及川 靖広, 山崎 芳男
早稲田大学 理工学術院基幹理工学部表現工学科
抄録

本稿では高速度カメラを用いて空気中浮遊物の動きを撮影し,音場情報取得を行った。高速度カメラで撮影した映像中の埃を追跡し,気流の影響を除去することで音情報を取得する。高速度カメラを用いた音収録は音場に影響を与えず,画角内の複数点を同時に記録できるという利点がある。本手法における周波数特性の測定,ステレオ高速度カメラでの収録を行い,周波数応答の測定結果より本手法は低い周波数で有効なことが確認できた。さらに音場中の埃の動きから音場に含まれる音や音の到来方向の情報を得ることができた。

高速度カメラ,3次元計測,音場,空気中浮遊物

第4回 2011年12月9日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2011-28
内皮依存性血管弛緩反応時の橈骨動脈壁粘弾性特性変化の高精度計測 【 PDF
池下 和樹1, 長谷川 英之1,2, 金井 浩1,2
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
抄録

循環器系疾患の主因である動脈硬化症は,血管の内側(内皮)から進行するとされている.さらにその初期段階では,血管中膜を構成している平滑筋細胞のタイプが変化することも報告されている.ゆえに,動脈硬化症の早期診断のためには,内皮細胞の機能や平滑筋の力学的特性の計測が重要となる.本報告では,模擬血管を用いた基礎実験において我々が開発した粘弾性特性計測法の精度評価を行うとともに,粘弾性係数推定において必要となるひずみ速度の,高周波ノイズ低減による推定精度向上に関する検討を行った. 基礎実験の結果から,提案法が高精度かつ再現性良く弾性係数の推定をえていることが確認できた.さらに,高周波ノイズの低減によって,in vivo計測において特に粘弾性係数の推定精度が向上していることが確認できた.

超音波,動脈硬化症,血流依存性血管弛緩反応 (FMD),応力−ひずみ特性,粘弾性特性
AI-2011-29
頸動脈壁微小振動速度波形の周波数解析による進行波・反射波成分の可視化 【 PDF
本江 和恵1, 長谷川 英之1, 金井 浩2
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
抄録

脈波伝播速度 (Pulse wave velocity; PWV) は心臓の拍動に伴い動脈を伝播する圧力波 (脈波) の速度である.脈波伝播速度は動脈硬化の進展に伴い大きくなることが知られており動脈硬化診断の指標として用いられている.従来の脈波伝播速度法では頸動脈-大腿動脈の数十cm間での値を指標として用いており数mm程度の初期病変を見逃してしまう可能性があるため局所の弾性評価には不適である.本報告では局所多数点で計測した動脈壁微小振動速度波形を周波数解析し,周波数スペクトルの位相を用いて伝播の様子を可視化することで速度波形に含まれる進行波・反射波成分を判別し,各成分の伝播速度を算出した.

動脈硬化症,脈波伝播速度 (PWV),微小振動速度波形,成分の可視化
AI-2011-30
Sonoporationによる抗がん剤の効果増強の多角的評価 【 PDF
松井 智子, 工藤 信樹
北海道大学 大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻
抄録

我々は,微小気泡と短いパルス超音波を用いたソノポレーションの応用として,抗がん剤の効果増強の可能性について検討を行っている.本稿では,2種類のヒト前立腺がん細胞PC-3とLNCaPを用いて,抗がん剤Oxaliplatinによるアポトーシス誘導効果の増強の可能性について検討した結果について述べる.ソノポレーションの20時間後に核の構造変化に注目してアポトーシス発生率を調べたところ,抗がん剤単独では効果を生じない低濃度でもソノポレーション併用により抗がん効果を示すことが両細胞種で確認された.増強効果はがん抑制遺伝子p53を持つLNCaPで大きく,細胞種による違いを明確に確認できた.また,最大20時間にわたる細胞変化のタイムラプス観察では,細胞膜のブレビングや細胞膜の破壊などの現象が観察され,アポトーシスの発生をより明確に捉えるために多角的な観察手法を用いることは有用と考えられた.

ソノポレーション,パルス超音波,微小気泡,前立腺がん細胞,抗がん剤
AI-2011-31
腹腔鏡手術における複数モダリティの統合に関する検討 【 PDF
前佛 聡樹1,2, 山口 匡1
1千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター, 2千葉大学 大学院工学研究科人工システム科学専攻
抄録

腹腔鏡手術は開腹手術に比べ低侵襲な手技であるが,映像を頼りに手技を行うため難易度が高い.近年,腹腔鏡手術の新しい試みとして腹腔内を液体で満たした状態で手技を行う研究が進められている.腹腔内を液体で満たすことによる大きなメリットとして術中に体表から超音波診断装置によって腹腔内を観察できることが挙げられている.そこで本研究では,術中の腹腔鏡による臓器表面光学情報と超音波診断装置による内部超音波情報の重畳表示を行う手術支援システムを提案する.提案システムでは,取得した光学像と超音波像より観察対象臓器の表面形状を取得し,これを基に両モダリティ間の位置合わせを行う.本検討では擬似生体試料を用いて手技の検討を行った.

三次元位置合わせ,画像統合,手術支援システム,腹腔鏡,超音波
AI-2011-32
格子ガスオートマトン法の音場への適用に関する一考察 【 PDF
竹内 智晴1, 岩谷 幸雄1, 大谷 真2, 土屋 隆生3, 松岡 浩4, 鈴木 陽一1
1東北大学 大学院情報科学研究科/電気通信研究所, 2信州大学 工学部情報工学科, 3同志社大学 理工学部情報システムデザイン学科, 4理化学研究所 計算科学研究機構
抄録

3次元空間の実時間音場解析手法の開発を目的として,我々は数値流体解析分野で利用されている格子ガスオートマトン(LGA) 法を適用した新たな音場解析技術についての開発をおこなっている.LGA 法は,複雑な物理現象の扱いが容易であり,かつ論理演算による並列処理が可能なアルゴリズムであるという点から,音場解析において音波の波動性を考慮した音場の実時間解析が可能であると考えた.本報告では,LGA 法の音場解析モデルとして音響格子ガスオートマトン法を構築することを目指し.課題点を整理してモデルの定義をおこなった.また基礎的検討として,1m×1m 正方領域の計算時間の測定や1次元音場の解析精度を評価し,その有用性について検討した.

音場解析,格子ガスオートマトン法

第5回 2012年2月23日開催 <アコースティックイメージング研究会資料>

AI-2011-33
SLDVと空中放射音波を用いたコンクリート表層部の欠陥映像化に関する研究 【 PDF
赤松 亮1, 杉本 恒美1, 歌川 紀之2, 辻野 修一2
1桐蔭横浜大学 工学部, 2佐藤工業
抄録

現在、コンクリートの非破壊検査では叩き点検が多く用いられている。しかし、この手法では欠陥の判定が検査者の技量に依存することや、さらに人の手の届かないような場所の検査が困難という課題を抱えている。したがって、自動化・高速化に関する研究が行われているが、その多くは対象物に接触、もしくはほぼ接触に近い距離まで近づく必要があるのが現状である。そこで、本研究ではスキャニング振動計(SLDV)と空中放射音波を用いた探査法を提案している。本手法では加振に音波、計測にレーザを用いるため、非接触かつ非破壊の検査が可能である。本報告では、空隙と模した発泡スチロールを埋設したコンクリート供試体を用いた実験を行い、コンクリート非破壊検査における本手法の実用可能性を確認した。また、最大測定距離についても検討した。

スキャニング振動計,LRAD,非接触探査,コンクリート非破壊検査
AI-2011-34
電音波振動による土壌中の水分分布計測に関する研究−水分分布の鉛直方向検出に関する研究− 【 PDF
中川 裕1, 杉本 恒美1, 白川 貴志1, 佐野 元昭1, 澁澤 栄2, 大幅 元吉2
1桐蔭横浜大学 工学部, 2東京農工大学 農学部
抄録

現在、農業では農業用水を出来るだけ節水する傾向にある。そこで、負圧差灌水方式と呼ばれる土壌内部からの灌水方式が着目されている。負圧差灌水方式は土壌内部の水分量を一定に保つ性質がある。しかしながら、土中の水分分布の状況を把握できていないため、効率的な水分供給制御が行えていない。そこで、本研究室では、音波振動とSLDV(Scanning Laser Doppler Vibrometer)を用いて植物の根域領域における水分分布を映像化(可視化)する方法を検討している。今回は、土壌中の時間的に変化する水分分布の鉛直方向を音波振動を用いて検出できるか検討した。

スキャニング振動計,超磁歪振動子,水分分布,体積含水率
AI-2011-35
鏡面反射を利用した穿刺針イメージング 【 PDF
神山 直久, 金山 侑子
東芝メディカルシステムズ 超音波開発部
抄録

超音波ガイド下穿刺において針をコントラストよく可視化する新しいイメージング手法を提案する.本手法は,針表面で鏡面反射した送信ビームを,送信走査線とは異なる位置の受信走査線で捕獲し,この信号強度を利用して針の位置を推定するものである.ファントム実験により,本手法によって針信号が可視化され,推定結果と一致することを確認した.特に深部に対する穿刺では,穿刺針に対して超音波ビームが斜めに入射するために,通常のBモードでは針の観察が困難であり,そのような状況下で本手法の有用性が期待される.

穿刺針,アーチファクト,鏡面反射
AI-2011-36
超音波断層画像のスペックル雑音低減のためのフィルタ処理手法に関する検討 【 PDF
影山 奨1, 長谷川 英之1,2, 金井 浩1,2
1東北大学 大学院 医工学研究科, 2東北大学 大学院 工学研究科
抄録

従来の超音波診断装置は反射波の振幅を用いて画像化しており,反射波にスペックル雑音が生じると画像が劣化することが知られている.よって本報告では,スペックル雑音の原因として点拡がり関数を取り上げ,予め計測を行なった点拡がり関数を用いたスペックル雑音低減のためのフィルタ設計について検討する.超音波診断装置 (ALOKA社製: SSD-6500) の10 MHzリニアプローブ (サンプリング周波数: 40 MHz) を用い,生体内点散乱体からの散乱波を模擬した波形 (シリコーン板からの反射波)と点拡がり関数とみなせる細径ワイヤ (直径 13 µm,送信超音波の波長: 150 µm) からの散乱波の計測を行った.取得した細径ワイヤからのRF信号からウィナーフィルタを設計し,本フィルタにおけるSN比を基にした重み関数について検討を行った.SN比が悪い帯域では重み関数が小さくなり,フィルタの効果が低減される.本フィルタをシリコーン板からの反射波に適用したところ,計測した超音波RF信号の帯域が広がりパルスの尾引きが最大で35.4% 低減し,空間分解能の改善の可能性を示した.

スペックル雑音,点拡がり関数,ウィナーフィルタ,周波数スペクトル,広帯域
AI-2011-37
超音波計測と電気電子材料 【 PDF
櫛引 淳一
東北大学 大学院工学研究科電気・通信工学専攻
抄録

著者は40 年以上にわたってVHF・UHF 帯の集束超音波や平面超音波を用いた、超音波計測とその応用に関わる研究教育に従事してきた。超音波顕微鏡技術の研究をする中で、「直線集束ビーム超音波顕微鏡」を開発した。「超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術」としてまとめ、弾性表面波やバルク波速度を0.001%で計測できる技術に仕上げた。そして、LiNbO3, LiTaO3, ZnO, AlN, 人工水晶の単結晶やシリカ系ガラスなど、バルクや薄膜の材料に応用するための実験計測手順、すなわち辞書作りをし、材料科学における新しい測定・分析技術として仕上げた。本論文では、研究の背景といくつかの代表的成果を概観する。

超音波マイクロスペクトロスコピー,直線集束ビーム超音波顕微鏡,漏洩弾性表面波とバルク波の音速測定,精密計測,ゼロCTE 温度,仮想温度,材料評価,音響関連物理定数,圧電単結晶,LiNbO3
AI-2011-38
コード化信号を用いた布背後にある物体上の微小振動の高精度計測 【 PDF
干場 功太郎, 高山 潤也, 蜂屋 弘之
東京工業大学 大学院理工学研究科機械制御システム専攻
抄録

音波を送波し,その反射波を観測することで周囲環境の情報を取得する空中音響センシングは,周辺物体の位置・形状・材質・運動などのさまざまな情報を取得できる可能性があり,計測手法の高度化が望まれている.われわれは,人の呼吸,心拍を仰臥位で計測できることを示したが,立位での計測を試みている.本報告では,衣服の音響特性についての基礎データをもとに,実際に衣服を着た人の表面の微小振動を,M 系列信号・MTI フィルタ・位相追尾を用いて振動を検出する手法の精度を検討した.信号の複素面内での振る舞いを中心に,理論値の算出,それに基づいたシミュレーションによる誤差解析を行い,実験値と比較した.両者はよく一致しており,誤差の特徴があきらかになった.今後,理論的検討をもとに,高精度計測に向けてさらなる検討を加える予定である.

音響センシング,M 系列信号,音響映像,空中超音波,生体情報
AI-2011-39
任意座標系における高速開口面合成ビームフォーミング 【 PDF
炭 親良, 山崎 直人, 石井 陽介
上智大学 理工学部情報理工学科
抄録

現行のエコー法に基づく医用超音波画像診断装置は,アレイ型探触子を用いた送受信ビームフォーミングおよび電気電子的にスキャンを行うものが主流であり,リニア型やコンベックス型など,開口形状には様々なものがある.また,セクタスキャンやアークスキャン,ラディアルスキャンにおいてはメカニカルスキャンが行われることもある.我々は、交差ステアリングビームを使用した横方向変調法 (LM: Lateral modulation method)や、単一角度のビームステアリングASTA (A Steering Angle)を使用したスキャン後の信号処理により実現するLMとを報告している。いずれも、エコーイメージングにおいてはビーム方向と直交する横方向に搬送周波数を持たせることができ、また、我々の開発した多次元自己相関法(MAM)や多次元ドプラ法(MDM)を使用することにより、組織変位ベクトルの計測が可能である。また、高速スキャンのために、平面波を送波することも報告している(いわゆる軸方向歪のみの計測にも応用でき、特に2次元アレイ型探触子を使用する場合に有効である)。いずれのエコーイメージの生成および変位計測も,それらの開口形状,実質的には,ビームフォーミングとスキャンの方式により決まる任意直交座標系にて行われる.いずれの任意曲線直交座標系においても、等間隔のサンプリング点においてエコーデータおよび変位計測値が得られるが、画像表示を行う場合においては、画素位置(Cartesian座標)の値を補間処理により得る必要がある。また、Cartesian座標系に変換した後に、変位計測を行うこともある。本稿では、任意スキャン方法に対して、任意位置においてフーリエ変換を交えた処理により高速にエコー信号を生成できることを確認し、最初から、Cartesian座標系を生成してイメージングと組織変位計測を行うことを報告する。シミュレーションでは、平面波の送波において、座標回転を行った結果を報告する。当エコー生成法は、我々が先に報告しているアレイ開口形状に依存しない任意方向ビームフォーミングや視野領域(FOV)を得る場合にも応用できる。本稿で報告した我々のアプローチは、エコー生成時に補間処理等の近似計算を必要とせず、これらの高精度なイメージングと計測を高速に実現するものである。

任意座標系,高速エコーイメージング,高速変位ベクトル計測,任意ビームフォーミング
AI-2011-40
1次元センサアレイを用いた超音波画像化におけるDeconvolution Filter の基礎検討 【 PDF
水谷 享平1, 杉本 雅則1, 橋爪 宏達2
1東京大学 大学院工学系研究科電気系工学専攻, 2国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系
抄録

本発表では1 次元センサアレイ信号を用いて得られる超音波画像の画質を向上させる手法として,デコンボリューション処理について検討した結果を報告する.デコンボリューション処理には様々な種類があり,それらについてシミュレーションを行った結果などを踏まえ,比較検討をおこなう.また,複数のデコンボリューション手法を組み合わせることで得られる効果についても考察をおこなう.

超音波イメージング,デコンボリューション,センサアレイ
AI-2011-41
Improvement of Synthetic Transmit Aperture 3D Acoustic Imaging Using Compensation of Transmitter's Radiation Pattern 【 PDF
Natsuda Laokulrat1, 前田 泰成2, 杉本 雅則1, 橋爪 宏達3
1東京大学 大学院工学系研究科電気系工学専攻, 2総合研究大学院大学, 3国立情報学研究所  
抄録

We propose a new method to improve the conventional 3D acoustic imaging by applying compensation of a transmitter's radiation pattern to the Synthetic Transmit Aperture (STA) imaging technique. The purpose of the work is to compensate the nonideal radiation pattern of the ultrasonic transmitter, which degrades resultant images, in both phase and amplitude aspects. The radiation characteristic of the transmitter is analyzed by using measurement data, and the compensation of phase and amplitude is performed by calculation. The imaging experiment is conducted in-air by using a 2D receiver array and a 2D transmitter array.

3D Acoustic Imaging,Synthetic Transmit Aperture (STA),Transmitter's Radiation Pattern
AI-2011-42
単眼カメラと超音波による高精度三次元位置認識手法 【 PDF
蟹江 教佳1, 中村 成希2, 杉本 雅則2, 橋爪 宏達3
1東京大学 工学部電子情報工学科, 2東京大学 大学院工学系研究科, 3国立情報学研究所
抄録

本稿では、単眼カメラと超音波による三次元位置認識手法について提案する。我々は、これまでに高精度に位置推定が可能な位相一致法、又それに対してドップラーシフト補償を行った拡張位相一致法を用いた超音波測位によって誤差数十mm程度の三次元位置認識システムを実装した。しかし、このシステムでは奥行き方向に対して拡がり方向の誤差が十倍以上になってしまう。本稿で提案する手法では奥行き方向に超音波測位データを、拡がり方向にカメラによる画像データを用いており、高精度な三次元位置認識が可能である。また、ステレオカメラ等の従来の光学式の三次元位置認識システムに比べて、コンパクトな受信機で構成されている。

三次元測位,拡張位相一致法,ドップラー効果,ステレオカメラ
AI-2011-43
超音波チョッパ・レーダーの提案 【 PDF
橋爪 宏達1, 杉本 雅則2
1国立情報学研究所 研究系, 2東京大学 工学系研究科
抄録

パルス圧縮はレーダーで遠方探索の感度を向上させる手法として広く用いられている.車両のバックセンサーなど,空中超音波のレーダー装置では,数メートルの近接物体においても信号減衰が大きいので,感度向上のためパルス圧縮を使用したいのだが,バースト波送信中に反射波が帰ってきてしまい,本手法は機能しない.そこで送信波に擬似雑音符号(PN 符号)を用い,それを高速で断続することで近接物体の検出にもパルス圧縮を適用できるようにする.水中超音波探索や医療超音波エコー装置にも適用可能である.

パルス圧縮,PN 符合,レーダー,空中超音波,バックセンサー