Journal of Science EGGS

Paper Details

Journal of Science EGGS
Vol. 3 No. 2030001 p.1-6 2020
表皮分化に必要なイネのONION2遺伝子の新たな突然変異体の同定と次世代への遺伝
Identification of new mutant alleles of ONION2 required for epidermis development in rice and its inheritance
  • 伊藤 幸博 (東北大学 科学者の卵養成講座 / 東北大学大学院農学研究科)
  • Yukihiro ITO (EGGS, Tohoku University / Graduate School of Agricultural Science, Tohoku University)
益子 恵利那 1,2 , 山田 桂一 1,3 , 小松 陽花 1,4 , 佐藤 菜々 1,5 , 鈴木 悠世 1,6 , 小川 裕美佳 1,7 , 岩田 紗也加 1,8 , 佐藤 優花里 1,9 , 藤倉 理帆 1,9 , 佐藤 知美 1,4 , 佐々木 長将 1,10 , 高橋 佑輔 1,11 , 高橋 宏輔 1,11 , 佐久間 仁徳 1,8 , 我妻 孝樹 1,6 , 山本 楽人 1,12 , 佐久間 結菜 1,13 , 川口 倫央 1,5 , 高橋 ほなみ 14 , 石橋 まゆ 14 , 久慈 正義 14 , 伊藤 幸博 1,14
Erina MASUKO 1,2 , Keiichi YAMADA 1,3 , Haruka KOMATSU 1,4 , Nana SATO 1,5 , Yusei SUZUKI 1,6 , Yumika OGAWA 1,7 , Sayaka IWATA 1,8 , Yukari SATO 1,9 , Riho FUJIKURA 1,9 , Tomomi SATO 1,4 , Naganobu SASAKI 1,10 , Yusuke TAKAHASHI 1,11 , Kosuke TAKAHASHI 1,11 , Masanori SAKUMA 1,8 , Kouki WAGATSUMA 1,6 , Gakuto YAMAMOTO 1,12 , Yuna SAKUMA 1,13 , Rio KAWAGUCHI 1,5 , Honami TAKAHASHI 14 , Mayu ISHIBASHI 14 , Seigi KUJI 14 , Yukihiro ITO 1,14
東北大学 科学者の卵養成講座 1 , 前橋育英高等学校 2 , 群馬県立前橋高等学校 3 , 宮城県宮城第一高等学校 4 , 仙台白百合学園高等学校 5 , 山形県立米沢興譲館高等学校 6 , 秋田県立秋田高等学校 7 , 福島県立福島高等学校 8 , 岩手県立一関第一高等学校 9 , 岩手県立釜石高等学校 10 , 山形県立山形東高等学校 11 , 福島県立相馬高等学校 12 , 岩手県立花巻北高等学校 13 , 東北大学大学院農学研究科 14
EGGS, Tohoku University 1 , Maebashi Ikuei High School 2 , Maebashi High School 3 , Miyagi First Senior High School 4 , Sendai Shirayuri Gakuen High School 5 , Yonezawa Kojokan High School 6 , Akita High School 7 , Fukushima High School 8 , Ichinoseki Daiichi Senior High School 9 , Kamaishi High School 10 , Yamagata East Senior High School 11 , Soma High School 12 , Hanamaki Kita High School 13 , Graduate School of Agricultural Science, Tohoku University 14
Received: December 11, 2019;   Accepted: January 09, 2020;   Released: February 18, 2020
Keywords: 突然変異体, 遺伝子同定, 表皮, メンデルの法則, イネ
Mutant, Gene identification, Epidermis, Mendel’s Laws of Inheritance, Rice
Abstracts

植物の表皮は、環境ストレスから植物を守る重要な組織である。本研究では、イネの表皮分化の遺伝的仕組みを明らかにすることを目的にイネの表皮分化の突然変異体の選抜と原因遺伝子の同定を行った。既知のイネの表皮分化の突然変異体と同様なシュートの形態異常を示す突然変異体を選抜し、そのクチクラの構造を調べたところ、クチクラの突起の形成が不十分であることが分かった。また、最外層細胞のマーカー遺伝子の発現も低下しており、表皮の分化が正常に起こっていないと考えられた。遺伝子マッピングを行ったところ、突然変異の原因遺伝子は第10染色体に座乗するONION2ONI2)遺伝子の近傍に存在することがわかった。そこで、突然変異体のONI2遺伝子の構造を調べたところ、第1エキソンがPCRにより増幅されず、大きな欠失、挿入や逆位などの変異が起こっていると考えられた。以上の結果、この突然変異体はONION2遺伝子の新たな突然変異体であることが分かった。さらに、oni2ヘテロ株の自殖次世代での分離比を調べたところ、oni2変異アレルの次世代への伝達率が低いことがわかった。ONI2は表皮分化に加え、配偶子の発生や受粉過程でも機能していることが考えられた。