2025 - Vol. 8
| 新たな定義による、ガウス整数におけるΦ関数 | J. Sci. EGGS, 8, 2562008 (2025) |
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| Phi Function by New Definition in Gaussian Integer | |
| 伊藤 晃大 , 後藤 理 , 小林 篤武 , 大山 穂高 , 山谷 泰生 , 佐藤 真弓 , 松橋 弘光 | |
| Kota ITO , Michi GOTO , Atsumu KOBAYASHI , Hotaka OYAMA , Taiki YAMAYA , Mayumi SATO , Hiromitsu MATSUHASHI | |
| Received: August 28, 2025 | |
| Accepted: November 05, 2025 | |
| Released: November 14, 2025 | |
| Keywords: ガウス整数, オイラーのΦ関数, 互いに素 | |
| Gaussian integer, Euler's Phi function, Relatively Prime | |
| Abstract | Full Text PDF[246K] |
互いに素な数の個数を返すΦ関数の性質に興味を持ち、ガウス整数において同じように「P関数」と名付けた新しい関数を定義した。また、この関数を研究し、性質を調べることを目的とした。先行研究や一般的なΦ関数の拡張においてガウス整数のΦ関数は互いに素なものの個数を表す関数ではないようであったため、自然数のΦ関数に準拠して、互いに素なものの個数を返す関数を新しく定義した。そこで絶対値が0より大きく引数の絶対値以下の個数をかえす関数をC関数として、C関数とP関数について成り立つ公式を導出した。さらにP関数とC関数に関する3つの定理を証明した。導出した定理の中には正の整数でのΦ関数において成り立つものと類似しているものが存在した。Φ関数と同様の性質がP関数にも存在し、P関数の性質をより高次元に一般化できるだろうと考えられ、今後、ガウス整数と自然数の約数や素因数分解などの相違点を考察し、P関数の返す数として現れない数とその性質やガウス平面上の相対的な素数の分布などを調べることが期待される。
| カテキン類と抗生物質 | J. Sci. EGGS, 8, 2530006(2025) |
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| Catechins and Antibiotics | |
| 平野 叶恵 , 渡部 夏子 , 遠藤 金吾 | |
| Kanae HIRANO , Natsuko WATANABE , Kingo ENDO | |
| Received: August 29, 2025 | |
| Accepted: November 04, 2025 | |
| Released: November 14, 2025 | |
| Keywords: (-)-エピカテキン, 抗生物質, ホスホマイシン, 濁度法, 大腸菌 | |
| (-)-Epicatechin, Antibiotics, Fosfomycin, Turbidity measurement, Escherichia coli | |
| Abstract | Full Text PDF[449K] |
「緑茶で薬を服用してはいけない」という俗説の真偽を検証するため、我々はカテキン類と抗生物質の併用を行ってきた。これまでの研究では、カテキン類の(-)-エピカテキンが抗生物質アンピシリン(Ap)、アモキシシリン(Am)、ホスホマイシン(Fom)、カナマイシン(Km)、アミカシン(Amk)、テトラサイクリン(Tet)の抗菌効果を抑制する可能性が示唆されていた。しかし、これまで採用していたコロニーカウンティング法では、データのばらつきが大きく、結果の再現性が十分でなかった可能性がある。そこで、本研究では、ばらつきが少ない別の実験方法での再検証を行うことを目的とした。濁度法での再検証の結果、大腸菌(Escherichia coli)AB1157株において、今回検証した8種類の抗生物質のうち、(-)-エピカテキンは抗生物質ホスホマイシンの抗菌効果のみを抑制し、他の抗生物質の抗菌効果には影響を及ぼさないことが明らかとなった。ホスホマイシンは固有の経路から菌体内に取り込まれるため、(-)-エピカテキンはその経路に作用すると考えられた。
We have been studying the combined effects of catechins and anitibiotics to verify the truth of the popular belief that “medicines should not be taken with green tea”. Our previous studies suggested that (-)-epicatechin may inhibit the antibacterial effects of the antibiotics ampicillin (Ap), amoxicillin (Am), fosfomycin (Fom), kanamycin (Km), amikacin (Amk), and tetracycline (Tet). However, the colony counting method used in those studies yielded highly variable results, raising concerns about the reproducibility. Therefore, this study aimed to reexamine the findings using a different experimental method with less variability. Re-examination using the turbidity method revealed that, in Escherichia coli strain AB1157, (-)-epicatechin suppressed the antibacterial effect of the fosfomycin alone, without affecting the antibacterial effects of the other seven antibiotics tested. As fosfomycin is taken up into the bacterial body via a specific pathway, it was thought that (-)-epicatechin acts on that pathway.
| ホヤから双子は生まれるか~実験発生学的手法による双子づくりの試み~ | J. Sci. EGGS, 8, 2530004(2025) |
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| Can we make twins of Halocynthia roretzi? ~ The attempt of making twins by an experimental embryological method. ~ |
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| 山田 奈央 , 大場 千裕 , 三浦 桃理 | |
| Nao YAMADA , Chihiro OBA , Towa MIURA | |
| Received: July 21, 2024 | |
| Accepted: March 24, 2025 | |
| Released: October 29, 2025 | |
| Keywords: 発生, ホヤ, 脊索, 双子 | |
| Development, <i>Halocynthia roretzi</i>, Notochord, Twins | |
| Abstract | Full Text PDF[532K] |
ホヤは尾索動物亜門(被嚢動物)に属し、体の前後に伸びる中枢神経系と脊索がそれぞれ背側と腹側に並んで配置する共通の体制をもつことから、ヒトと同じ脊索動物門に属す。ホヤと共通の体のつくりをもつヒトからは、わずかな確率ながらも、一卵性双生児と二卵性双生児という主に2種類の方法で双子が生まれる。ならば、ホヤの受精卵から、ヒトと同様に、双子を作ることは可能なのか。本研究では、実験発生学的手法を用いることで、先行実験である、Chabryの実験を参考にして、ホヤの2細胞期胚を極細いガラス針で割球を単離し、それぞれの単離胚がどう成長するかを生物顕微鏡で観察した。今回は残念ながら観察した単離胚が完全な双子の尾芽胚になっているかどうかを特定するには至らなかったものの、単離胚のサンプルのうち一つを観察したところ、尾芽胚の脊索がつくられる途中である、脊索細胞の並びらしきものを確認することができた。
| 菌の能力を引き出す ―納豆とヨーグルトの食べ合わせー | J. Sci. EGGS, 8, 2530002(2025) |
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| Bring out the abilities of bacteria -A combination of natto and yogurt- | |
| 木田 佐映 , 小林 悠 , 三岡 茉央 | |
| Sae KIDA , Haruka KOBAYASHI , Mao MITSUOKA | |
| Received: June 16, 2024 | |
| Accepted: March 24, 2025 | |
| Released: October 29, 2025 | |
| Keywords: 納豆菌, ビフィズス菌, オリゴ糖, 好気的培養, 嫌気的培養 | |
| <i>Bacillus subtilis natto</i>, <i>Bifidobacterium longum</i>, oligosaccharides, aerobic culture, anaerobic culture | |
| Abstract | Full Text PDF[657K] |
いずれも身体に良いとされる納豆とヨーグルトを同時に食べた場合、納豆菌とビフィズス菌がどのように影響し合うのか調べた。 納豆菌は好気的に生育し、タンパク質分解酵素を分泌することやショ糖やグルタミン酸といった「糸」の原料を豊富に含む培地では、 強く「糸」を引くことが分かった。一方ビフィズス菌は、 嫌気的条件でプロピオン酸存在下に生育した。同じ条件では納豆菌は生育できないことから、 体内に入っても納豆菌とビフィズス菌では生育できる条件が異なると考えられた。 また、ビフィズス菌はガラクトオリゴ糖により生育が促進されたが、 様々な種類のオリゴ糖やその構成糖を培地に加えた培地ではラフィノースやキシロオリゴ糖での生育は悪かった。また、納豆菌の培養上清(多糖のレバンを含む)を加えた培地でビフィズス菌は生育せず、ビフィズス菌と納豆菌を共存させてもオリゴ糖なしでは生育しないなど、現在まで両者の生育に関して互いに影響は見られなかった。
| アゾ系色素を用いた色素増感太陽電池の作製 | J. Sci. EGGS, 8, 2522003(2025) |
|---|---|
| Preparation of Dye-Sensitized Solar Cells Using Azo Dyes | |
| 蛭田 黎 , 栁谷 快歩 , 中沢 歩鈴 | |
| Rei HIRUTA , Kaiho YANAGIYA , Hosuzu NAKAZAWA | |
| Received: March 30, 2024 | |
| Accepted: March 24, 2025 | |
| Released: October 29, 2025 | |
| Keywords: 色素増感太陽電池, アゾ系色素, TiO<sub>2</sub>, アゾカップリング, 科学者の卵 | |
| Dye-sensitized solar cell, Azo dyes, Titanium oxide, Azo coupling, Science EGGs | |
| Abstract | Full Text PDF[500K] |
現在再生可能エネルギーとして注目されている太陽電池の1つである色素増感太陽電池は容易に作製が可能であり、景観に配慮することが可能であるという特徴を持っている。私たちは色素増感太陽電池に用いる色素としてアゾ系色素に着目した。試薬から水溶液を作製したものとアゾカップリングを行ったものとでTiO2表面に吸着させたときの比較実験を行った。結果としてはアゾカップリングを行ったほうが色素がより吸着した。これにより色素の吸着の仕方が吸着の程度と深く関係していると考えた。試薬から水溶液を作製して吸着させた場合は色素の立体構造がTiO2の表面との結合を阻害しているが、アゾカップリング反応を行った場合段階的に結合が起こるため色素が吸着しやすかったと考えられる。
| 放射線測定の基礎と測定結果の可視化について | J. Sci. EGGS, 8, 2510005(2025) |
|---|---|
| The Basics of Radiation Measurement and Visualization of the Results | |
| 菊地 兼太朗 , 澁谷 泰紀 , 橋本 くるみ , 平内 美桜 , 横澤 俐旺 , 金田 雅司 | |
| Kentaro KIKUCHI , Taiki SIBUYA , Kurumi HASHIMOTO , Mio HEINAI , Rio YOKOSAWA , Masashi KANETA | |
| Received: October 15, 2024 | |
| Accepted: March 24, 2025 | |
| Released: October 29, 2025 | |
| Keywords: 放射線, 空間線量率, 線源, 科学者の卵 | |
| Radiation, Air dose rate, Radiation source, Science EGGS | |
| Abstract | Full Text PDF[973K] |
本研究では、定量的に放射線の影響を評価するために東北大学青葉山キャンパスの空間線量率を測定した。放射線は自然界に常に存在しており、食べ物や土壌などからも放射線は放出されている。核実験や原発事故による人体への影響を懸念する人も一定数存在しているが、科学的には定量的に考察し、それらを人体に有害になり得る放射線量の値と比較することが必要である。今回私たちは、放射線についての基礎と測定方法等について学び、東北大学青葉山キャンパスの空間線量率の測定とデータの可視化に取り組んだ。測定した範囲の殆どの場所で空間線量率は東北地方の平均的な値を示すことが分かった。一方、東北地方における典型的な値よりも高い線量率を示した箇所がいくつか見受けられたため、その周辺で線量率の再測定、考察を行った。その結果、相対的に高い値を示した原因はすべて岩石からの放射線と推察することができた。
| ゆっくり飛ぶための翼 | J. Sci. EGGS, 8, 2510001(2025) |
|---|---|
| Airfoils for slow flight | |
| 佐々木 悠誠 , 武田 彩音 , 山谷 美楠 | |
| Yusei SASAKI , Ayane TAKEDA , Mihiro YAMAYA | |
| Received: March 29, 2024 | |
| Accepted: March 21, 2025 | |
| Released: October 29, 2025 | |
| Keywords: 低レイノルズ数, キャンバ, 石井翼, 空力性能, 渦生成 | |
| Low Reynolds Number, Camber, Ishii Airfoil, Aerodynamic Performance, Vortex Generation | |
| Abstract | Full Text PDF[1M] |
動力飛行機に利用している主な翼は,高レイノルズ(Re)数での飛行,即ち,高速での飛行を想定している.しかし,プラズマアクチュエータと呼ばれる,飛行性能を向上させる機器を用いる際や,火星飛行機での飛行に関しては,低速で飛行したほうが効果が高まる.そこでレイノズル数Re=20000の飛行に適した翼を簡易的な翼形状解析ソフトウェアを用いて設計し,3Dプリンタで作製した翼模型とハンドランチグライダで実績のある石井翼に対して風洞実験を実施した.その結果,製作した翼の一つに,設計時の予測と風洞実験とで空力性能に大きな差が生じた.実際の低Re飛行では,簡易的な解析では捉えることのできない翼の上面に発生する渦が重要な役割を果たすと考えられる.
