Journal of Science EGGS
2023 - Vol. 6

2023 - Vol. 6

カテキンおよびその類縁体と抗生物質との相互作用 J. Sci. EGGS, 6, 2330005(2023)
Interactions of catechins and their analogues with antibiotics
藤井 由紀子 , 小野 心美 , 村田 楽奈 , 武田 彩音 , 平野 叶恵 , 石渡 斗真 , 遠藤 金吾
Yukiko FUJII , Kokomi ONO , Rana MURATA , Ayane TAKEDA , Kanae HIRANO , Toma ISHIWATARI , Kingo ENDO
Received: September 04, 2023
Accepted: October 17, 2023
Released: December 11, 2023
Keywords: カテキン, 抗生物質, アンピシリン, カナマイシン, 大腸菌
Catechins, Antibiotics, Ampicillin, Kanamycin, Escherichia coli
Abstract Full Text PDF[478K]

 我々は、薬剤耐性菌感染症の蔓延に対抗するために、既存の抗生物質の効果的な利用法の開発を目的として、カテキン類とその類縁体に着目し研究を進めてきた。以前の我々の研究では、抗生物質アンピシリン(以下Ap)と(-)-エピカテキン(以下(-)-Ec)の併用で抗菌効果は抑制され、Apと(+)-タキシフォリン(以下(+)-Tx)の併用で抗菌効果は促進されたが、Apが高濃度であったために不確実な検証となっていた。そこで、本研究では、生存率が50%となるEffective Dose 50(以下ED50)の基準を適用し、より低濃度の抗生物質を用いて(-)-Ec、(+)-Txの効果を検証し直すことにした。大腸菌( Escherichia coli )AB1157株において、Apと(+)-Tx、Apと(-)-Ecの併用および抗生物質カナマイシン(以下Km)と(+)-Tx、Kmと(-)-Ecの併用では抗菌効果が抑制された。この結果から、抗生物質によって作用に違いが見られることが明らかとなり、飲み合わせには留意すべきという可能性が示唆された。
 We are studying while we have focused on catechins and their analogues to combat the spread of drug-resistant bacterial infections by developing effective ways to use existing antibiotics. Our previous study showed that the combination of the antibiotic ampicillin (Ap) and (-)-epicatechin (Ec) suppressed the antibacterial effect, while the combination of ampicillin and (+)-taxifolin (Tx) promoted the antibacterial effect. But this consequence was uncertain because the concentration of Ap was too high. Therefore, in this study, we decided to apply the Effective Dose 50 (ED50) standard, which gives a survival rate of 50%, and reevaluate the effects of (-)-Ec and (+)-Tx by using lower concentrations of antibiotics. When Escherichia coli AB1157 strain was used as a test bacterium, the antibacterial effect was suppressed by the combination of Ap and (+)-Tx, and Ap and (-)-Ec, the antibiotics Km and (+)-Tx, and Km and (-)-Ec. The results indicate that there are differences of effects among antibiotics and suggest that we should be care of taking them in combination.

青葉山における空間線量率の地形地質的特徴との関係 J. Sci. EGGS, 6, 2310004 (2023)
Relationship between Air Dose Rates and Topographical and Geological Features at Aobayama Campus
横塚 廉太郎 , 中軍 はるな , 加藤 未亜 , 佐藤 美咲 , 金田 雅司
Rentaro YOKOTUKA , Haruna CHUGUN , Mia KATO , Misaki SATO , Masashi KANETA
Received: July 11, 2023
Accepted: August 21, 2023
Released: November 20, 2023
Keywords: 放射線, 空間線量率, 地質, 地形
Radiation, Air Dose Rate, Geology, Terrain
Abstract Full Text PDF[1M]

本研究では東北大学青葉山キャンパスの複数箇所で空間線量率を測定した。ここ数年の空間線量率の変化は観測地点付近の放射性物質が移動する場合が主となると考えられる。空間線量率として計測されるのはγ線であるが、天然の放射性物質以外に存在するものとして 137Csが考えられる。セシウムが土壌に吸着する性質を考慮し、地形・地質的特徴ごとに地点を分類してその空間線量率の経年変化を比較した。その結果地形的特徴、つまり標高差は空間線量率には大きく影響しないが、地質が土の場合空間線量率の経年変化が少ないことが示された。さらに観測地点付近に花崗岩等の岩石がある場合地形・地質的特徴によらず空間線量率が高くなることが分かった。さらに2016年度は空間線量率の差がほかの年よりも大きくなっていることも判明した。このように今回の研究を通じて東日本大震災から12年が経過した被災地の放射線量の現状を再確認できた。そして青葉山キャンパスを詳細に調べた本研究の結果は、放射線に対する知識を深める一助になると考えられる。

黒雲母花崗岩の成分による放射線量の違い J. Sci. EGGS, 6, 2350003(2023)
The Difference of Biotite Granite Amount of Radiation Between the ingredients
萩原 あかり
Akari HAGIWARA
Received: July 24, 2022
Accepted: November 22, 2022
Released: March 10, 2023
Keywords: γ線, 花崗岩, 科学者の卵
Gamma rays, Biotite granite, Science EGGS
Abstract Full Text PDF[2M]

花崗岩はγ線を放出することで知られている。花崗岩の産地によってγ線量に差があるか。そして、そのγ線量の違いの原因を岩石組成、放射性物質の量を測定することで考察する。岩石組成は薄片を用いて調べ、放射性物質の量はゲルマニウム検出器を用いて測定した。実験の結果、黒雲母花崗岩の線量の差は岩石生成時の放射性物質の取り込み具合によるものだと分かった。
具体的には、花崗岩のトリウム系の物質とカリウム系の物質の量と、花崗岩のγ線放出量の間に関係が見られた。トリウム系の物質とウラニウム系の物質は液相に集まる性質があるため、これらの物質の量は、花崗岩のこれらの物質量の差は、岩石生成時のマグマに起因していると考えられた。今後は、マグマの性質とトリウム系の物質とウラニウム系の物質の量の関係性を見ていきたいと思う。

土壌に含まれる放射性物質とその同定 J. Sci. EGGS, 6, 2310002(2023)
Radioactive Materials in Soil and the Identification
加藤 優喜 , 後藤 優月 , 松永 理那
Yuki KATO , Yuzuki GOTO , Rina MATSUNAGA
Received: May 31, 2022
Accepted: November 22, 2022
Released: March 10, 2023
Keywords: 放射線, γ線, 放射性同位体, ゲルマニウム検出器, 空間線量率
Radiation, Gamma Rays, Radioisotope, Germanium Detector, Air Dose Rate
Abstract Full Text PDF[1M]

身近な生活で関わったり、ニュースや新聞などで目にしたりすることの多い放射線であるが、私たちが放射線と正しく向き合っていくには放射線に対するリテラシーの向上が不可欠である。私たちは、身の回りの土壌にどんな放射性物質が含まれているのか疑問に感じた。そこで、ゲルマニウム半導体検出器を用いた横浜市・南陽市・青森市の土壌に含まれる放射性物質の同定と、それぞれの採取地での空間線量率の測定を行い、身近な環境の調査を行うことを目的とした。それらの測定結果から、南陽市の土壌からは他の2地点と比較して212Pbなどの天然放射性元素や137Csの出すγ線が多く確認され、空間線量率も他と比較して高かった。以上の結果より、空間線量率だけでは分からない、放射性同位元素の同定により、線量率への寄与が大きい元素が明らかになった。本研究を通じて、メンバーの放射線や身近な放射性物質についての理解が深まり、実生活で放射線に関する事柄に触れた時に、科学的な視点から考えようとする意識が高まったと考える。

マルチエージェントシミュレーションによる秋田高校の避難経路の検討 J. Sci. EGGS, 6, 2370001(2023)
Examination of emergency evacuation routes for Akita Senior High School using Multi-Agent System
泉 侑希 , 小野 颯太 , 信太 朝陽 , 佐藤 叶夢 , 松井 優介 , 遠藤 金吾
Yuki IZUMI , Souta ONO , Asahi SHIDA , Kanamu SATO , Yusuke MATSUI , Kingo ENDO
Received: September 11, 2022
Accepted: October 24, 2022
Released: February 01, 2023
Keywords: 避難シミュレーション, マルチエージェントシステム, セルオートマトン
Evacuation simulation, Multi-Agent System, Cellular Automaton
Abstract Full Text PDF[873K]

 大規模災害が多発する我が国では災害への備えは必要不可欠であり、私達が一日の大半を過ごす学校における災害対策は特に重要な課題である。本校の避難経路は教室配置が現在と異なる時期に設定されたものであり、また、マルチエージェントシミュレーションによって避難経路を検討した事例はこれまでなかった。そこで迅速な避難行動を目標に、マルチエージェントシミュレーションを用いて避難経路を検討することを目的とした。シミュレーションの結果、現在の避難経路での347.5秒より21.2秒早く避難が完了でき、階段での渋滞も解消できる可能性がある新しい避難経路案を考案し、本校に提案することができた。